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日本の放置竹林を暮らしの中に戻すために、できること。

日本では馴染みのある竹林。「放置竹林」という言葉をどこかで聞いたことがある人も多いだろう。その放置竹林を解消するために各地域で動きが起こり始めている。

放置竹林の背景をちょっと紹介すると、戦後、タケノコの生産が盛んになったことから竹が植えられ、その後生産料が減少し放置されるようになったことが一つの要因とされているようだ。とはいえ、日本の竹林面積は16万haと森林の0.5%にも満たない。注目すべきは、竹林と竹が 25%以上侵入している森林を合わせた面積になると、42 万 haまで増えるということだ。つまり、貴重な森林に竹が入り込んでしまっている、という事実がここから見えてくる(参考文献:林野庁「竹の利活用に向けて」※)。

私はいま「竹のトイレットペーパーの定期便」という事業をしている。その事業をやろうと思い至ったときに、日本国内の放置竹林の現状を知り、その竹林を活用できないかと考えた。が、日本では、竹と家庭用製紙のサプライチェーンがほぼ存在しないに等しく実現が難しく、出口をまずは示すそうと、中国の竹を活用して事業をスタートして今に至る。そもそも中国の竹のha数は600万ha、世界の0.7%を占めている。日本とは桁違いの数字であり、使って流されるトイレットペーパーであれば中国の竹を使う方が良いという考えもある。しかしながら、スタートしてから今もなお、私たちは地域の竹林事業者や工場とやりとりしながら国内生産の可能性を模索している。隠すことでもないので言うと、課題は山ほどあり、一進一退しているのが現状だ。

そんな中で、さまざまな地域において、若い人たちが、竹林整備に乗り出し、新たな産業を起こそうと頑張っている人たちに出会い始めた。

なぜトイレットペーパーだったか。初心に立ちかえる

私たちが2021年にトイレットペーパーを届け始めたのは、気候変動に対して、もちろん行政や企業が動き変化することはたくさんあるけど、暮らしの中から変化を起こそうと思ったからだ。そしてその変化のための最初のトリガーとして、トイレットペーパーを選んだ。一番無意識に消費されるトイレットペーパーが変わったら、暮らしの中の他のものへと意識が波及するかもしれない、暮らしが変わっていくかもしれない、そう考えて。

初心に立ち返り、2024年は、私たちがまずできることからやろう、そう思った。暮らしの中に、放置竹林を迎え入れる、つまり暮らしを彩るような、価値あるものへと変えて届けることで、放置竹林への関心、その地域の竹林への関心を高めるのも私たちの役割かもしれないと考え始めた。

トイレットペーパーというのはひとつの選択肢だ。商品名の「バンブーロール」は、竹からの循環づくりという意味でもある。

地域の皆さんが整備した竹林から生まれるもの、竹林を生活者へと、暮らしの場へとつなごう。

そう考えて、「&BambooRoll」という地域の竹とコラボレーションするプロジェクトを始めることにした。

第1弾は鎌倉竹部とのコラボレーション

2023年、鎌倉に本社を移転させた。そして「鎌倉竹部」の樋口純子さんにお会いした。鎌倉周辺の竹林を整備し、竹細工にしたりワークショップを行っている団体だ。樋口さんが主催する竹のイベントに、トイレットペーパーを提供させてもらったりしている中で、今回のコラボレーションは実現した。

バンブーロールは無漂白のため薄いベージュということもあり、日本のリビングに馴染みやすい。そこで、しばしば、バンブーロールを定期便でご購入くださっている方の中に、ティッシュペーパーとして活用されている方がいるのを見かけていた。

一方で、お客様から「ティッシュペーパーやキッチンペーパーを作って欲しい」、というリクエストもかなりの数で届いているのだが、トイレットペーパーほどにリユースできないものでもなく(ハンカチを使えばいいとも言える)、絶対に必要なものでもないかもしれない。私たちのチームの会議も、世の中に消費するものを私たちが増やすべきではないという意見と、どうせ使うものなら少しでも地球にやさしいものに変えたほうがいいという意見で割れ、たいてい平行線に終わっている(笑)。ティッシュペーパーに関して言うならば、使い捨てるのであれば、バンブーロールをティッシュとしても使ってもらう、というのが一番いいのでは?これが今のところの私たちの結論である。

だとしたら、ティッシュとして使いやすくする、それはやったほうがいい。そこでこのティッシュケースが生まれた。

真竹を作って作られている。もちろん、トイレットペーパー入れ以外にも使える。

個人的には経年変化で色が変わっていくこと(ベージュ×緑が、濃いベージュ×薄いベージュの2色に1年ほどで変わる)、樋口さんたちがオーダーが入ってから、切り出しに行って作ってくれることが気に入っている。

こんな風に色が変わる

また、秋に鎌倉で樋口さんとおしゃべりした時に、彼女がつけていたピアスがゆらゆらと揺れてとてもかわいくて、一目惚れして「それ、ください!」と買ってしまった竹のピアスがある。それも、販売させてもらうことにした。可愛いのでおすすめです。

これは私がオレゴンに持ち帰ってきたもの。気に入ってる。

日本の放置竹林に対して、小さいかもしれないけど、何かできる一歩としてのプロジェクトが「&BambooRoll」だ。手作りであるため、いったん限定30個の販売としている。

https://bambooroll.jp/pages/and-bambooroll-collaboration


「鎌倉産 竹のティッシュケース」、(ここからは妄想です)、「大分産 竹のトイレットペーパーホルダー」といった関連商品から、「神戸産 竹のバンブー・スマホケース」、「富山産 竹のウォーターボトル」、「松山産 真竹のイヤリング」。もちろん、トイレットペーパーもつくりたい。

そんなさまざまな産地の竹が生まれ変わったプロダクトが並んでいる場所があったら面白いのではないか。そして、自分が関わる土地の商品を手に取って、竹の地産地消をする。廃棄されるはずだった竹、放置されている竹が、役立つものとなって、暮らしにもう一度やってくる。そんなことのお手伝いができたらいいかなと思っている。

みなさんはどういう商品が欲しいですか?(コメントください)

そして、こんなプロダクトを私たちとつくっていってもいいよ!商品はあるんだけどマーケティングを一緒にして!など、コラボレーションの形はさまざまでいいと思っている。興味がある方は、どうぞお知らせください。

私たちの会社のことを知ってもらうためにコーポレートサイトも添えておきます。https://okaeri.company/


※林野庁「竹の利活用に向けて」https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take-riyou/attach/pdf/index-3.pdf
(平成30年資料となっており新しくはないのでデータは一部現状と異なるかと思います)

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