テネリフェの話 (1)

内容:テネリフェに行った。北西アフリカにある島だ。その記録だ。あまり客観的ではない。

(1) 語学学校の友だち

僕はいま、ドイツでドイツ語の語学学校に通っている。半年以上いくつもりで、すでに3ヶ月経った。行く前から、「友達が一人もできなくていいから、訓練だと思って毎日誰かと話そう」と決めていた。

僕はいつでもそうだ。何かやる前には、まあまあ地獄を想像しておく。地球の7割は海で、陸の7割以上は地獄なので、そう思っておいたほうがいい。だけどそのクラスは想像していたよりずいぶん良かった。

10〜15人ほどのクラスの中で、僕は英語が下手なほうだった。だけど全く話せない人もいて、takeとかwriteとかも分からない人もいる。僕は初日からそういう人とドイツ語と話していた。

いくらかの同級生と、授業の前にカフェで話す練習をしたりするようになった。学校がない土日も、集まって宿題をやったりした。真面目な人が多く、その真面目さも、ただ勉強というわけでなく「こういう目的のためにこう必要」というのがしっかりしてる。それがとても嬉しく、「わしはわしで、わしの人生の主役を適当にやるぞ」という気持ちが日々わいてくる。

そんな友だちの1人・L(仮名)が、年末に出身地に一週間だけ帰ると言った。スペインのカナリア諸島の1つ、テネリフェだ。

(2) テネリフェは島

「学校を何日か休むことになるの?」とか色々話していた。この頃にはまだ、ドイツ語で未来も過去形もうまく話せないので、すべて現在形で話す。単純な話でも齟齬がでるし、時間がかかる。

「頭脳は大人、ブローカ野・ウェルニッケ野は子ども」、変則コナンくん状態でストレスが起こりやすく、根本的な人間の寛容さが一致した相手じゃないと、長時間話す気力がなかなか起きない。これは今でも、常時つらい。でもLは本当に素晴らしい人格の持ち主で、僕はいつも、自分のできることによって、できるだけLの寛容さに報いようと心がけている。

飛行機チケット代に話がおよんだ。全部聞き取れているはずなのだが、「往路だけ」か「往復」なのか、分からない。相手は「全部込み7000円」だと言っている。矢印を空中に何度も描いて、やっと往復7000円だと分かった。安すぎる。その場で「僕も行く」と言った。

テネリフェの場所や地形は分かった。火山島で、毎年ドイツから多数のリゾート客が、冬を忘れるために訪れる。12月でも最高20℃、最低15℃ぐらいだ。

出発の日をLと同じにしたら、同じ便だった。彼女の母親の家があるらしくて、空港から自動車で連れて行ってもらって、そこに部屋が余ってるので泊めてもらうことになった。

(3) 僕の好きな地形

火山島は、マグマが冷えて固まってできている。着いて一瞬で分かったが、知ってる感じだ。

何かのゲームで走り回った記憶がある。荒涼とした、ポリゴン数を節約できる岩っぽい大地に、コピー&ペーストを繰り返したように立つ木の柱や用途不明な小屋。

映画でみるイベロアメリカの国で、野犬が出たり雑な小屋で干し肉を食べたり…そういう既視感が混ざっている。このバランスは、とても僕が好きな感じだ。

でも勝手なエキゾチシズムにおぼれてばかりではいけない。何を敬意というのかあまり分からないけど、自分なりに敬意をもってお邪魔する。

島の面積は、東京都全体と同じぐらいだ。23区外も含む「東京都全体」なので、けっこう大きい。島の中央に、富士山と同じぐらいの高さの「テイデ」という火山がある。島そのものがこの山であり、世界遺産になっている。

テイデの意味?先住グワンチェ族の言葉で「地獄」だ。つねに、地獄と海の中間のわずかな空間にだけ、わたしたちが安心できる場所がある。

(4) 大きさとか

だいたい90万人が住んでいて、東京都と同じぐらいなので、10分の1ぐらいの密度だ。だけど都市部には路面電車や大学がある。ヨーロッパ系のメガストアチェーンも進出している。

連日、Lと、そのまた友だち・Fが色んなところを案内してくれた。僕は、彼女らが使うスペイン語が分からないので、最低限の挨拶だけ覚えて、あとはドイツ語で過ごした。

Fも、以前少しだけドイツ語を勉強したことがあるらしく、すこし話せた。この島がドイツからの観光客が多く、町中にもドイツ語の案内をよく見かけるので、そういうのも影響しているかもしれない。

でもとにかく、Lはずっとドイツ語とスペイン語を往復しなきゃいけなくて、かなり疲れたと思う。

僕も、今日はもう疲れた。でも、こうやって思い出して書くのは楽しい。記録がうまくなると、次の探索の解像度も上がる気がする。「上がったから、なんだ」って感じもあるけど。

つづく

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kayamatetsu

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