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松戸でおもしろいことが始まったよー!~「松戸市100人カイギvol.1」レポート

ルールやマナーでかんじがらめな日常で、ふとやわらかい目で街を見渡すと、やさしい言葉や自由な発想があちらこちらに散らばっているのを見つけることがあります。きっと気づいていないだけで、世界はもっと自由なんだ!と飛躍する思考。でもつい、ワクワクしてしまう。

そんな瞬間はありませんか?

普段行き交う道に小さな細道を見つけて辿ってみたら、思いもかけない素敵な風景に出会う。街にはきっと細道、抜け道がたくさんあります。社会にはやさしいすき間がたくさんあります。それを見つけたら、進んだら、集めたら、きっと生活も人生も社会も世界も、もっと楽しくなる。

そう思いませんか?

小さなきっかけを集めてつないで広げたら、思っていたより大きなもの、素敵なものができることがあります。そんな瞬間を見つけたくて、「松戸市100人カイギ」に行ってきました。

千葉県内初の100人カイギ。いろいろな「おもしろいこと」であふれている松戸の街に、またひとつ「おもしろいこと」が始まりました。

2019年4月20日土曜日、松戸駅西口から少し歩いたところにある、東葛クリニックみらいの中のみらいホールで開催されたトークイベント、「松戸市100人カイギ」のレポートです。

今回のゲストは次の5名です。

阿部 剛さん(通称「サポセンの阿部さん」)
山田 美和さん(通称「MamaCanの山田さん」)
松山 三郎さん(わくわくストレッチクラブリーダー)
木村 亜美さん(ふれあいクリエイター)
寺井 元一さん(MAD City仕掛人)

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◆「100人カイギ」ってなんのこっちゃ?

司会の秋山さんが説明します。

「100人カイギ」とは
地域で働く100人の話を起点にクロスジャンルで人のつながりを広げるプロジェクト

つまり、松戸で活躍している100人の話を聞いて、お互いに刺激を受け合って松戸市をよくしていこう!という、地域をよくする、活性化のためのプロジェクトなのだそう。毎月1回、毎回5人のゲストを招いて20回、全部で100人の話を聞こう!というイベントです。

毎回5人のゲストのお話を聞いて、参加者同士も交流します。この場での偶然の出会いが何かを生み出すかもしれない、生み出したい!というのがイベントの目的です。そのため、参加者同士の交流の時間、ネットワーキングの時間がたっぷりととられています。

今回、松戸での第一回の「100人カイギ」ということで、全国の「100人カイギ」を始めた高嶋大介さんが来場していました。

高嶋さんの話:
「100人カイギ」は2016年に私が港区で始めたイベントです。同じ企業にいても話したことのないひと、同じビルで働いていても知らないひとが増えてきて、無関心になっていくなあと感じました。そこでひとをつなげてみたいなって思って始めたのが「100人カイギ」。松戸が18番目の開催地域です。全国で85回くらい開催していて、参加者も3000人以上になっています。いろんなひとの話を聴くのはおもしろいものです。楽しんで、ゆるいつながりを作って帰ってください!

高嶋さんの話のあと、さっそくアイスブレイクの時間がとられました。参加者全員が席を立ち、近くのひとと自己紹介。数分おきに司会から声がかかり、グループが組み変わります。全部で4回くらい自己紹介をすると、会場内のかなりのひとと知り合うことができます。

すっかりブレイクされた暖かい活気ある空気の中、トークセッションが始まりました。

◆阿部 剛さん(通称「サポセンの阿部さん」)の話

僕の話は、僕が何者か?とかこんなことやっているよ!とか、こんなことやりたいけどどうかな?という、壮大な自己紹介です。

僕のやっていること、やりたいことのテーマは「「生き心地のいい街」ってどうやったら実現できるんだろう?」ってことです。ちょっと細かく言うと、「子どもや若者が周囲の環境に因らず、未来に向かえる社会を作りたい」ってことでもあります。わかりやすく「生き心地のいい街」ってショートカットしました。

具体的に今どんなことをやっているかというと、まずは、まつど市民活動サポートセンター、通称サポセンというところのセンター長をしています。ここは、地域でこんなことやりたいなとか、なにか活動したいなって思っている、いわゆるNPOとか市民団体のひとのお手伝いをするのが仕事です

もうひとつは、「Chieの輪」という子どもに関する活動をする団体の代表もしています。どっちかっていうとこっちの方が長くて、大学の時に立ち上げたので、もう10年近く続けている活動です。なにをする団体かというと、震災地域の子どもたちをキャンプに連れて行ったり、民間学童をやったりしています。

どうしてこんなことをやっているのかを説明すると、僕は生まれてから高校生まで、ボンボンだったんですね。父親が小さな工務店の社長で、社長の息子でした。中学から市立に行かせてもらいましたし。それが、高校3年の時に、親父が突然事故に遭いまして、仕事できなくなっちゃった。ある日、その瞬間に、ボンビーになりました。

まあ、なんだかんだで大学行くんですけども、そういう「当たり前が意外と当たり前じゃない」っていうことに気づいたんです。生きづらさを抱えたひとがいるってこと、環境によっていい方向に向かえないひとがいるってことに気づきました。

どうせ生きていくなら誰だって「生き心地のいい未来」がいいじゃないですか。じゃあ、それってどうやって作るのかな?って思ったんです。

例えば、公立の学童の話をしますけれど、結構しんどいんです。狭いところに大勢の子どもがいなきゃいけなかったりして。でもそれって誰かが悪いんじゃない。構造的にそうなっている。それを「しょうがないね」って言うの、なんだか嫌だなって思ったんです。そこで、無いなら自分でやりたいなって。それでこんな活動しています。

街づくりっていっても、街ってなんか遠くてハードな感じしません?変えられない感じ。でも「暮らし」ならなんとかできそうな気がしません?だから僕は「暮らしづくり」って言っています。それぞれのひとが実現したい暮らしを作るお手伝いをしています。

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僕がやっているのは、街の中で生まれる「すき間」みたいなものに気づいていくこと。その「すき間」に気づいたひとや「こんなことができるよ」っていうひとをつないでいます。つないでいくと意外に形になっていくんです。ひとりひとりの役割と出番を作っていくと、「生き心地のいい松戸」がきっとできていくんです。そんなことを、ぜひ皆さんと一緒に考えていきたいなと思っています。以上です。

◆山田 美和さん(通称「MamaCanの山田さん」)の話

こんにちは。私は今、NPO法人MamaCanという母親支援の団体の代表をしております。もうひとつ、松戸NPO協議会の理事もしています。プライベートでは男の子3人のママでして、小学校5年生、4年生、2年生のやんちゃな男の子の母親をしています。

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私の自己紹介から始めると、生まれは違うんですが、育ちは松戸です。でも高校で私立に通い始めてからは、あまり地元に居つかなくって。都内でウエディングプランナーを8年ほどして結婚しました。妊娠した時、土日中心に働くウエディングプランナーを続けるのは難しく、専業主婦になり、松戸に戻ってきた。両親もいる地元で子育てしてきたんですが、育児で非常にストレスが溜まってたいへんだなあと思うことがすごく多かったんです。

周りを見ても、お母さんの自己肯定感が落ちてきているなあと感じる場面が多くって。背景として、女性は男性の7割程度と言われる男女の賃金格差から、女性の方が家に居ざるを得ない、夫の方が働かざるを得ない状況などがあると思います。

子どもの自己肯定感も低下しているという問題もありますが、養育する親が自分を肯定できて、それを子どもに伝えてあげられないと解決しない。子どもに笑顔になってもらうためには、お母さんが笑顔でいることがすごく重要だなと感じたことが活動のきっかけです。

MamaCanでやっていることは大きく4つで、イベント活動、年に4回の育児情報誌の発行、シェアオフィスとしての古民家の運営、企業と組んだ事業です。

イベントをやろうと思ったのは、お母さんたちの中でも資格や特技を持っているひとが多くて、それを活かす場が欲しかったからです。提供するお母さんにも、参加するお母さんにも育児を少しだけ離れて楽しむ時間を作ってほしいと思ってやっています。

育児情報誌は「Can-Day」といって、年に4回発行しています。お母さんたちには情報を拾ってもらいたい、いろんなひとに育児の現状を知ってもらいたいと思って作っています。

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古民家は、先ほどの阿部さんの団体と共同で運営していまして、4団体のシェアオフィスです。レンタルスペースとしても貸し出したりしています。

企業さんと事業をやることが増えていますが、これは事業として回すことで対価をもらえる。そうするとお母さんたちの自信になって、自己肯定感があがるという先ほどの目的に繋がっていっています。

MamaCanの活動ももう4期目に入りましたけれど、最近よく考えるのが、私たちがサポートできるひとって限られているなあってこと。いろんな立場のお母さんたちがいて、すべてのひとに手厚いサポートをするのは難しい。だから、他のNPOや団体、行政のサービスにつなげるっていうことを重要視して、発信していきたいなあと思っています。

これからも事業型NPOとして、メンバーひとりひとりにとどまらず、関わるひとりひとりの自己肯定感をあげたい。もっともっと「お母さん業」を楽しめるような地域を作っていきたいなという風に感じております。以上となります。

◆松山 三郎さん(わくわくストレッチクラブリーダー)の話

私は、「NPO法人人材パワーアップセンター」という、シニア世代の仲間づくり、居場所づくり、健康づくりをする集まりの中で、高齢者運動教室の「わくわくストレッチクラブ」というチームのリーダーをしております。

私がやっているのは、元気な高齢者づくり。高齢者の健康づくりの教室を松戸市内に普及させようということをやっています。活動自体は、松戸市の協働事業に採用されていまして、22年から始めました。1年に5教室ずつ誕生させるって約束でして、3年間で15教室開いて、現在16教室です。

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こんな活動をするきっかけですが、私65歳で完全退職した時に、健康に対して漠然と不安があったんです。そこに特定健康診断でメタボ予備軍って診断されて。市でやっている高齢者の運動教室に通うことにしました。

教室で感じたことが、ぱっと見女性の方が多いこと、市内3ヶ所だけでしたので通えない高齢者も多いだろうなということ、行きたいひとはもっといるんじゃないかということでした。あの頃は、高齢者に特化した運動教室って、あまり見当たらないのと言うのが現状でした。そこで市の協働事業に提案して採用されたので、3年間で15教室作りました。会場は町会の会館や市民センターを活用して進めてまいりました。

運営で一番苦労したのは、高齢者の運動を指導する指導者の育成です。市が関わっているので安心感があるのか、募集すると年間30~40人応募があるんですが、育成に時間がかかるのが第一です。理論と実技合わせて6ヶ月。そこを通過するのが難しい方もいました。

次に、スタッフとして思いがあって始めても、自身が高齢だったり、家族の介護問題が起きたり、若い方だと就職が決まったりだとかで、続けられない事情ができてしまう。なので、毎年毎年育成して配置するという繰り返しです。それも熱心なスタッフがひとり、いてくれたから何とか続けてこられました。

教室を作る中で私たちが大切にしているのが、「参加者をお客さんにしない」ということです。教える、教えられるという関係じゃなくて楽しい教室を一緒に作り上げようという考え方でやっています。準備やお手伝いなど、参加者に「自分が行かないと教室が立ち行かない」と参加意識をもってもらっています。

その他の細かいところでは、6ヶ月ごとに皆勤賞を表彰するとか、参加者の特技や趣味の発表会を開くなど。スタッフのパフォーマンス維持の面では、アンケートを実施しています。毎月の定例会議も欠かさずやって意見交換や問題意識の共有をしています。

私たちは、高齢者の健康づくりは社会貢献につながるという意識でやってきました。今の悩みは、私たち自身が高齢化しちゃっているので、活動を続けていく方に参加頂けたらと思っております。ご紹介などありましたら、ぜひご一報ください。ありがとうございました。

◆木村 亜美さん(ふれあいクリエイター)の話

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初めまして。まずは自己紹介させて頂きますね。私は20代でデザイン、30代で福祉の仕事をやってきました。20代はグラフィックデザイナーやエディトリアルデザイナーなど登録や出版に関わる仕事。30代は一念発起して福祉の仕事に飛び込みました。現在は都内の病院でソーシャルワーカーとして働いております。40代となった今としては、デザインと福祉というふたつのキャリアをどうにか融合して、自分らしく活動できないかなと考えています。

取り組んでいる活動に行く前に、デザインと福祉という、「かなり違う」と感じがちなものが、実はとても近しいものであるという私の気付きについて説明しますね。

私は学生の時から、主にコミュニケーションデザインというジャンルを学んできました。オリンピックで注目されているピクトグラムなどもそうですが、分かりやすくデザインする、かっこよくデザインするということがデザイナーの仕事です。デザインと言うのは実はこれ、コミュニケーションツールなんですね。デザイン、アートというものはコミュニケーションを司っているんです。

で、一方福祉ですが、辞書で引くと「しあわせ」と出てきたりします。「しあわせ」ってなにかなというと、独りでは生きられないからチームを組む、そのためにはコミュニケーションをとるわけです。コミュニケーションがないと生活が立ち行かない。

私がずっとやってきたこのふたつのジャンルが、結局のところ、コミュニケーションというキーワードを主軸としているんだと気づきました。このデザイン、福祉、コミュニケーションというキーワードの中で、何かやっていこうと思って、活動しているというのが現在です。

実際にやっていることは今3つです。ひとつは「クラスタグラムコレクション」と言って、SNSを飛び出して双方向のコミュニケーションの中で、表現の場を作ろうということをやっています。インスタグラムが流行っていますので、子ども食堂などのリアルの場で写真展をやってみようと企画して、去年夏に2回開催しています。

次にみらいフェスタでみらい新聞を作りました。3月に行われた松戸駅周辺でのお祭りですが、ここで子どもたちに「10年後の自分に宛てた記事」というテーマで、将来何になりたいかとか、夢に向かった記事作品を作ってもらいました。

あとは来月、「うたたねカフェ」という、地域共生カフェをやります。高齢者、傷害、児童、貧困などいろんな垣根がありますが、それを取っ払った集まりです。

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最近は、デザインやアート、クリエイティブと言ったものが、どこまで福祉に切り込んでいけるか?ということをよく考えています。共生が横のつながりとするならば、デザインは縦のつながり。今と昔をつなぐ、時代をつなぐツールです。そんなことを模索しながら活動していきたいと思っています。何かお知恵がありましたら、教えて頂けたらと思います。よろしくお願いします。以上です。

◆寺井 元一さん(MAD City仕掛人)の話

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私は(株)まちづクリエイティブの代表取締役をしております。よく「街づくりクリエイティブ」と間違われます(笑)松戸の市民劇場の近くが本拠地です。ありがたいことに全国3ヶ所でなんだかんだ街づくりをやっております。松戸では「MAD City」と銘打ってやっていますね。

「MAD City」は直訳すると「気が狂ったひとたちの街」という意味になるので、ちょっと気が引けるところも(笑)ご丁寧にプロジェクトに名前を付けるところから始めるのが僕の街づくりです。もともとひとが暮らしている場所を、新しいイメージで変えていこうとしています。

僕が街づくりをやっているいきさつですが、もともとは渋谷や恵比寿の護岸にグラフィティを描こうという活動を学生の頃からしていました。街の中で、世代限らず新しいことを始める活動をサポートしてきました。

で、この「MAD City」ですが、範囲は狭くって、お配りしたステッカーの地図の範囲です。松戸の西口から6号辺りまでの、徒歩20分圏内の地域でやっています。なにをやっているのかは後回しにして…松戸は「宿場町」のいいところをたくさん引き継いでいる町なんです。そこをクリエイティブな空間にしようとしています。

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実際にやっていることは大きく3つで、不動産業、イノベーション(改装ですね)、インバウンド(観光)です。

廃墟や空き家を借りてはクリエイターや芸術家に入居してもらって拠点にし、作品などを作ってもらって、街にひとを集める装置を作っています。不動産業なので保証人なしで、本人がやっていることや作品がおもしろければ入居してもらいます。扱う地域の狭さと言い、かなり珍しい不動産屋かと思います。

入居してもらうには、廃墟や空き家の改装(イノベーション)が必要なので、それも僕たちでやります。ラブホテル跡を改装して、海外からの芸術家に入居してもらったりしていますね。有名なクリエイターが「松戸が「MAD City」っていって何かおもしろいことやってるぞ」っていって集まってくれたり、今は出て行って海外で活躍している芸術家もいます。

インバウンド(観光)の面では、古民家でクラフトマーケットとか。これはもう20回くらいやっていますね。他にはお寺でフェスをやったり、親水広場で屋台のマーケットをしたりとかしています。街のいたるところから余ったものなど集めてきて、仕事につなげていけないかなと試行錯誤です。あ、皆さん気になっている伊勢丹跡地の前の広場も僕たちが手掛けています。まだ内容は秘密です。

僕が思うところですが、街って大きいものじゃないですか。大きすぎて手に負えない。ひとは街に生かされたり殺されたりすると思っています。夢を叶えられたり、叶えられなかったりします。僕は自分の人生を変えるために街づくりをしていますし、周りのひとのやりたいことをもっともっと叶えられるようにしたいと思っています。以上です。

◆これが一番の醍醐味!ネットワーキング

それぞれの立場で松戸を語るトークが終わり、いよいよネットワーキングの時間です。

会場のあちらこちらで盛り上がる会話。知り合ったひとを知り合いにつなげるひと。知り合ったばかりのひとと情報交換するひと。自分が住んでいる街に関わっているというだけで、垣根がひとつ消え、それだけで広がっていくつながりが見られました。

私個人の話をすると、私はパトラン松戸チームという防犯チームで活動しており、情報発信チームのリーダーをしていることもあり、ちょうど出会った里山の活動を発信している方と発信方法などで盛り上がりました。

また、娘と立ち上げ準備中の団体の話もすることができて、イベントの会場に里山はどうか?との提案ももらい、後日見学に行きました。私の知り合いにつなぐこともできて、線だったつながりが立体化していく様子を目の当たりにして、ワクワクが膨れ上がった時間となりました。

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◆次回は5月11日土曜日です!

ただトークを聴くだけじゃない、参加してつながって、広がっていくのが「100人カイギ」。松戸でなにかやりたいひとには収穫がたくさんあるイベントです。やりたいまでには届かなくても、気になることがあるひとも、それについて話し合えるのが「100人カイギ」です。

次回「松戸市100人カイギvol.2」は今週土曜。5月11日です。(記事の公開が遅くてすみません!)松戸でもっと楽しく暮らしたいひとは、東葛クリニックみらいへGO!

申し込みはこちらです↓


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