カヤックでは社員の評価・給与制度にボードゲームを導入しました

どうも、面白法人カヤックで人事をやっているみよしです。

評価や給与制度にはどの会社も課題や困ってることがあるのではないかと思います。僕らカヤックにももちろん課題がありまして、それを解決するために、ボードゲームを使ったワークを実施してみました。

実際に作ったボードゲームがこちら。

こんな感じで、カヤックの評価制度を学べるボードゲームを自作し、実施しました。

「まだカードは開けないでくださいね」って言ってるのに、カードの封を開いてしまうくらいにはノリノリで、なかなかオリジナリティがあり、かつ、参加した全社員300人が楽しめるものになったのではないかと思います。

今回は、そんな評価ボードゲームを実施した結果、得られた知見などを共有していきたいと思います。

そもそもどんなボードゲームなの?

ゲームは2つに分かれてるんですけど、両方とも面白法人の社長視点について考えるゲームです。最初にやるのがこれ。


前提として、カヤックでは、同じ職種内で相互投票をして、結果が月給に反映されるようになっています。相互投票というのは、具体的にはそれぞれのメンバーが以下のようなランキングを入力(対象の人に点数をつけ並び替える)する感じです。これを全員がやって、その合計が月給に反映されます。

このランキングのつけ方の基準は「自分がカヤックの社長になったつもりで月給を高くしたい順に社員を並び替えてください」という1つだけ。人によってその基準が変わっても(社長になったつもりでつけてれば)OK。そういうアバウトさがカヤックらしさでもあります。

まとめると、多人数の相互評価で基準が主観的。僕らはこれをティール型評価制度とか呼んでいます。

で、このゲームは、それぞれが持つ「自分がカヤックの社長になったつもり」とはどういう基準か?を言語化してもらい、自分と他人とで評価のつけ方(軸)にどんな違いがあるかをディスカッションするためのゲームです。


やり方はとてもシンプルで、

1)前回の評価を思い出し、自分の基準(=自分がカヤックの社長になったつもり)に近いものを20枚の「お題カード」から5枚選ぶ。


2)ボードにそれぞれが選んだカードを並べる。
※この時、その後のディスカッションがしやすいように、選んだ人が多いカードを左に寄せ、自分以外誰も選んでないものを右にまとめるようにしています。


3)並べ終わったら、1人1分で選んだ軸について簡単に共有をし、その後「グループ内でバラつきが出たもの」を中心に、それを選んだ理由・選ばなかった理由をディスカッションする

この3ステップ。

お題カードを使ったゲームのポイント

白紙の状態で何かを議論するのって、とても難しいんですよ。特に「あなたはどうやって評価していますか?」みたいな話は普通にやっても、あんまり議論が進まないか、抽象的な言葉の応酬になりかねない。

なので、多少強引でも20枚の中から5枚を選択させるという方法をとりました。選んでるうちに「いや、この基準はちょっとだけ自分のとズレてるな」とか「これとこれ、どっちも重要だから迷うー」とか。白紙では出てこなかった評価基準への自分の考えがあぶり出される(気がする)。

人間、目の前にあるものから近いものを選ぶっていうのは簡単にできるもの。あと、カードを並べると他者との「差」が視覚化されるので、議論の整理と方向性が一目瞭然になり、話が自然と生まれる。

そんな感じで、それぞれが持つ「自分がカヤックの社長になったつもり」とはどういう基準か?を言語化してもらい、自分と他人とで評価のつけ方(軸)にどんな違いがあるかをディスカッションしてもらいました。


--- ✂ ---(ここまででだいたい半分終了)


長くなってきたけど…もうひとつのゲーム

2つ目がこれ。

「同じ評価軸」でランキングをつけたときに、自分と周囲とでどんな違いが出るかを知るゲームです。例えば、「カヤックの今後の成長に直結する人材かどうか」という評価軸を全員が持っていたとしても、アイデアマンを選んだり、PMみたいなキッチリした人を選んだり、その人が会社の状況などをどう認識してるからで変わってくるもの。なので、そのあたりをディスカッションするためのゲームを作りました。

本番と同じように真剣に悩んでもらうために、社員300人近くに組織への適応レベル・思考タイプ・キャリア志向・ブレストスタイル・パーソナリティなど9カテゴリー111問から構成されるアンケートとり、社員特性を12分類してカードを作ってたりと、わりと本格的です。


やり方はさっきのゲームと似ています。

1)出されたお題(評価軸)に対して12枚の社員カードを以下の3つのグループに分類する。
●この評価軸に沿った場合、とても高く評価する人
●この評価軸に沿った場合、平均的な評価の人
●この評価軸に沿った場合、かなり評価が低い人

例えば「社長目線で見て、カヤックが世の中から支持され続ける為に必要な人材かどうか」というのが、今回のお題でした。


2)グルーピングが終わったら、ボードにカードを並べる。
※色が明るい方のボードは「評価が高い」グループを並べる用、色が暗い方のボードは「評価が低い」グループを並べる用


3)並べ終わったら、メンバー内でバラつきが出たものについて、どのような意図でその社員カードを選んだのかなどを共有・ディスカッションする。

この3ステップです。高いグループと低いグループだけ残して、真ん中のグループを省くのは、差をくっきりさせた方が、価値観の違いをあぶり出しやすいからです。


なんでこんなボードゲーム作ったの?

最初にお伝えしたように、カヤックの評価制度は「社長になったつもりで」相互投票をして決めるというものです。

「社長になったつもり」というものは、裏を返すとそれぞれの主観です。主観の集まりは意外に正しく、主観の集まりが、その組織がいちばん大切にしている価値観であり、いちばん納得感・公平感が出るという考えで続けてきました。でも、最近、こんな課題が出てきました。

(どこも同じかもしれないけど)評価に対して出てきた不満

●自分の評価が低いことに不満を持っている
●今後のカヤックのことを考えるともっと評価された方がいいのに、全然評価されてない

前者はわかりやすいと思うのですが、後者をもう少し解説すると、例えば、アイデアやバズが好きな(昔ながらの)カヤックメンバーにとってまじめにコツコツ作業をする人は、いてくれるのはうれしいけど、すごいとは思わない。でも、それは組織が数十人の時代であって、その価値観ではこれからやっていけない。とかそういう感じのことです。(それがいいか悪いかは別の問題)

あと、作ってく中で分かってきたことですが、一応、社長視点のガイドラインは作っているものの、「自分が社長になったつもりで評価をする」ということが一番の肝なので、ガイドラインは目安であって守るべきものじゃない。のに、いつの間にかみんなガイドラインの言葉通りに評価しているということが分かって、これも課題だなとなりました。

まぁ、まとめると、評価システムが老朽化したということです。制度も建物と同じように、時間が経てば老朽化します。だから、修繕やリフォームが必要です。


--- ✂ ---(もうちょっとで終わるよ)


カヤックの給与はみんなで決めます

一般的な会社は人事考課などで人事や上司が決めます。さらに、ある程度評価軸が与えられています。そこが根本的に違う。なのに、中途や新卒で入ってきた人は、普通の会社の評価のイメージのままやってる。それでは、どれだけいいシステムを作っても回らない。

だから、評価制度のシステムそのものではなく、それを使う人の考えをちゃんとアップデート・アジャストしていこうという方向に舵を取りました。

図にするとこんな感じです。(一般的な)評価制度というものに対する理解も必要ですし、カヤックにおける社長視点についても理解を深めていかないといけないなってことで、この2軸。

言い換えると、(評価する立場では)適切な評価判断の軸を身につけること、(評価される立場では)多様な評価・判断軸があることを知ることでさっきあげた不満を解消できるだろうというロジックです。

お風呂で下の冷たい水と、上のお湯をかき混ぜてお湯の温度を一定にするみたいなイメージです。


やってみて面白かったこと

みんなの評価軸をボードゲーム化してみて一番面白かったことは、それぞれがカヤックの現状をどう捉えているのかが分かるということでした。自由奔放な人を評価する人もいれば、秩序を守る人を評価する人もいる。でも、その濃淡が事業部によって明らかに異なる。それは、事業部のメンバーが総体として「カヤックの組織は今こうあるべき?」というのを示しているように思います。

事業部メンバーが感じている「今」と経営陣や人事が考えている「今」と「未来」が違うとき、組織をどこに進めるべきか、そんな示唆と課題をこのゲームは与えてくれるなぁと思いました。


暗黙知を形式知化するにはボードゲームが一番

あと、抽象的な議論になりがちな評価というテーマも、ボードゲームというアウトプットを目指すことで、曖昧さや不明点を作らずプロジェクトを進めることができました。

なぜならボードゲームというのは、ルールやアイテムに「なんとなく」とか「こんな感じ」がないからです(それを逆手に取ったゲームもありますが)何があやふやか、どこがあやふやかが、作る途中ですぐにわかります。プロトタイプを作ってテストもできるので、自分だけが分かって他人がわからないこともすぐに気づけます。

その結果、言語化の解像度は高くなるから、評価制度への自分たちの理解が高まったし、標準化されるのでだいたい誰でも使える。そんな副産物がありました。

組織の暗黙知を言語化・形式知化するには、ボードゲーム制作はすげー役立つなって思います。みなさんもぜひ試してみてください。


あと「うちの評価制度がやろうとしてるのってシビュラシステムだわ!」っていう気づき

ここまで読んで気づいた人もいるかも知れませんが、このボードゲームの着想はアニメ『サイコパス』に出てくる、シビュラシステムの概念から来ています。

一番最初にこのゲームを作るキッカケとなった打ち合わせで、「評価軸をこちらからは提示できない。なぜなら、今ある評価軸が絶対ではないし、そもそも、人が変われば評価も変わる。そういう動的平衡を残したいけど残せない」みたいな課題を聞きながらひらめいたんで、人事メンバーにすぐ話したんだけど、みんなサイコパス見てなかったんで困りました。人事の人はみんなサイコパス見たほうがいいと思います。

完璧な相互評価システムの作り方はシビラシステムだったなって思いました。


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コメント1件

サイコロ使ってた頃よりだいぶ進化してますねw
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