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自分の意志で自由を掴もう~「マイティソー/バトルロイヤル」

 「アベンジャーズ/エンドゲーム」公開日が迫る中、アメリカにて上映試写会があった。
 訪れた監督や俳優陣たちの動画や写真が、次々とツイッターに上がっていた。あの人がいる! この人も来てる! ファンに応えてる! いちいち心の中がわーわー叫ぶ。興奮し過ぎて、全部いいね付けそうだったけど、フォロワーでいいねが流れている方に申し訳ない気がして、途中から我慢した。メニエール症状も出てきて、もう頭のふわふわがメニエールなのか興奮から来るものなのかわからない。

 色々な映画を観ていて、「一人一人のキャラクターや背景を丁寧に描いている」という感想はある。でも「アベンジャーズ」シリーズは、多くのヒーローがそれぞれ一つの映画のストーリーとして描かれている。それぞれが他のヒーローの映画でも活躍していたり、集合したりもしている。そりゃ愛着も強くなる。ファンにもそれぞれ、好きなキャラクターがいて、それぞれのコスプレをしてきていることが、観ていて嬉しくなる。そう、私たち、みんなを応援したいんだよね!! 
 
 1年前に、「ガーディアンズオブギャラクシー」の知識と、あと聞きかじったことだけで観た「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」。あの衝撃から、1年間、それまでのMCUを全部観ていった。ハイペースじゃなかったけれど、何とかギリギリ約20本、間に合った。
 あと数日が落ち着かない。こんなに公開日を指折り数える楽しみな映画が今までにあっただろうか。指折り数えている公開日当日は観に行けないんですけどね。だって平日。夫も仕事だし、多分私と同じくらい楽しみにしている息子も学校や部活ですし。山越えしないと映画館ありませんから。

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 「マイティ・ソー/バトルロイヤル」を観たことで、ようやく2008年公開の「アイアンマン」から「インフィニティ・ウォー」までのMCU(マーベル映画作品)を全部観ることができた。
 ソーのシリーズは、北欧神話が基になっているから、北欧神話を少しずつ読んでいるけど、この映画の原題「ラグナロク」が描かれている辺りまでようやく進んでいて、なかなか興味深い。
 この映画監督は、タイカ・ワイティティと言って、真面目で複雑な「ソー」のシリーズを軽く笑いに満ちたものに変えた。
 今回、特に楽しかったのは、ブルースバナーのシーンの数々だ。ソーが「日が沈む」とやたらに言っていたことも過去の作品を観ていたら笑えるものだったし、苦悩の多かったブルースバナーの愛嬌が表現されているのは、気分の良いものだった。
 他に、ずっと噂には聞いていたヴァルキリー(女戦士)の存在も良かった。彼女も苦しみを抱えていて、それに立ち向かうようになる。可愛くカッコいい彼女の魅力に、あっという間にひきこまれた。

*以下、ネタバレあります(インフィニティウォーのネタバレも含みます)

 北欧神話は、あまり馴染みがないので、「ラグナロク」と聞いてもピンと来ない人もいるかもしれないが、北欧神話の世界では最終戦争という意味北欧神話の中心となる世界、アスガルドは、「ラグナロク」を経て終焉を迎える。その中で登場してくるオオカミだとか炎だとかが、映画でも描かれているのは面白い。
 アスガルドが終わりを迎えることは避けられないらしく、「バトルロイヤル」でも描かれる。ただ完全な終わりではないことは「アスガルドは場所ではなく、民である」という言葉が繰り返されることに表れている。

 北欧神話の中心となる、王でありソーの父親であるオーディンがどんな人物だったか、それも映画で描かれていた。自分の欲望のために好戦的で残酷な部分があったところ。そして嘘を重ねていたところは、神話に基づいている。北欧神話をまったく知らなかったら、映画を観て私はショックを受けそうだ。ソーは自分の父親の裏の顔を知ってショックを受けるには受けるが、どこまでも「自分と接してきた父親」を見ている。自分がどのように育てられてきたか、受け止めようとしている。だから死の淵に立った時、父親の姿を見て、「父ほど強くない」と嘆く。
 でも、ソーはハンマーを持つことで力を制御していただけだった。この場面を観て、「キャプテンマーベル」を思い出した。自分の力に目覚めた時に、内からあふれ出るエネルギーに満ちる。それまで制御していたものを解き放つ。それは目に見えるような力、パワーじゃなくても、私たちは身に覚えがあるのではないか。抑えつけるものから解放された時の自由は、自分で感じ、手に入れるものだろう。

 他に、スカージの罪悪感も胸が痛むものだった。恐怖でヘラの言いなりになっていたけれど、彼の中に良心は残っていた。それはきっとずっとあったもので、その良心の呵責に苛まれていた。それが表れたシーンは彼が心の自由を得た瞬間。良いヤツで良かった気持ちが湧いたと同時に胸が痛んだ。
 
 この映画、最後の場面が「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の最初の場面につながるところが重要だ。話として知ってはいたけれど、改めて、インフィニティ・ウォーの最初の場面を観ると、以前からMCU好きでずっと追っていた皆さんの、騒いでいた気持ちがようやく理解できた。
 ロキに、憎めない愛嬌を感じるところや、最初にサノスにやっつけられちゃう悲しさ。ヘイムダルも。あれだけ「バトルロイヤル」の終盤で、せっかく必死になって逃げた民が殺されてしまっているところ。そりゃ皆、大騒ぎだわ。ひどいもの。
 そして、最近発表された写真。「インフィニティ・ウォー」で、誰が残り誰が消されたかと分類された中に、ヴァルキリーが載っていた。彼女は生き残り組だった。きっと「エンドゲーム」で活躍してくれるだろうと期待している。


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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。