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声が出せない寝たきり障がい者が”社会貢献”した話

「何のために働くのか」。いきなり偉そうな書き出しですみません。
まあ巷ではよく聞く話ではありますが、「働く」って大変ですよね。
ここで言う働くとは、金銭的な享受を伴う行動に限った話ではありません。日々子育てや家事に追われる人達、家族の介護に親身に対応する人達、みんな精一杯働いています。出来ることならば楽に遊んで暮らしたい。

大半の人達は、「生きていく為に仕方なく」「食べていくためにはしょうがなく」働いている、そんな感覚ではないでしょうか。まあ働く目的の中でもそれが大きな要因であることは間違いありません。

話は変わって、少し自分の話を。
自分は健常者として生まれ育ちました。大学院修了後、従業員が一万人を越えるいわゆる大企業で、十数人のエンジニアをまとめるユニットリーダーとして主に企業業務システムの設計/開発に携わっていました。
ところが、先天性ミオパチーという難病により、30歳を過ぎた頃から普通の人と同じような生活をすることが困難となりました。
現在は東京の隅っこにそびえ立つとある療養型病院で、最上階の一番奥の部屋のラスボスとして、いつやって来るか分からない勇者御一行様を待ち構える日々を送っています。

大企業というものはとかく社員教育には熱心なもので、直接的な技術教育(プログラム言語など)は勿論、管理職向けの教育であったり、ビジネスパーソン向けの思考教育であったり、まあ様々な教育を受講させて頂きました。
そんな社員教育群の中に、冒頭に書いた「我々は何のために働くのか」っていうものがあって、自分の中では数少ない、記憶に残る社員教育だったりするわけです。

結論から先に書くと、「我々は仕事を通じて社会貢献している」と。
生活のため、お金のために働くっていうのも何とも味気なく、モチベもなかなか上がらない訳じゃないですか。そこで「社会貢献」というキーワードな訳です。
製造業、金融業、サービス業、業種を問わず仕事を通じて、社会のために役に立つ。家事や子育てを通じて、社会発展の礎を支える。介護を通じて、社会を構成する一員の生活を助け、社会維持に貢献する。
社会とはなんぞや?という少し哲学的な疑問は脇に置いておいても、デジタル脳の自分でもなるほどな、と納得できる結論付けだったわけです。


さて、自分のラスボス業は早いもので6年半の歳月が流れ今に至っているわけですが、「社会貢献」という意味で言えば、まったくのゼロということになるかと思います。
社会維持に貢献されている方の恩恵を受けて、日々の生活を送っています。それが決して抗えない運命だったのだとしても、そこに多少なりとも忸怩たる思いがあることは否定できません。



昨年、初めてnoteの有料記事を公開しました。

あ、これは有料記事のネタになるかも知れないなと思い立ち、書き上げた記事は7000字余りの超大作になってしまいましたが、設定可能な最低金額で有料公開しました。
情報発信という意味では他のブログサービスで細々と続けていたわけですが、noteに移行した大きな理由の一つに、有料記事を公開するという目的がありました。
これまで蓄積してきた自分の頭の中の情報をnote記事という形で発信する。仮に、その記事に興味を持ってくれる人がいたとして、有料記事でも購入してやるかと記事を購入してくれたら。
金額の大小は関係なく、それすなわち、はっきりとした形の「社会貢献」ということになるのでは?6年半前に強制的に道を断たれた、諦めざるをえなかった「社会貢献」が出来るのではないか?という思いがありました。

さらにもう1本の有料記事公開を経て、今年の10月には障がい者目線で綴ったエッセイを発信するnoteメンバーシップを始めました。

全身の筋肉が衰えて、寝たきりの生活になってしまったことが何だ。呼吸筋が衰えて人工呼吸器をつける生活になってしまったことが何だ。声を出せなくなってしまったことが何だ。幸いなことに自分が侵された病気は、脳神経、ニューロン、これまでに培ってきたシナプス結合に対しては何も手出しできず無力なのだ。何が言いたいのかと言うと、頭の中はとってもクリアってことです。

幸いなことに、公開した有料記事はそれぞれ年間約10本のペースでご購入いただいております。また、noteメンバーシップにも参加してくださる方がいらっしゃって、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

声が出せない寝たきり障がい者が、様々な形でコンテンツを発信できるnoteというプラットフォームを通じて、一度はその道を断たれた「社会貢献」をしている事、「#私だけかもしれないレア体験」をさせて頂いております。


これからもチャンスがあれば有料記事の発信を続けていきたいなと考えています。MyWay突き進んでいきたいと思います。


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