見出し画像

ワイヤレス IEM 機器のレイテンシー調査

手持ちの機器を実測しました、というだけのお話。
なお、状況等によってレイテンシーにばらつきが出ることもあるので、だいたいこんなもん、という目安としてご活用ください。

前置き:レイテンシーの桁感

一般的には 20 msec (0.02 秒) より遅いと演奏者に違和感が出ると言われています。演奏者のレベルやパートにもよりますが、10 msec 以内であることが望ましいでしょう。

BPM 120 の場合に 16 分音符は 125 msec の長さとなります。つまり 20 msec は 16 分音符が 2 割近く遅れて聞こえる状態となります。それくらいならと思うか、致命的と思うかは人それぞれですが、桁感としては理解しておきたいところです。

ちなみに Bluetooth は、普通のやつで数百 msec、特別な aptX LL (Low Latency) でも30〜40 msec くらい。手軽ではありますが演奏用モニターには厳しいことが分かると思います。また、音ゲー等で Bluetooth が嫌われる理由が分かると思います。

Shure PSM300

レイテンシー:0.7 msec (33〜34 samples on 48 KHz)

特徴:
B 帯で最大 6 台、ステレオ、単三電池 2 本、TRS 入力のみ

コメント:
実質ゼロ扱いでいいでしょう。値段は高いですが、レイテンシーという意味では圧倒的に有利。そこを気にするならこれ一択。
音質や解像度は少し削られるますが、奏者のモニター用途と思えば全然許容できるでしょう。FOH のモニターには向きません。
せっかくのステレオ対応ですが、ハコの PA さんはたいてい「モノラルでいいっしょ?」と言ってくるので、モニター送り管理が他人任せの時はそういうものと割り切って使いましょう。

Xvive U4

レイテンシー: 4.48 msec

特徴:
デジタル 2.4 GHz で 6 台、モノラル、いわゆるデジタル的な伝送でクリア、内蔵バッテリーを micro USB で充電、XLR 入力だけど TS 変換付属

コメント:
モニターなんてモノラルでいいじゃん、と考えれば全然これでいいです。ステージ IEM 初心者には間違いなくおすすめ。
単体レイテンシー 5 ms 程度は目くじらたてるものではないですが、デジタル ワイヤレス マイクやマルチ エフェクター、デジタル ミキサーを通って、、、となると 10 msec を大きく超えることもあるので、違和感ある人は理由を理解した上で割り切って使ってください。

ご参考:

KIMAFUN 2.4G Wireless Audio System

レイテンシー: 19.0 msec

特徴:
デジタル 2.4GHz、公称 6 台、ステレオ、内蔵バッテリーを USB Type-C で充電、3.5mm ステレオ入力、不安になるくらい軽い

コメント:
レイテンシーは遅い。許容できるか、という意味ではギリギリ。Bluetooth よりちょっとマシなレベル。楽器は厳しいけど、ボーカルなら意外といける気もします(ピッチのフィードバックとしては少し遅くてもいける)。
中国から AliExpress ストア経由で買う、という時点でリスクは発生するものの、一応ちゃんと届いて動いています(という実績があるよ、くらいの期待値で)。だいたい 2 万円くらい?Xvive U4 よりも安くてステレオ、でもリスク含み、何よりもレイテンシーも厳しい、というのを許容できる人が手を出すべき商品。分からない人はやめた方がいい。

番外編:BEHRINGER POWERPLAY P2

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/243166/

レイテンシー:なし (有線の製品です)

特徴:
有線、ステレオ(アンバラ)/モノラル(バランス)、単四電池 2 本、XLR/TRS コンボ入力

コメント:
ワイヤレスは常にトラブルと背中合わせです。急遽トラブルで使えなくなった際に、いやコロガシじゃ困るんだけど(クリックやガイド聞くし…)みたいなこともあると思います。そんな際に最悪有線で確実な IEM アンプを持っておくととても安心できます。
コンパクトなので機材バッグに忍ばせておいて電池だけ新品を調達すればいいです。何なら普段のスタジオ リハではこれでいいかもしれません。保険に是非。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?