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飲み物にまつわる数々の思い出

 テレビで「ペットボトルで飲む時、ペットボトルの口の部分をくわえこんで飲む」人を観る機会があり、「気持ちわる!!」と思ってしまった。唇がタコみたいになって飲んでいる。
 そして、それはまさに私の飲み方そのもの。何度か夫に指摘されたり笑われたりした。くわえこまないようにした方が、ごくごくと立て続けに飲めるから、それが便利だとわりと最近知った。でも物心ついた頃からその飲み方に慣れているから、ハッと気づくと、ついそのように飲んでしまっている。

 そんな様子を見ながら、飲み物にまつわる数々の失敗談があるなあと思い出している。

 時々口に入れる量を間違う。飲み込むスピードより、多くを口に注いでしまい「ぶはっ!!」とか吐き出したり、口の両端からこぼれたりして慌てている。

 距離感も間違う。コップに入れたものを飲もうと傾けたら、ちょっと傾けるのが早くて、口とコップの間で液体がどろどろどろーとこぼれる。

 何なのこれ。何なの私。

 大丈夫なのか私!


 怖い話のようだけど、でもこれ、昔からなんです。それもこれも変なところで、せっかちなせい。どうでも良いところで気が急いてしまう。脳の「早く飲もう」の命令が先に手だけに行くのかな。

 とか改めて分析して書いてみると、ますます怖い話だ。

 他にも怖い話はある。
 踏み台昇降でもしてみようかと急に思い立ち、ペットボトル片手に元気よくブンブン手を振りながら段を昇り降りして、途中でドリンクを飲もうとした。でも、炭酸飲料だったんですねえ。
 健康を目指しているのか不健康を目指しているのか。
 それを開けて口に持って行く途中で、ぶしゅうううぅぅ!! と中身が飛び出たのは言うまでもない。しかも中身が飛び出たのを何とかフォローしようと口をもっていったのは良いけど、踏み台昇降を何故か止められなかったため、口の中でさらに液体が躍動し、「ふわあ~」とか言いながら、私の顔を含めた周りに惨状が広がった。

 せっかちとは全然関係ない、若い頃の失敗エピソードもあります。

 大学一年生の頃に経験した、男性を交えての初めての食事会。
 男子校出身者と女子校出身者5人ずつくらいで、初めて集まりお喋りした後、どうしたら良いのかわからない私たちは、喫茶店に行きまして。みんなまだ緊張していました。

 そこで慣れないアイスティーなんかを頼み。当時は今どきのオシャレなカフェがなかったんで、コーヒーとか紅茶とか、高校生の間は、外でそんなに飲まなかったんですよね。
 さらにそこで出たシロップの容器で、私は一生覚えているであろう赤面体験をします。

 シロップの容器、それまでの数少ない経験からしても、取っ手を持ち、持ち手の親指で下に押すと蓋がパカッと上に開くタイプしか知らなかった。シロップを注ぐものを頼んだのは私だけ。なので、皆それぞれにドリンクを飲み始めるのだが、私は一人そのシロップの容器と格闘していた。いくら親指に力を入れても蓋が開かない。取っ手の親指に力を入れずに後ろに引き、フタを滑らせて開けるタイプのものだったのだ。でもそんなもの知らない私は「開かない……」と、どんどん親指に力を入れていく。
 「何故だ」
そのうち親指はプルプル震えだした。すると少しフタが開いた!
 「開いた!」
と思ってコップに注ごうとしたら、開いたことに安心して力が抜けたのかフタは閉まった。何も入っていない。
 慌ててまた私は親指に力を入れ、プルプルさせ始めた。

 何も学習していない私。


 「そうか、滑らすタイプかあ!」……なんて気が付いちゃいない。緊張していましたしね。そんな恥ずかしい失態を目の前に、余計パニックになっていたにちがいない。

 皆の視線も段々と私の手元に注がれ始め、まだ若い私はパニックになりながら、「いえ、なんでもなくってよ、このくらいのこと。おほほ!」としらばっくれて皆の話題に加わるフリをしながら、何とかそのシロップのフタを開けた。

 「開いた! 今だ!!」
親指の力を緩めず、プルプルさせたままコップに注いだ。でも
 「注げた!」
と思ったら油断したようでまた閉じた! たった一滴くらいしか入らない。悔しい。
 その後、何も学習することなく、私はまたプルプルさせ、

 「やったっ! 開いたっ! 入ったっ! 閉じたっ!」

を繰り返し、
2~3滴がかろうじて入ったところで諦めて「これで良いのよ」てな顔をして、再び皆の会話に加わった。誰も指摘してこなかったし、私もそんな顔を貫いた。みんなまだ若かった。

 あれからしばらく、喫茶店でシロップの容器が出ると、ピリッと警戒したものだった。

 その後、「これってどうなってるんだろう?」とか平気で言い合える夫と知り合えて本当に良かった。新しい物も出てくるし、「こりゃなんだ?」みたいなことは、何歳になったってありますね。

 思わぬ話になりました。

 こうやって飲み物に対して幾度となく失敗と恥を重ねて暮らしています。
 そんなことを思い出した、この前の炭酸飲料の大惨事。えっ? ……そうなんです。ペットボトルの飲み方だけが発端ではなかったのだ。踏み台昇降の話も最近のことだったんですねぇ。


#エッセイ #飲み物 #失敗 #炭酸飲料 #こぼす #飲み方 #シロップ

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。