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神通力

 その地方の国々は巫女が重要な働きをしていた。中には巫女が女王として治めていることもある。
 国といっても規模は小さく、市町村レベルにも達しない地域で、これを一国としていたが、それよりも狭い地域もあり、これは国レベルではなかったが、僻地ではそれが多かった。それは豪族とも言われており、あるまとまった団体で、これが最小単位の勢力。その豪族集団が一つになったのが国。だから村落単位でいえば、村々が集まった群ということだろう。群が国レベルだった。
 そして豪族も、国と対抗するため、周辺豪族と連合の形をとることもあるが、これは対等な連合。物事は話し合いで行われる。国となると王がおり、それに属する豪族は家臣。
 さて巫女だが、それら豪族、つまり村単位で巫女がいる。豪族でも国でも、その扱いは大きく、地位も高く、重臣に近い。いや、それを越えていることもある。
 優れた巫女のいる国や勢力は発展する。巫女とは占いは表向きで、実際には政治を動かしている。そのため、優れた巫女とは政治家なのだ。
 これは政策のダメ押しのようなもので、最終決定は巫女の神託で行うことで、天意となる。ただ、その神意は占う前に決まっている。
 この地方での占いとは丁半博打のようなものではなく、お告げだ。巫女の神通力で神意を得る。だから亀の甲羅のひび割れとか、そういった具体的な証拠はない。偶然に頼らない。
 巫女には見えないものが見え、天の意志が見えるとされているが、その数はもの凄くいる。各村に一人は必ずいる。一国の中にも当然巫女が多くいる。しかし、本当に神通力のある巫女はいない。
 とある村巫女の孫娘がほんとうに神通力があることを知った老巫女は、孫を村巫女にしなかった。
 この地域で求められている巫女は、勝れた政治感覚のある人で、長や王に助言を与えるだけの能力が必要だった。いわば参謀なのだ。
 この物語は、それを秘した娘がやがて新通力があることが分かってしまい、巫女に追われるのだが、その後、この地域の国々の長となる話。
 だが長すぎるので、またの機会に語ることにする。
 
   了

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