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映画について色々

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感想だけでなく、映画に関すること何でも。MCUについては、なるべくそれはそれとして、まとめて別マガジンで。
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記事一覧

思っていたよりずっと好みの楽しい映画だった!~「アーガイル」~

 スパイものだけどなんかちょっと楽しそうなんだよなあ。  予告を観てそんな風に思ったけど、でも監督がマシュー・ヴォーン。  マシュー・ヴォーン監督と言えば「キックアス」や「キングスマン」シリーズで有名。  「キックアス」は、何も知らないで軽い気持ちで観てしまった。でもムンクの「叫び」みたいに顔が伸びるんじゃないかと思うくらい怖かった。ホラーとかサスペンスとかの怖さじゃなくて、バイオレンスが。ストーリーの面白さはわかるけどさ。心の中で何度「ギャー!」と叫んだか。まだ当時は怖い

映画より映画館が好きな人と

 映画が好きな人と結婚する。20歳前後はそんな風に強く思っていた。  でも結婚して何年も経ってから気が付いた。  そう言えば夫はそうでもないな。  そんな風に条件を挙げていたことすら忘れていた。  当時は別に不満にも思っていなかった。  最近は夫が映画をわりと観るので、ありがたく思い、いつの間にこんな状況になったのだろうと考えてみた。  結婚するまでも何度か映画は観に行った。  出会いから結婚までが短かったものの、そんな頻繁じゃなく数えるほどだな。  結婚してからも、

父がヒーローに思えた日

 物心ついた頃に気に入って心に残っている映画は「スターウォーズ」。今で言うエピソード4ね。  今も私はその世界にすぐ入りこんでしまう方だけど、5歳くらいの頃ってもっと簡単にファンタジーの世界に入れるようだ。宇宙にはこんな場所があるのかもしれないと、スクリーンに夢中になった。  ルーク・スカイウォーカーは幼い私にとっても可愛かったし、レイア姫は美しく、C-3POとR2-D2のやり取りに笑い、チューバッカは愛おしく、ハン・ソロを暑苦しく思った。でもみんなとにかくかっこ良かった。

知らなかったことを教えてもらえてありがとうの気持ちになった~ネクストゴールウィンズ~

 「ネクスト・ゴール・ウィンズ」の予告の段階で、コメディ要素が多いようだから気楽そうで良いなと思っていた。夫も「がんばれ! ベアーズ」みたいなスポーツものは面白いに決まっていると乗り気。「がんばれ! ベアーズ」は、弱小少年野球チームが強くなっていく1970年代の映画。ドラマもある。  「ジョジョラビット」や「マイティ・ソー バトルロイヤル」の監督をしたタイカ・ワイティティの監督作品だし是非とも映画館に足を運ぼうと思った。 *多少ストーリーを追ったネタバレあります  米国領

言葉を交わすために必要なこと~僕らの世界が交わるまで~

 親というものは、子供というものは、どうしてああなのか。  自分が親の立場を思い、子供の立場を思う。  親として、こうした方が良いよあなたのために、なんてできるだけ言いたくないし、言わないように気をつけてきた。何故なら親に「あなたのためを思って」と何度か言われてそれはもう大変な反発心を持った経験があるから。直接言われなくても気持ちが伝わってきただけで、人に自分の行く先を勝手に決められているみたい。「もうやめて自分で判断させて失敗させて」と苦しい思いでいっぱいになること、この

大好きなことについて話したい気持ちは、年齢も距離も超えて

 話しにくい雰囲気の人だったらどうしよう。  私の50代っぷりに引かれたらどうしよう。  こちらから気づいたら緊張しちゃうからスマホを見ていよう。そう思うそばからキョロキョロ探してしまう。  身体全体が鼓動を打つのを感じて、ドキドキ心臓の音が耳にうるさい。そんなに緊張するな私。第一声が震えちゃうぞ。スマホの画面を触る指がほんの少し震えそうになるのをおさえる。落ち着かない。  あっ。あの子じゃないかな。  ニコニコ顔の子が近づいてきた。  可愛さと安堵と、なによりも嬉

人が、自己を生きていく姿を見た~哀れなるものたち~

 観終わった後に、「一緒に観る人を選ぶよね」と夫と言い合えるのは幸運なのだろう。帰り道も帰宅後も内容や俳優について話さずにはいられない。「いやあ若かったら見続けられなかったかも」「この年齢で映画を楽しめて良かった」と夫が言う。わかる。私も若かったらもっとしんどかったと思う。  エマ・ストーンの演技には圧倒される。  「ラ・ラ・ランド」で観た時に、「そこら辺にいる冴えない感じの人」の雰囲気を出すのが上手で、それでいてなんて魅力的なのかしらと思った。  それ以外では「クルエラ

すべてが、その人にとっては「PERFECT DAYS」

 小学生の頃、兄が大河ドラマ好きで、当時はテレビを家族で観る時代だったから私も一緒に観ていた。  1980年の「獅子の時代」、翌年の「おんな太閤記」辺りを私も一緒に観ていた。  その中に出ていた役所広司が、1983年の「徳川家康」主役に決まったと兄が話していた。  「やくどころひろし」だと思ったと兄が自分で大笑いしていたので、その後40年以上経っても役所広司を見ると、兄のエピソードを思い出してしまう。  当時から母が「芝居がうまい」と言っていた。  芝居がうまいってどんな感じ

強く願うことは、何につながるかを感じられた「ウィッシュ」

 年末に観に行ったけど、感想を書くタイミングがなかった。  字幕版観たくても、とてもそんな早い時間(或いは遅い時間)には行けないよーてな時間にしかやっていなくて、吹替え版になった。  でも生田絵梨花さんが、勝手に想像していたよりずっと歌が素晴らしく、どれも聴き心地良かった。  同時上映作品として「ワンス・アポン・ア・スタジオ ー100年の思い出ー」が最初の9分ほど流れる。  ディズニーの100周年の思いとのことで、今までのキャラクターがどんどん出てきて、それを懐かしむだけ

華やかで、心もあったかくなる「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」

 〇〇の口になるって言い方、もう当たり前に使われている。使われても受け入れている。けど、私からは使わない。  だってさ。口でしょ。口だけでしょ。ピンと来ないっていうかさ。  私のはもっと欲の深さにあふれているから!  何かを食べたい時の私は、喉の奥辺り、鼻腔も含めて、そして脳で、頭全体で、気持ちで食べたいものを思い描いているから!  ところで「甘党」って言葉、英語で「(I have a)sweet tooth」って言うのね。  なんで?(ーと言われてもよね)  私は口で

幼少期の夏のキャンプを「シアター・キャンプ」で思い出す

 幼少期、アメリカニュージャージーでの夏休みは3か月ほどはあった。  それだけ休みが続くと親も大変だからか、夏キャンプが盛ん。兄も私も日々「デイキャンプ」と呼ばれる日帰りのキャンプに通い、ある年齢から兄は何週間かの泊まりキャンプになった。  母がそこから送られてくる絵ハガキを楽しみにしていた気持ちは、自分が母親になってみるとよくわかる。子供が泊まりがけでどこか行くって、すごーく心配だ。元気にやっているかな。楽しんでいると良いな。よく眠れているかな。大丈夫かな。  母の心配とは

映画の感想を書いたり読んだりする時の気持ち

 「noteの世界って優しい」って確かにそうだとも思う。だけどnoteの中でそうでない世界もあるから、優しいと思える人は「自分たちの作り上げるnoteの世界って優しい」のだろうな。そしてその世界が外側からどう見えるとしても、私はこれで良いな。  現実の世界も、SNSの他の世界もそんなに優しいわけじゃないもの。そんな中で一つくらい自分で作れる世界があるのなら、そこは優しくて良いよ。  映画や漫画やお笑いや、自分の好きだと思うものや感想を伸び伸び書けるってありがたいなって改めて

生きるのは変化し続けること~生き方に正解なんかないって優しさも感じた~【バービー】

 ああもったいないなあ。公開直前の騒動で観に来ない人もおられるだろうから、あんなこともこんなこともなければと思いながらエンドロールを眺めていた。  私の筆力では一連のことは書ききれないから感想も書かずにそっとしておこうと思っていたけど、観終わって気持ちが変わった。やはり感想だけでも私なりのものを書いておこう。  3年前に感想を書いた「ストーリーオブマイライフ/ わたしの若草物語」も、とても好きな映画。4人姉妹のそれぞれの心の模様が、押しつけがましくなく繊細に描かれていて、

優しい気持ちになる~マイ・エレメント~

 ピクサーからまた色とりどりの世界の贈り物をもらった。  火と水の主人公だなんてよく思いついたものだなあ。元素たちの暮らす世界で、土や風もいて。  「また多様性か。少し食傷気味」と思っている方たちに伝えておきたい。そこに関しては押しつけがましいところはないよ。  簡単に言えば、昔からよくある家柄のちがう恋愛について。ベタでしょ。でもストーリーは単純で終始明るいトーンだし、感情はなかなか細やかに描かれている。  最初から移民問題だと誰もがわかるようになっていて、多様性というよ