見出し画像

1000字でまとめる『世界標準の経営理論』~ 1-8 ゲーム理論① (第1部 第8章) ~

2019年12月に早稲田大学の入山教授が出版した『世界標準の経営理論』。出版早々に購入するも、面白そうな章だけつまみ食いした以降は、3年ほど本棚の肥やしとなっていた。しかし、2022年10月にマネジメントへの一歩へを踏み出す中で【経営】への関心が再び高まり、この機会に丁寧に読み直すことにした。

本noteは自身の咀嚼を主な目的として、各章の概要を各noteで "1000字程度" で整理すると共に、読む中で感じたことを記録する備忘録である。なお、今の自分にとって目に留まった章から順番に触れていく。

(導入説明 300字、各章概要 1000字、振り返り 500~1000字 構成である📣)


1.本文概要:ゲーム理論①

✄『世界標準の経営理論』該当ページ:P151~P166 ✄

ーーー
ゲーム理論とは、例えば「相手がある行動を取ったら、自分はどう行動するか?」あるいは「自分がある行動を取ったら、それに対して相手はどう行動するか?」といった、相手の行動を合理的に予想しながら、互いの意思決定・行動の相互依存関係メカニズムと、その帰結を分析するものである。

ゲーム理論の基礎の多くは、競争戦略においては、少数企業が市場を占有する「寡占市場」の分析に適用される。企業数が少なければ、自社の行動がライバルに影響を与えやすいことが背景である。

ーーー
■その①:クールノー競争
特定分野の市場が、A社とB社の複占状態にあるとした場合におけるゲーム理論である。(ここでは詳細は割愛するが) A社およびB社の両社ともに大きな方針として「増産」「現状維持」の2つの選択肢がある。

この選択は両者同時に決定し、一度決まったら変更できないものする。この様に、2社が生産量などの数量について意思決定する状況を「数量ゲーム」と呼ぶ。また、意思決定が同じタイミングで行われることを「同時ゲーム」という。この様に、数量ゲームと同時ゲームで特徴づけられる競争関係を クルーノー競争 (Cournot competition) と呼ぶ。

本競争下において相手の行動如何に関わらず一つに絞り込める選択肢がある場合、それを 支配戦略(dominant strategy) と呼ぶ。また、同時ゲームでは「相手の行動を所与としてその行動の場合分けを行い、それをもとに自社の最適な戦略を探し出す」ことを行うが、最終的に定まる結果(均衡) を「ナッシュ均衡 (nash equilibrium)」と呼ぶ。

クルーノー競争から得られるナッシュ均衡には2つのポイントがある。1つは「ナッシュ均衡は安定的である」ということ、1つは「この安定的なナッシュ均衡は、必ずしも両社にとって最善の状態ではない」ことである。これは、クルーノー競争が「非協力ゲーム」であることを背景とする。

ーーー
■その②:ベルトラン競争
クルーノー競争では「増産か、現状維持か」が関心毎であったが、価格設定がより重要な戦略である状況も存在する。A社とB社の2社が製品の価格について意思決定する状況を「価格ゲーム」と呼ぶが、価格ゲームと同時ゲームで特徴づけられる競争関係を ベラントン競争 (Bertrand competition) と呼ぶ。

典型的な非協力ゲームのベラントン競争では、両社とも価格を引き下げ、そして両社とも利益を失う状態が実現することが多い。いわゆる価格競争に陥ってしまう。これには「ベルトラン競争で重視されるのが価格戦略である」ということと「非協力ゲームであること」が関係している。

ベルトラン競争の結果として、完全競争と同じような水準まで利益率が下がってしまうことを「ベルトラン・パラドックス」と呼ぶが、本パラドックスを防ぐ上での経済学者から示されている視点は『十分な差別化』および『ビジネスの特性』である。

2.本章に対する振り返り

マネジメントを行う中では "得られた結果" を振り返りながら自身の判断の正しさを考える場面は多いが、「自分は最善の選択をした」と思える場面はそれほど多くない。常に反省する日々ではあるが、ゲーム理論のナッシュ均衡的な観点で振り返ることは、『その時点の判断としては最善であった』と自身の立ち回りを前抜きに捉えるヒントになる のではないかと考える。

ーーー
また、クルーノー競争の一部ゲームでは他者の判断は自社の判断に影響しないが、この点に興味深さを覚える。マネジメントにおいても、この様に『自分の判断を行う上で捉える範囲(関係のない範囲) を切り分ける』ができれば、意識を向けるべき部分がより明確になり、組織における投入可能工数をより "望ましい方面" に振り分けることが可能となる。

ーーー
組織における各部門/各職場においても、連携不全に伴う「非協力ゲーム」に基づいたパラドックスは少なからず生じていると感じる中で、全体としては『非協力ゲームであることは、全体最適化を著しく損ねる』ということに着目したい。本書としてはあくまで "市場競争における理論" としての紹介であるため、協力する(結託する) ということは前提になり得ないが、組織にはその様な縛りはない。如何に組織内に「協力ゲーム」を増やしていくか?

【参考資料】


ここまでお読み頂きましてありがとうございました!💐
この記事は「自分のための学び」を公開している形ですが、一読頂いた方にとって、何かお役に立つ部分があったなら甚幸です!

「知恵はかい出さんとあかん、井戸から水を汲み上げる様に」を大事にしながら、日々のマネジメントに対する振り返りをツイートしています👇



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?