《はじめに》を全文公開【ナルコレプシーのこと−僕の人生の場合−】

本書を手にとっていただき、ありがとうございます。
はじめまして。川崎 俊です。
私は『ナルコレプシー(narcolepsy)』という病気を抱えています。この病気、聞いたことはありますか?中には聞いたことがある方、自分や自分の家族、周囲に『ナルコレプシー』を抱えている人がいるという方もいるかと思います。テレビで特集されていたこともあるので、ご存知の方も少しずつ増えてきているのではないでしょうか。
ナルコレプシーとは、脳内の神経伝達物質が少ない・欠落しているため発症する睡眠障害です。突発的な睡眠発作をはじめ感情の興奮に起因する情動脱力発作などの症状があります。当然、見た目で分かることはなく、症状も居眠り(睡眠発作)のため周囲からは「怠けもの」「根性がない」「サボり」と勘違いされることはとても多いです。
私がナルコレプシーという病気を発症してから、十五年の年月が経ちました。覚えている限りでは、初めてナルコレプシーの症状と思われる睡眠発作があったのは小学五年の授業中ではないかと思います。発症してから現在まで、ナルコレプシーという病気を抱えて毎日の生活を送っています。現在、そんな私は職場のご理解・ご協力をいただき理学療法士として働かせていただいております。

たった十五年かもしれませんが、様々な経験をすることができたとても濃い時間でした。
ナルコレプシーを発症してから、小学校、中学校、高校、大学、社会人と環境を変えていくなかで常に様々な不安がありました。その中でも、大きな壁を二つは乗り越えたと感じています。そして、現在は、『ナルコレプシー』が私の中で『病気』から『個性』へと変わり、前向きに向き合うことで充実した日々を過ごすことが出来ています。
発症当時から今まで考えていた事、感じていた事をはじめ、現在に至るまでの経緯など、本書を通じてお伝えしていきます。苦しかったことだけでなく、嬉しかったことなど沢山の出来事がありました。この十五年で経験したこと・感じたことを多くの方に届け、ナルコレプシーについて少しでも多くの方にご理解いただければと思います。また、同じように周囲から理解されづらい病気を抱えて悩んでいる方の一助になれたら幸いです。

川崎 俊

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