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「真面目に生きる」ウェブ編集者の日記

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偶然が生まれる用意は、すっかりできているというのに

今日は、電話取材の予定があった。約束の時間、何度目かのコールで出た取材相手は、ちょっと緊張気味だった。 落ち着いて、丁寧に、相手が話しやすいように。明るい声で、一つひとつ問いかけて。なんてことはない、いつも通りに取材は進んでいくが、私は少しだけドキドキしていた。 実は今日の取材相手は、5年ほど前に海外の某都市でお会いしたことがある方だったのだ。とはいえ、本当に数回お話しした程度。多分、相手はこれに気が付いていない。 恥ずかしいのであまり言わないが、私は人の名前の"字面"

どんなことだって、適量適法がいいのは知っている

珍しく、朝から2件打ち合わせが続いた今日。久しぶりに乗った朝の山手線は、あまりにぎゅうぎゅうと混雑してて目眩がした。 半年前まで毎朝総武線の超満員路線に乗って通勤してたなんて、嘘みたいだ。職住近接できる制度は、本当に最高の福利厚生だよね、うんうん。 さてさて、今日は何を書こう。毎日違うことをする仕事だから、ネタはたくさんある。 たとえば、今日はパラフィン紙をもらった。小さい子が飲む粉薬が入ったあの袋、あのつやつやとした紙だ。 なぜか同僚の机に束が置いてあって、眺めてい

それぞれの定義とごく小規模な幸せについて

どうやら前回で、この日記は10回も続いたらしい。たった10回だけど「続いていて、凄いね」と言ってくれる人がいたりする。大したことないのにと思いつつも、くすぐったけど自分で自分も褒めてみる。偉い偉い。ぱちぱちぱち。 日記を書くようになってから、たくさん小さな幸せが日々転がっているなぁと思うようになった。 たとえば前髪を綺麗に巻けたこと、あり合わせで味つけたナスの煮びたしが美味しかったこと、Wordの不調に焦っていたら通りすがった先輩が助けてくれたこと、なんとか立て直せそうな

憧れと劣等感と、それから、それから

夕ご飯は、新しくできた近所のお蕎麦屋さんに足を運ぶことにした。その場所は地域で愛されたお寿司屋さんの跡地で、閉店の時には随分と惜しまれたと聞く。 違う土地からやってきたお蕎麦屋さんも、別の土地では大変惜しまれながら去ってきたのだという。なんとも不思議なものだし、うまくいかないものだ。大人気という触れ込みの「コロッケそば」は、美味しかった。 食事の間、多くの人は何かを考えているのだろう。誰かと食べるときは会話のために、一人のときは自分のために。目の前の食事に集中し、舌だけに

結局、心地よいことしか続けられません

家を出た時から、すでに雨の匂いがする朝だった。春の気配と絡まったもったりと重い空気を振り切るように駅に向かう。 この時点で、今日は明らかに冴えてない。そう、低気圧が来ているのだ。 私のような人間は、気圧の影響をよく受ける。色々と困ったことはあるが、私にとって一番深刻な被害は「肩こり」だ。デスクワーカーとしては本当に最悪で、あんまりにもひどいもんだから隙あれば肩甲骨を動かし、グリグリと首を回しては気をそらす。 結局、限界が来たのでイヤホンを使うことにした。とはいえ、私は音

ハイライトって、きっと些細なことでよいのだ

特別な用事がなければ休日朝には、家事をする。意外かもしれないが、私は家事が好きだ。効率化の工夫の余地があり、さらに気持ちも部屋も片付くなんて、こんなに良いことはない。 まず衣類と洗剤を一緒に洗濯機に放り込み、お米を研いで炊飯器のお急ぎ炊飯スイッチを入れる。ほぼ唯一定期的に見ているテレビ番組「がっちりマンデー」の録画を、早回しで再生する。ほほう、今日は青森県のすごさについての特集だ。 青森は大消費地である東京から遠い地域だったため、比較的運搬がしやすい小さな商品の製造事業が

大きく深く、息を吸って。呼吸をするように、今日も働いているのだ

私が働いている会社の採用説明会と交流会を開いた。いつもは会員さん限定のコワーキングスペースに約50名の方が集まり、私自身も少しだけ登壇させてもらった。 参加者の中には前職と似た環境で仕事をされている方もいて、質問を聴きながら深く頷いてしまう場面もあった。 入社半年の私は何を言うのもおこがましいけれど、「だからこそ伝えられたこと」が多少でもあったらよいなぁ、なんてちょっと押しつけがましくも思ってしまう。あんまり不恰好に見えていないといいのだけれど、とかちょっとだけ虚勢を張っ

目の前に歴史は横たわるーー「大奥」が面白すぎる話

大学卒業後に上京した私にとって、偉人の足音や歴史的な名所がいくつもある「東京」は、とても面白い。 大好きな神保町には文筆家の通った名店がいくつもあるし、商店街を歩いていても誰々の生家なんてものも唐突に現れることだってある。 先日も打ち合わせの帰りに驚いたのが、赤坂見附駅の近くに徳川吉宗ゆかりの地があるということだった。なんということだろう。この道を通った回数は20回はくだらないのに。石碑を見て、ようやっと気がついたのだ。 なぜ、徳川吉宗にそんなに心をときめかせたのか。私

ともあれ半年、生き延びたわけです。

気がついたのは、つよい柑橘の匂いがするビールグラスを持ち上げる、その寸前。2018年2月28日だ。昨年9月1日に今の会社に入った私にとって、その日はつまり勤続半年記念日だったのだ!  たった半年。 長い社会人生活を思えば、きっと多くの大人がそう思うに違いない。しかし、世の中は普通に生きることのハードルを甘く見過ぎである。 たとえば「石の上にも3年」なんて世間様は簡単に言うけれど、3年同じ会社に勤めるなんて、アルバイトを含めてもまだ成功したことがない。 「#ほめ会」とい

押し寄せる子供じみた自意識の波と、お誘いについて

ふいに、メッセンジャーの通知が上がった。誰だろう、と思い開くと、それは不意な飲み会のお誘いだった。 私は、人に誘われることが少ない方だと思う。それは、あまりお酒が得意ではないことを周りが知っているからだし、私が上京したのが就職後で仕事が絡まない友人が酷く少ないというのも理由の一つだろう。 あとは私の纏う「生真面目な印象」が手伝って、こう、どうもハメを外すような場を好むタイプに思われないからなのかもしれない。 そんな私も、よく聞くことだが、SNS上で親しい友人が複数人参加

去年の夏にした途方もない努力とその滑稽なまでに個人的な理由

今日は月曜日だが、私にとってお休みだ。というのも土曜日に出勤する仕事の都合上、平日が1日お休みなのだ。これは何かと便利で、銀行や役所、買い物など休日にしにくい用事をするのに向いていたりする。 そして、個人的に1番気に入っている理由が、仕事合間のランチと称して企業勤めの方々に会いやすいことだ。休日や夜の飲み会だと少し誘いにくい場合も、「会社のお近くでランチでも」と言えばよい。あとは相手のスケジュール次第である。 さてさて。そんな今日のランチの相手は、前職の後輩だ。 集合場

純喫茶と、現代に眠る遺産について

喫茶店が好きだ。可能であれば、お休みの日にはおいしいモーニングを出す喫茶店に行きたい。眩しくオシャレで新しいカフェは苦手だから、綺麗な白髪のおじいちゃまや、ゆっくりとソーサを運んでくれるおばあちゃまがやっているような、隠れ家のような街の喫茶店が好きだ。 ただ残念なことに、いま住んでいる家の近くには適当な店がない。大家さんに聞くと、元々は周りに沢山の喫茶店がある街だったらしいのだが、引っ越してくる前に閉まってしまったそうだ。 だからちゃんと喫茶店で過ごす経験を楽しみたいとき

真面目に普通にネガティブに、日常を生きているということ

趣味の1つとして、「#編集したい系の僕らに」という音声番組を、先輩編集者の長谷川賢人さんと一緒に定期的に収録・配信している。その収録の中で、「とりあえず、日記を書いたほうがいい」という話になった。正直なところ気が進まないが、ものは試し、と。 人から勧められたものを一度は試してみるのは、私の良いところである。まあ、真面目なので。でも怖いので、ストロングゼロを1本開けながら、深夜に。 日記を書くなんて、いつぶりだろう。思えばこれまで、私自身が考えていることや感じていることをま