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カヤックLivingの組織論|Vol.3 僕らがリモートメンバーを増やすと決めたワケ

在籍する職場ではなく、自宅やコワーキングスペース、カフェなど職場から離れて(=リモート)インターネットやメールなどを活用しながら勤務する「リモートワーク」。

場所や時間といった制約にとらわれないフレキシブルな働き方ですが、リモートワーク制度を導入する企業は少しずつ増えている一方で、リモートワークを推奨しない企業もまだまだあることも事実です。

今回は、そんな「リモートワーク」について、代表の松原佳代、テクニカルリードの西崎悠馬が話しました。

(編集/モデレーター 増村江利子)

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まず、その人と一緒に働きたいかを問う

増村 「カヤックLivingでは、この8月に、フロントエンジニアでリモートメンバーを採用したんですよね。でも、もともとは鎌倉出社メンバーの採用ではなかったでしたっけ?」

西崎 「事業の立ち上げ期には、日々議論を重ねてプロダクトを進化させていきたいからいくことがマストなので、『鎌倉に来て働く人』がいい、それに越したことはないという考えでした。じゃないと絶対にだめだと考えていました」

増村 「最初はリモートワークを考えていなかったんですね。」

松原 「私自身が出産してからこの2年間、リモートワークを活用しているし、フレキシブルな働き方は認めたい。でも、経営する側に立ち、事業をドライブしようと思ったときにリモートワークの難しさ、効率の悪さを感じるのも本音なんですよね。リモートワークを成立させるためには、お互いにすごい努力が必要だし。とりわけカヤックLivingはスタートアップ期だから、わたしも今回は集まって働く組織にしよう、と思っていました。

そんな時に、とみーが応募してきた。この人と、一度話してみたいなと思ったんです。なぜかというと、スノーボードがしたいという理由だけで長野に移住していたから!」

西崎 「オンライン面談をしたら、感じがよかったんです。それが全てですね(笑)。エンジニアとしての技術的な要素は置いておいて、一緒に働きたいか、をちゃんとみようと思って。それに、スノボしたくて移住する人にあんまり悪い人いなさそうだなって。」

松原 「業務委託ではなく、一緒にカヤックLivingのメンバーとして物事をつくり上げていけるチームメンバーを探していました。この人と一緒に働きたいかという視点でみた時に、仲間にしたいと思ったんです。結果、リモートだった。彼に決めることは、リモートでも働きやすく、ひとつのチームになれる組織をつくると決断することでもあって。みんなで話し合った結果、そちらに決めました。」

増村 「その人と一緒に働きたいかどうかって、重要ですね。」

松原 「よく考えたら、増村さんともずっとリモートの関係ですよね。長く一緒にやっているのは、増村さんが何ができるかというよりも、一緒にやりたいという気持ちが先にあるかも。おそらく、リモートの相手を選ぶ上で必要なことは、相手を尊敬していること。あとは、仕事のパートナーというよりは、人として好き。それが大事だと思います」

増村 「ありがとうございます(笑)」

松原「親会社のカヤックのビジョンのひとつに「何をするかより誰とするか」という言葉があるのですが、リモートのパートナーこそ、「何をするかよりも、誰とするか。どこでするかよりも、誰とするか。」なんじゃないかと思っていて。この人と一緒に仕事をしたいのか?ってことが、結構本気で問われるような気がするんです。

リモートで加わったメンバーが楽しく働くための秘訣

西崎 「実際に一緒に仕事をし始めましたが、とみーはいい感じですよ。オンラインで話していると突っ込みどころがあっても、遠慮して突っ込めなかったりとか、発言が少なくなったりすると思うんですけど、ちゃんと気になるとこは突っ込んでくれていて。やっぱり一緒に働けてよかったです。」

松原 「お客様にならないというか、遠慮しないというか、そういう姿勢って、リモートワークをする人にとって必要なんじゃないかと思いますね。リモートであることに引け目を感じることなく、一員として加わる意思が。」

増村 「私がリモートワーカーとして心がけているのは、そのサービスやそこで働いている人たちへの情熱や思いを失わない、ということです。いくつもの組織を掛け持ちでやっていると、仕事量に応じて気持ちの大小が生まれやすいけれども、関わっている以上は、ずっとその情熱を持ち続けるというのがまず大事なことかなと思っていて。」

西崎 「フリーランスで移住する人の、成功の秘訣みたいな話ですね。」

増村 「もう一つあって、やっぱり外部の人間ではあるので、いろいろ見えることもあるんですよね。中にいるときは見えにくいけど、外にいるから客観的に見えることもある。だから、ほんのちょっとの違和感も、どんどん意見として出していくべきだと思っていて。松原さんはよく、「これどう思います?」って聞いてくれるじゃないですか。そういうときはもちろん、率直に答えるようにしています。中の人と同じ情熱を持ちながらも、外からの視点を活かす。そのバランスが、リモートワーカーには大事なんじゃないかなと思っています。

松原 「確かに、リモートのメンバーには、第三者的な、少し離れたところからみて冷静に言ってくれることに信頼を置いていますね。そういう関係性がつくれる人にリモートメンバーになって欲しい。その人の中にコアな部分と独自の視点があるから、第三者として意見を言えるんですよね。だから、その場所にただ住んでいるのではなくて、その場所で生きていることに美学というか信念があって欲しい。そうじゃなければ鎌倉に来てください(笑)。」

増村 「普通は、採用の条件でのぼりにくい価値観ですね。」

松原 「そうそう。でも、その人となりとして重要ですよね。私はリモートワークで働きたいんです、という理由がしっかりあるのであれば、なるほどって思うし、そこにその人の価値は生まれると思うんですよね。」

西崎 「いい話ですね。(笑)」

リモートのメンバーとよい関係性を保つための工夫

増村「一方で、リモートの場合のコミュニケーションって、破綻しやすいですよね。」

松原「増村さん、これまでに私との間で危機を感じたことはありましたか?」

増村「今だから言いますが、SMOUTというサービスの立ち上げにあたっては、どんどん進んで行ってしまうから、追いつくのに必死でした。」

松原 「それは感じていました!置いてけぼりになりやすいので、それを修復するタイミングを意識してつくらないと、関係性を続けるのは難しいと思います。ここらへんで顔を合わせて話しておきたいなとか、そういうタイミングってありますよね。」

増村 「ありますね。どれくらいの頻度で実際に顔を合わせればリモートワークが成り立つと考えていますか?」

松原 「3ヶ月に一度は会わないと、心が離れる感じがしますよね。こちらが見えなくなる感じがするときは、相手も不安に思っているんだと思うんです。そのあたりで関係をリセットするというか、お互いの気持ちを確かめておかないと中長期的にリモートを続けるのは難しい気がしますね。」

増村 「そうですね。最初の時期は、月に1度くらい会いたい気はしますね。誰とでも、メールの行間とか背後の気持ちを察するのって、多少は時間がかかったりすると思うんです。でもお互いで大丈夫、と思えたら、やっぱり2〜3ヶ月に一度くらいは会いたいですね。季節ごとに美味しいものを持って行きたいんですよ。だって美味しいから(笑)。重要な会議じゃなくても。」

仕事を依頼するのではなく、仲間として迎え入れる

増村 「いいチームをつくっていくという視点では、どんなことが必要だと思いますか?」

松原 「その人に、職能としての役割、例えばエンジニアだったらコードを書く役割以外の、組織としての役割を持ってもらうことですかね。」

増村 「それは業務的な役割というよりは、キャラクター的な役割?」

松原 「そうかもしれないですね。カヤックLivingのような10人足らずの組織だと、1人入ると組織の人格が変わる。それはリモートで参加しても一緒だと思うんです。そういうふうに、作業者ではなくて組織の一員として迎えるという姿勢なのかな。」

増村 「仕事を依頼するのではなく、仲間として迎え入れるってことですね。」

西崎 「リモートで会議に参加していると、一瞬電波が悪くなったりすると、まあ現場に任せればいいかなとか思ってしまうこともありますよね。でもそう思わせないように、工夫し続ける必要があるかもしれないですね。エンジニアって、タスクが見えやすい職種だから、会議の発言とかよりも、仕事量や何をやったかが見えやすいと思うんです。」

松原 「作業量で計られてしまう傾向はありますね。それ以外の組織への貢献度って、距離があるとやや薄れてしまう。いま、開発チームは毎日定時会議をしているみたいだけど、定時で顔を合わせるっていいですよね。生存確認じゃないですけど(笑)。」

増村 「話していて、雇う側のスタンスがとても大きいんだなと思いました。ありがちなのは、リモートワークで迎え入れても、外注をする感覚だとやっぱり外注になってしまう。外注だから仕事の単価も安くなっていってしまうし。仲間として受け入れてくれる企業があったら、リモートワークをする人間としては嬉しいですね。」

松原 「増村さんも、結構踏み込んでくれますしね。組織の状況をみて、じゃあここは私がやりますって、持っていってくれる。それはある程度、受け身ではなくて全体をみて一緒に事業をドライブしている感覚があるからできているんだと思うんですよね。そういう人だとリモートでもお付き合いが長続きするし、ここは任せようって思える。」

コミュニケーション能力の高さが必要

増村 「今、リモートワーカーがいるなかで心がけていることはありますか?」

西崎 「オンライン会議に必要なツール類を充実させておきたいと考えていて。どのインターネットサービスなら電波が途切れにくいか、マイクを替えてみようかとか。オンライン会議をどれだけリアルに近づけられるかを工夫しているところですね。同じ空間に会議で集まっても、一人でもリモートメンバーがいるなら、全員がログインをして、みんなの顔が見えるようにする。そんなことを気遣うようになりましたね。」

松原 「SMOUTは、サービス柄、地域の人たちとのコミュニケーションが多いんです。地域の人って、距離と戦っている。だから私たち自身もそこに挑戦してみようかと。」

西崎 「とみーはリモートだからこそ、前のめりなんですね。その勢いが全員に伝わって、組織全体がアクティブになったというか。確実に影響が出ています。」

松原 「移住しちゃうくらいの行動力ですからね。」

西崎 「ちなみに、リモートでうまくいっているかどうかの指標ってなんですかね?」

松原 「リモートメンバーから、私たちを評価してもらうのがいいかも。」

西崎 「なるほど。」

増村 「一人一人の力がないと、成り立たないですね。」

松原 「コミュニケーションが2割減になるから、コミュニケーション能力の高さが必須なんじゃないかな。リモートワーカーって、コミュニケーションが苦手だったり、ひとりでやる作業が多い仕事のひとが選びがちな働き方だったと思うんですけど。」

増村 「たしかに、ひと昔前のリモートのイメージってそうですね。今は自分の人生の幅を広げに、暮らしの場をつくりに移住している人たちがリモートワーカーとなるわけだから、そういうことではないんですよね。」

松原 「やりたいことがあるから、リモートという選択肢を積極的に選んだという人にメンバーになって欲しいです。47都道府県に一人ずつメンバーがいると面白いですよね。」

増村 「47都道府県会議とかやりたいですね。」

松原 「いいですね。じゃあ47都道府県からリモートメンバーを募集しますか(笑)。」

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とみーが加わることが決まってから1ヶ月。
一気に舵を切り、岩手県花巻市と共にこんな募集もはじめました。
『ぶどう農家(地域おこし協力隊)』として就農しながら デザイナーとしても働こう! ぶどう農家 兼 リモートデザイナー募集します。

そしてリモートメンバーは3人に!(メンバーを見てください!)
https://www.kayac-living.com 

バズ部、ローカル営業部のリモートメンバー、ただいま募集中です!!!

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