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#私がSMOUTに参加した理由 「地方出身者の私が、田舎をもう一度好きになったわけ。」中村圭二郎の場合

はじめまして、SMOUTで地方徘徊を担当している中村です。

面白そうな地方や人物の噂を聞きつけては、フラフラとその地へお伺いしSMOUTのご紹介をしています。

今回は、ローカルや地方創生に興味がなかった私が、なぜ田舎を面白く感じるようになったのか、お伝えしたいと思っています。

カヤックLIVINGは、現在、2つのサービスを運営しています。

2018年6月からスタートした地域への移住と関係人口のマッチングを促進する「SMOUT(スマウト)」と、建築家・工務店との家づくりを無料でサポートする「SuMiKa」です。

SMOUTを立ち上げる以前から、SuMiKaを通じて住宅業界と深く関わったことで、「空き家問題」に興味がありました。(※)

その問題の本質には過疎や人口減少があるわけですが、住宅業界だけでその問題を解決できないことがわかった頃にSMOUTがリリースされ、SuMiKaとSMOUTの2つのサービスで関心のあった「空き家問題」に関わる可能性を感じたことから、チームに参加することを決めました。

※SuMiKaはカヤックLivingが設立されたときに、(株)SuMiKaから運営譲渡されています。

徳島空港にて

世の中に新しい価値を提供できるのではないか。

ただ、正直に言うと、もともとは移住促進に興味があったわけではありません。

私自身が地方出身者(長崎県)ということもあり、都会に憧れて田舎を出た経験から、都市部で暮らすことの優位性を強く感じていたからです。

都市部から移住して地方で暮らすことをおすすめすることなんて本当にできるのか?と漠然とした不安もありました。

でも田舎暮らしや、地方で仕事を得ることに対して厳しい意見を持つ私が、その気になるようなサービスをつくることができれば、世の中に新しい価値を提供できるのではないか。

きっかけはそんな思いからのスタートでした。

渋谷駅 都市部で暮らす人にローカルのどんな情報を届けると立ち止まってもらえるのか。そんなことを地域の人と一緒に考えたい。

移住は条件ではなく、人とのつながり

それからSMOUTの立ち上げに際し、全国に散らばる、地方創生と移住促進に従事する人たちにお話を聞きにうかがうことになります。

そこで得た気づきが2つ。

まず、注目されている地域は、魅力的な好条件があって移住者が増えているわけではないということこと。

そして、ローカルを心から楽しんでいる人はクリエイティブな人であるということ。

この気づきと出会うまでは、いろんな方にしつこく質問を投げかけましたが、地方は面白くないと思っていた地方出身の私が聞きたかったことは、その地方を移住先として選んだ理由はなぜかというシンプルな問いでした。

ですが、地域で活躍する人に聞けば聞くほど、魅力的な条件で移住したような話は皆無でした。

回答をしてくれる人に共通しているのは「何となく楽しそうだったから」そんな抽象的な意見がほとんどです。

良い求人があったから?

給料の額は?

補助金の制度は?

具体的でわかりやすい移住のきっかけを探していたのですが、移住者が増える裏技のようなものは存在していませんでした。

そうして得た答えは、好条件よりも人との繋がりがきっかけで移住を決断したという人が多い……ということです。SMOUTは「人とのつながり」が大事であることを前提に設計されていましたが、私がこの抽象的な移住の動機に納得するまで、ずいぶんと時間がかかった気がします。

移住した理由として聞き出せたものは

◯◯さんが親身になって相談にのってくれたから。

◯◯さんと一緒にビジネスをしたくなったから。

◯◯さんが楽しそうに暮らしていたから……などなど。

移住者の回答は、意外なほど曖昧で、高い意識も感じられず、自然な流れのようにその地を選択していたのです。こうしたリサーチの結果、得ることができた移住を前向きに検討するきかっけとは「高条件」の情報発信でなく「人との繋がり」であるということに納得することができました。

言われてみると当然のことのように思えるのですが、リサーチで訪れた町々には必ずと言っていいほど繋がりを生み出す仕組みがありました。例えば、ゲストハウスだったり、お祭り的なイベントだったり、街なかにある何気ない角打ち(立ち飲み屋みたいなもの)だったり。

そこに暮らす人同士が軽やかにコミュニケーションできる仕組み。さらにその地に訪れたいわゆる『よそ者』が、そこに暮らす人と繋がることができる仕組み。そんなソフトとハードを兼ね備えた関わりしろを持つ地域には魔法がかかったように人が集まっています。

その仕組みに触れたときには、私自身がリサーチで訪れた地域に知人ができ、プライベートでその町に再訪したこともしばしばです。そうした繋がりを手に入れて、改めて感じる関係人口になることの豊かさや楽しさ。

人と人がコミュニケーションすることで、化学反応が起きたように生まれる「繋がり」を私以外の多くの人にも体感してほしいという思いから、現在もSMOUTのチームに関わらせてもらっています。

神奈川県真鶴町の草柳商店(酒屋兼角打ち)地元とよそ者のほかに世代を越えたコミュニケーションを生み出す空間

有形資産ではなく、つながりという無形資産がどれくらいあるか

徳島県神山町のカラオケ鳥居 コミュニケーションのきっかけになるアート作品

徳島県上勝町 名もなきコピーライターとの出会いもその土地に興味をもつきっかけに


この価値観を手に入れてからは、「うちの街は何もないんです」というありふれたセリフにも可能性を見いだせるようになり、有形資産が無くても「繋がり」のような無形資産がどれくらいあるかを見ることができるようになり、どんな地域に対してもユニークな部分を見つけることができるようになりました。

そうしている中で、ひとつの課題をみつけることができました。

それはコミュニケーションをきっかけとした「繋がり」をつくる行為は、リアルな環境で直接会うことに依存していることです。

ですが、テクノロジーの発達によりオンラインで関係性を深めることが可能になっています。これまで必要だった交通費や移動時間などのコミュニケーション・コストを大幅に削減できます。

例えばSMOUTでは「LIVE SMOUT」とうい動画コンテンツがあります。

インタラクションの情報発信、さらに移動のコストを必要としないコミュニケーションツールとしてご利用をいただき、オンラインでの出会いをきっかけに実際に移住へと繋がりました。

岩手県花巻市によるLIVE SMOUTの実際の画面。この動画をみた4人が地域おこし協力隊の募集にエントリーし、内2名が着任しました。


「情報発信」のためにオンラインを活用している地域は多くありますが、「コミュニケーション」のためにオンラインを活用している地域はまだまだ少ない印象です。

移住促進や関係人口増加を考えている地域が、オンラインを使った「情報発信」に加え「コミュニケーション」としてオンラインを活用することができればこれまでにはなかった繋がりの拡張を生み出せるのではと思っています。

SMOUTがスタートして、間もなく1年を迎えようとしています。

この1年弱の間で私ににローカルの面白さを見つける資質が備わったとは思いませんが、地域の人が見過ごしている魅力をその土地に住む人と一緒に見つけて、オンラインを活用した「繋がりの拡張」をお手伝いできればと思っています。

文 中村圭二郎

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