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父と息子の関係性を感じる「スパイダーマン/ホームカミング」

 スパイダーマンのテレビアニメが好きで観ていたのは、もう40年以上前のことだ。
 ……と書いてみて、ちょっとオソロシくなった。私にとっては、だいぶ前だから20年くらい前か、と思ったら、40年を超えていた。ああ自分の年齢なんてわからなくなる。もうわからなくなっちゃって良いのになあ。

 何度も書いているけど6歳とかその頃、バットマンやブラックパンサー、ワンダーウーマンと一緒にスパイダーマン、そういったアメコミが大好きでテレビ番組で放映していたのを観ていました。
 それからずいぶん経つけど、映画で「スパイダーマン」シリーズがあって、その後「アメイジング・スパイダーマン」のシリーズ。どれも観ていない。結婚し、子供が生まれて、映画から長く遠ざかっていた。

 MCU(マーベルシネマティックユニバース)の世界で、スパイダーマンが主人公として描かれるのは、この「スパイダーマン/ホームカミング」が初めてだ。

 噂に聞いていたように、軽くて良かった。
 学園モノのような、私のような中年からしたら「自分の子供」感が、全体に可愛くて仕方ないのだが、自分にとってもちょっと前のようでいて懐かしく、不思議な感覚だ。

*ネタバレ少しあります

 やっぱり良かったのは、トニー・スタークとのやり取りだ。
 トニー・スタークも、ピーター・パーカーも両親を亡くしている。ピーターには、メイおばさんがいるけど、父性を感じさせる存在として、トニーとの関係を築いていく。又、トニーもきっと本意ではなかっただろうけど、父親の役割を演じていくことになる。何故ならシビル・ウォーでスカウトした以上、ピーターの命に責任を感じているからだ。

 「期待外れだった」「スーツを返せ」と言って、ピーターを我に返らせるところなんて、とても父性を感じる。とりあえず、自分で自分に責任を持てるまでは、身の回りのことをちゃんとやってからだ。と。
 そんな風に言われたことは、おそらくピーターにとっても、それまでない経験だろう。お互いに父と息子のような関係を築けたことは、その後の「インフィニティウォー」の別れのシーンで感じる。そこで、トニーがその瞬間にどれだけピーターを守りたかったかという気持ちを想像すると、短いシーンだけど今さらグッとくる。
 ちなみに、ここでスーツの代わりに渡されるTシャツの文字に笑ってしまった。
 「I survived my trip to NYC」(NY旅行から、無事生還しました)
 映画上で、特にいじられることもなく、ただ着ているのが余計可笑しい。

 ここからピーター、地に足のついた生活を送り、自分を見直すことになるのだが、それは落ち込んでいるだけでもない、大切な時間のように思えた。本来自分がしなければならないことを振り返って、基本的なことをこなすことで、自分を見つめ直す作業を日々繰り返す。大人になっても、こういう時間や日々ってきっと大切。時々足元を見つめ直す作業。

 そこからスーツなしでも、思いを寄せるリズを誘う勇気を自分で奮い立たせ、トゥームスに殺されかけた時に自分で何とかしなければならないと力を振り絞る。ピーター・パーカーはここでようやく自分に対する責任を持てるようになり、一歩一歩大人になっていくのを感じる。

 葛藤を経て少しずつ大人になり、スーパーヒーローになるには、どういった気持ちが必要なのかを、子供たちに知らせるような映画。

 そして、Guy in the chair(現場にいるヒーローたちに、室内の椅子に座って指示を与えるような奴)に憧れるピーターの友人ネッドが、愛らしい。


#映画 #感想 #スパイダーマン #MCU #父性 #父と子

読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。