見出し画像

ガンズかわせ波野やっぱTシャツかな対談

かわせ: こんにちは。セルフパブリッシングSF雑誌『銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE』編集長かわせです。ガンズの中の人の活動を紹介するこの企画。第五回は、前回に引き続きましての話題、NovelJam。そちらに参加した一人、波野發作さんです。

波野: はい。毎度おなじみ波野です。

かわせ: さて、今回もですね、NovelJamのグランプリ授賞式に向けた販促活動の話題から行きたいと思うのですが。波野さんは事前から「ガチ」宣言をしていただけあって、かなりいろいろ手を打ってましたよね。

波野: 出来ることは全部やるって方針だったんで。でもアイディアのうちの半分もできてないんですよ。

かわせ: 見てる分にはかなりやってたように見えたのに、あれで半分。どんな感じで進んでたんでしたっけ。

波野: 本戦が終わった翌朝に、チームのチャットでロールの変更を宣言しました。ぼくがデザイナーの立場のままだとできることが限られるので、プロデューサーとして資金調達から各種手配まで取り仕切る。その代わり編集担当と作家には作品だけに集中してもらおうということですね。
 とにかくふくださんに何か取らせるというのが絶対目標でした。
 ただまあ、もっと評価が欲しかった景虎さんの方が手薄になってしまったので、彼は不満に思っていたかもしれませんが。
 とりあえず、最初はランディングページを用意しました。でんでんランデイングページで、これは経験者の景虎さんががんばって、チームの分を用意してくれました。
 その間に、「続編戦略」ということで、『REcycleKiDs』の続編を毎週出す準備をしています。
 景虎さんの方は「リアル戦略」ということで、ネットから飛び出して、実際に街に立つなどの活動を進めました。
 そこまででだいたい1週間から10日目あたりです。

(注:ふくださん→ふくだりょうこ『REcycleKiDs』当日審査では賞なしだが、後日グランプリを受賞。景虎→天王丸景虎『バカとバカンス』当日審査で優秀賞、後日に鈴木みそ賞を受賞。)

かわせ: その2つは、すごかったですね。まず、ふくださん。週刊で書き続けるのは、本当にきついだろうと思ったし。でも、あれ売り上げにはかなり効いたんじゃないかと思うんですけど、どうでしたか?

波野: 売り上げ自体にはあまり。ただ評価はしてもらえたのでよかったですね。
 ノベルジャムではどれだけ売ったかももちろん評価の柱なんですが、何をしたかも大いに審査されるので、いろんなことをやったほうが有利です。
 宣伝を1万回繰り返しても、それは1項目なんですよ。でもいろんなアクションを手を変え品を変え20種類やれば、それは20項目の評価になります。
 そういう点で、続編5点足し続けたのは、5項目として見てくれたということなので、よかったです。×5だったらちょっと厳しかった。

かわせ: 最新刊無料で前の巻を買ってもらうのはいい作戦だと思ったけど、そんなには効かなかったんですか。でも、そういう知見がたまるのはいいことですよね。僕、今回のノベルジャムで、一番感心してるのそこなんですよ。こういう実験が目に見えるところで行われたということ。

波野: 実験は山ほどしましたねー。自分が作家で出るときの参考になる(笑)
 最新刊無料自体は効果あると思うんですが、今回に関して言えば、すでに買った人が続編を読んでくれるというパターンがほとんどだったと思います。そのぐらい中盤では伸びなかった。

かわせ: やっぱり無料にするなら一巻なんですね。

波野: 漫画でよくあるやつですよね。あれ効率悪いような気がするなー。絶対先細りするでしょう。

かわせ: 今までは雑誌掲載で知名度上げて単行本を売るビジネスモデルだったから、電子書籍では何か代わりの手が必要だということですよね。だけど確かに、広める手が無料でいいのかは考えますねー。読者の時間の方が有限なので、無料で時間を潰せると全体としては落としてくれるお金が減っちゃいそうな気がする。
 そういう意味でも、いろいろ実験してみることが大切だと思います。実験といえば、景虎さんのTシャツ作戦はどうだったんでしょう?

波野: 実際に4冊売ったそうです。渋谷の通行人にですよ。彼すごいですよね。
 売り上げそのものより、その実行力がみそ賞に繋がったわけですが。
 Tシャツ作戦に関しては、ほぼ彼単独のミッションでした。発案から実行まで、あまりぼくの出番はなかったかも。
 羽田圭介さんが自作の表紙Tシャツを着ていたのにインスパイアされたそうですが、羽田先生渋谷で立ってないですよね(笑)。
 3枚買ってローテーションで毎日着用していました。

かわせ: あれは本当にすごいと思いました。僕、昔ちらっと自分のバイクを本当に痛い自作品の痛車にすること考えたことがあるけど、さすがに思っただけでしたからね。渋谷で4冊売れるなら、場所を考えたらもっと行けそうですよね。今度の文学フリマとか。

波野: まあ文フリでやったらつまみ出されるわけですが(笑)。出展者ならともかくイベントで逆宣伝は嫌われる(笑)

かわせ: いや、景虎さんがじゃなくて、出展者がやるんですよ。波野さんがオルタニアTシャツとか、ガンズTシャツ着るの。
 一回しか使えないけど、表紙画像だけじゃなくてブース番号も入れちゃう。トイレに行くときにも宣伝できる(笑)

波野: いや、それ別に普通じゃないですか。スタッフがユニフォーム着てるだけ。本来居るはずのない場所に、いるはずのない服装の人物がいるから面白いだけで、いそうな場所にいそうな衣装の人がいてもあまり意味がない。

かわせ: 街角じゃないとだめかー。

波野: びっくりさせないとハートは掴めないのでしょう。

かわせ: 他には何しましたっけ。ノベルジムは波野さん主導?

波野: ノベジムね。ノベルジムって名称は昨年までやってた別サービスがあったので、少し外しました(笑)。うちのチームの主催でやりました。なにかリアルイベントをやろうという話から膨らんだんですが、元ネタはオルタニアフライデーです。

かわせ: リアルイベントで顔が見えるのはいいですよね。

波野: 最初はファン交流イベントってイメージだったんですが、ぼくが去年やろうとしていた「ページワン」という執筆イベントをベースにちょっと改造して、ノベルジャムの雰囲気をちょこっとだけ味わえるような感じにしてみました。まずまず好評でしたよ。
 リアルイベントをやったのは、ぼくらのチームBがノベジムとノベルパブの2回。チームAの小野寺さんが読書会、チームCの根木珠さん主導なのが銀座のノベルジャム屋台。その合計4件ですね。
 小野寺さんはうちのイベントも来てくれたし、屋台にも出てました。まあぼくもこれらは全部出てるけど(笑)。チームAは最大のライバルでした。

かわせ: 派生イベントがあるのもいいと思うんですよね。買う理由を作るのに。ある意味、ノベルジャムというイベントがあって興味を引いて、それで売ってるわけだから、そこからどんどんつながっていくのはありだと思うんですよ。

波野: まあイベントは金がかかるんで、赤字でいいときじゃないと無理ですなー。
採算考えたら今回のは全部不可能(笑)。

かわせ: セルパブだと、そこが問題ですよねー。

波野: 商業だって無理ですよ。イベントやってるのってその本単体の売り上げで賄わなくていいときとか、そういう大きな視点で何か動くときじゃないとなかなかね。

かわせ: 逆にやりたかったけどできなかったのって何ですか?

波野: 景虎さんが『バカとバカンス』のゲームを作りかけたんだけど、間に合わなかった。『REcycleKiDs』のカップとかグッズを大量に作ろうとしたんだけど間に合わなかった。あとは『バカとバカンス』の飛び出すグリーティングカードを作ろうとしたんだけど、これも間に合わなかった(笑)。
 あとは、チラシを都内各所に配置したかったのだけど、できたのは三箇所ぐらい。

かわせ: ノベルジャムは時間が限られてますもんね。その中で、普段の活動でもやったら面白そうなのってあります?

波野: ガンズのTシャツをかわせさんが着て暮らす?(笑)

かわせ: 家からあまり出てないので、効果が薄い(笑)

波野: あかん(笑)。あとはシールかな。安くていいところを見つけました。

かわせ: それはよさそう。
 僕は最近、販促のところがすごく気になってるんですよ。なんで、こうして座談会でも聞いてるんですけど。
 販促というより、どうやって読者とつながるか、かな。必要とされるところにどう届ければいいのか。
 今まで、紙の本だけで流通していたときは、たぶん本屋の棚がその役割を果たしていたんだと思うんです。僕も決まった巡回ルートがあって、その辺うろついていると興味ありそうなものが目に飛び込んできた。ちょこっと立ち読みして中も確認できた。
 それに代わるものを自分で作らないといけないとき、どうしていくのか。

波野: 気長にいろいろやらないと答えは見つからないテーマではありますが、1つ今回大きな成果を得た手法がありました。

かわせ: それは!

波野: 土下座営業。
 集計最終日に、友人知人各位約100名に直接お願いしてまわりました。

かわせ: すいません、僕は間に合いませんでした(笑)

波野: そういえばそんなことも(笑)
 ふくださんの妹さんも動いてくれて、25冊ほどガッと増量できて、トップに躍り出ました。次回はもう使えないかな。

かわせ: あと、知り合いならともかく、ネット上の「買ってください」はいまいち効果薄いですしね。
 どうやって買う動機を作るのか、本当に難しいですよねえ。
 ノベルジャム自体は面白いイベントだし、周りも巻き込めているので、このまま進めていったら、もっと大きくなっていくと思うんですよ。「ノベルジャム優勝者」が、セルパブでは十分な引きになる日が来るかもしれない。
  ただ、ガンズ編集長としては、雑誌を売ることを考えなくちゃいけないので、そこ以外の販促の部分で何か参考になることないかなと思って見てるんですよね。
 リアルイベントといえば、波野さんが5/6の文学フリマに出るそうですが。

波野: ア23-24で出店します。
 東京流通センター第二展示場です。ガンズ&ユニバースのPOD見本もありますので、ぜひ。かわせ編集長は何を出すんでしたっけ?

かわせ: 『太陽のホットライン』を。山田さんが文フリに間に合ったら出すかもって言ってたのも、波野さんのところですか?

波野: そうですよ。
 でもコピー本って聞いてます。
 山田佳江さんの生コピー本です。興味のある方はお早めにご来店ください。

かわせ: ツイッター見てると乗って書けてるみたいだし、楽しみですよね。ガンズ関連は他に誰が。

波野: 米田さんの新刊と蔵出し。

かわせ: それでオルタニアとノベルジャム関連もあると。かなりにぎやかになりそうですね!

波野: でも各部数が少ないので、どうにか様になるといいなと。まだ一回目なので実験でもあります。

かわせ: そこで新しい読者の皆さんと出会いたいですねえ。
 僕もコミティアに出すのは続けたかったんだけど、今年は仕事とかちあってて無理っぽい。でもPODでせっかく実物作れるので、イベント出展は試したいですね。

波野: 次の文学フリマが次のノベルジャムとかち合ってるんですよ。どうしたものか。

かわせ: 次のノベルジャムは作家で行くんですか?

波野: 応募までは(笑)。競争率高いからなあ。どっかで新人賞もらって手土産にするぐらいじゃないとね。

かわせ: 波野さん、運営側に近いから、「神の声」が来ますもんね(笑)。健闘をお祈りしております。

波野: さすがに3回目は出さしてくれるんじゃないかと期待して、精進します。

かわせ: ということで、本日は波野發作さんとの対談をお送りしましたー。
ありがとうございました!

波野: お疲れ様でした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?