中村苑子の句について

夕ざくら家並を走る物の怪よ
胎内の水音聴いてゐる立夏
貌が棲む芒の中の捨て鏡
少年美し雪夜の火事に昂りて
いつよりか遠見の父が佇つ水際

春夏秋冬と無季。すべて、ふらんす堂文庫『白鳥の歌』より引用した。この一冊しか持っていないけど中村苑子はすごくいい。私はつられやすい人間で、もともとは素晴らしき読書人の(ツイッター)「いやしの本棚」さんが紹介したことで知り、どハマりしたのだった。

しかし中村苑子は古書価がくそみそに意地悪いので(アマゾンだけか?)せめて電書化が始まればいいのにと思う。いまは歳時記や季語辞典で見る用例の句ほうがアクセスは容易かもしれない。

『白鳥の歌』のあとがきには「いままで見たいと思っても見えなかったもの、聞きたいと思っても聞こえなかったもろもろのものが、はっきり見えたり聞こえたりするようになった」ため、自分への挽歌として既刊からこの一冊を編んだと書かれている。死期を悟った著者が幽玄な地点に足を踏み入れつつ練り上げた、魂の飛び交う句集なのだ…(やはり増刷すべきだよなあ)

というわけで久しぶりのnoteへの投稿は、好きな詩人について書いてみた。

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