絶対に、無理をしないで

夏が終わる頃には、また暗い気持ちになるんです。

日が落ちる時間が早くなると、なんだか気分が落ちてしまって、自分の人生も終わってしまうような感覚になるんです。


誰にも会いたくなくて、30年近く家に引きこもってるんです。


生きているのが苦しくて、いつも死にたいと思うんです。大角さんも、そんなこと感じたことありませんか?


子供が可愛いと思えないです。どこかにいなくなってほしい。そのまま自分も消えたいです。



こんな数々の言葉は、私が新卒で入った区役所で保健師をしているときにかけられた言葉だった。


私は当時、将来青年海外協力隊として活躍することを夢見て、保健師の仕事を一生懸命頑張っていた。東京の区役所で保健師で頑張って、いつか海外に出たいと、毎日毎日考えていた。

そんな新卒当時の私が受け持った仕事は、担当地域の精神疾患の患者さんの支援だった。


精神疾患にはいろいろな種類がある。統合失調症、双極性障害、PTSDなど様々だ。診断名が複数になったり、治療の途中で病名が変わる患者さんもいる。

精神疾患を抱え、調子が悪いときは殺人的な思考を持つ人もいるし、衝動的に嫌がらせの電話を何度もかけてくる人もいた。


当時新卒だった私は、自分が新規で担当する精神疾患患者さんが、過去にナイフを振り回し、傷害事件を起こしたことがあるとカルテに書いてあるときは、面談時の部屋のドアは少しあけて、いつでも逃げられるようにしていた。

引きこもりの人の家に行くときは悪臭がひどいため、マスクをしていた。もう数週間もお風呂に入っていないんだろうなと予想できる身なりと、人との付き合いが苦手そうな患者さんの振る舞い。

躁鬱の患者さんは症状がコロコロ変わり、振り回されることも多かった。


そんな方たちと接してきて、私の社会人のスタートはいろいろ思うことがあった。


私は社会人になるまで、精神疾患の人たちと触れ合う機会は殆どなかった。学生の実習くらいだったと思う。保健師をスタートし、実際に患者さんと触れ合うようになってから「精神疾患」という病態を、リアルに理解していく。

殆どに共通することとして、皆幼少期や過去につらい経験をしている人が多かった。昔いじめにあっていたとか、家族に暴力を受けていたとか、何か大きな傷つくことがあったとか。さまざまだ。


私はわずか数行で書かれている患者さんのカルテを読んで、どんな過去を歩んできたのだろうと、家族はどんなふうに思っただろうと、

本人はどんなことを思い、今何を考えているのだろうとすごく考えた。


東京に住む社会人は、実はすごく「精神疾患になるリスク」と身近に過ごしている人が多いのではないかと感じることが多々ある。

特に仕事を頑張っている働き盛りの人たち。そしてこれからの日本を担っていく若者たち…


私達のことだ。


なんとなく将来に不安がある若い世代の人たちは、いろいろなことに悩んでいる。人間関係、家族、キャリアのこと、さまざまだ。

ネットでいろいろな情報を知れる世の中になり、いろんな世界を知れば知るほど、自分も輝いていないといけない気もして、息苦しい。

新しい時代の変化は感じていても、目の前の日常はそんなに大きくは変わらない。

挑戦者であることは時に批判され、誰にも認められないときもある。失敗するときもたくさんある。

大きな期待を受け、自分の思いと周りの評価が乖離していて苦しい時。

多様性を受け入れようという建前と、本当は全然受け入れられていない本音に直面する時。

他人への劣等感で自分が嫌いになってしまうとき。


私の周りには頑張っている素敵な人が多いからこそ、たまに出る「しんどい」という言葉や、笑いながら「鬱っぽいかも」なんて言う言葉には、本当にドキッとする。


そんな時私は皆に伝えたい。「絶対に無理をしないで」と伝えたい。

心の健康は、どんなものよりも最も尊いのではないかなと思っている。

日常にあふれる小さな幸せも、友だちがいるありがたみも、家族の温かさも、心がわからなくなってしまう。


私自身も、心の病にならないようにすごく気をつけている。

いろいろなことに挑戦したり、新しい環境に適応し、なんとかうまくやっているときこそ、その分人一倍、ストレスがかかっていることをちゃんと自覚するようにしている。

人に称賛されたり批判されたりしても、自分の思うことを一番大切にしている。それが最も、自分の心を守る方法だから。

皆が良いと言っても、私がNoならNo. 逆もそう。

自分の心の疲労は自分が一番わかるから、絶対に無理をしないように心がけている。人より好奇心があり、行動力があるからこそ、人よりストレスが掛かりやすいことときちんと向き合っている。


つまり何が言いたいかというと、この話を『誰かの話』としては聞かず、『誰にでも起こる話』として聞いてほしいということ。

『自分には関係ないと思っていた』ということに巻き込まれることは十分にある。

明日すごく悲しいことが起こって、それがきっかけで体調不良を起こすことだって十分に考えられる。


私の友達にはがんばり屋さんが多い。でもそんな皆に、たまにすごく伝えたくなることがある。

絶対に、無理をしないで


私は「心の健康」が最も大切だと思っているから、皆の弱音やくじけた姿を見ても絶対に批判したりしないし、ゆっくり待つことをする。必要ない応援もしない。休むこともすごく重要。


いろいろ含め、人生は長い長い道のりだから、ゆっくり休みながら。寄り道も良い。止まってもいい。それも絶対にいい経験になる。

でも絶対に、無理だけはしないでと、心の健康だけは本当に大切だと。

今日は皆に伝えたくて、少し昔の話を振り返ってみた。

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