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モーニングミーティング

今日、たった3日のシンガポール出張から帰ってきた。金曜の朝に出発し、日曜の夜には東京へ。あっという間だった。


私にとって、人生始めてのシンガポールだったのだが、とても快適な国だった。今回は女性エンジニアコミュニティ Women Who Codeのアジアカンファレンスに参加するために、弾丸の出張だったのだが、今日はそこで起こったエピソードを皆にシェアしたいと思う。



今回、シンガポールに来た話を久しぶりにFacebookに投稿した。Facebookはすっかり過疎化してしまったけど、最近の自分の近況報告のためにたまに投稿する。


昔は現地採用で、インドの汚い空気を吸いながら、安い給与で、でも人生で最も輝いた青春を送っていたが、

今となっては東京に拠点を置き、ANA便のシンガポール行きを使い、たった2泊3日で出張を終えて帰ってくる。随分出世したもんだ、Kayoreena 。それがいいかどうかは別にして。


そんな感じで「シンガポール来た」とプチ自慢をFacebookに投稿したところ、ある方が私にメッセージを送ってきた。


その方はシンガポールを拠点とした投資家の方で、インドを中心としたアジア・アフリカ界隈のITスタートアップに投資をしている。


実は過去にも何度か会ったことがあるのだが、今回私がシンガポールにいることを知って、連絡をくれたのだ。



その方と初めて会ったのは、私が2017年、インドで現地採用として働いているときだ。私は当時、毎日インドの情報をブログにまとめて発信しており、インドのことを書いている人は珍しかったため、その方の目に止まり、連絡をもらった。


インドの投資家として活動する中で、日本にインドの情報が届かないことに課題感を抱えていたその方が、私の活動をとても褒めてくれて興味を持ったのだ。当時は朝8時から、出社する前までの1時間、ウェスティンホテルで朝食を食べた。



そしてその後も近況報告をする程度に何度か会っていたが、今回もまた、そんな感じで声がかかったのだ。インドの仕事を少し一緒にやらせてもらう機会もあった。



とは言うものの、今回は金曜夜に到着し、土曜は1日カンファレンス、日曜の朝に帰国という結構ハードなスケジュールだ。その方から連絡が届いたのは、土曜の夕方。日程の調整は不可能に近い。



私は土曜の夜にホテルの部屋に戻ってきて、メッセージの返信を考えていた。「せっかくシンガポールにいるなら会いませんか。少し話をさせていただきたいです」という連絡に、普通だったら「私は明日の朝帰国するので、次回にしてください」と返すところなのだが、


私がただの現地採用の頃から、ブログの活動をずっと応援してくれていた方だったので、なんとか時間は作れないものかなと思った。これはもはや直感に近い。普段なら、99%断る。



そこで私は「明日の朝、8時半にホテルを出るので、それまでの間か、空港で搭乗するまでの時間なら空いていますよ」と伝えた。もはや遠距離恋愛のカップルですら、こんな日程の組み方はしないだろう。


すると「僕も明日、9時からミーティングがあるので、Kayoさんのホテルに7時に向かいます。一緒に朝食を食べましょう!」と帰ってきた。



強い。


でもこれは、絶対会わなければ。




と思った。その時、夜の2時を回っていて、朝が苦手な私にとって、6時半に目覚ましをセットして起きるのはちょっと大変だった。



次の日、ちゃんと投資家の方は私のホテルに7時にたどり着いた。ビュッフェ式のホテルの朝食をおごってもらい、近況報告をした。


日本でのインド人エンジニアの状況や、日印間のビジネスの情報交換をした。インドではどの辺りのビジネスが今熱くて、どこに投資をしているか。最近は、アフリカも少し広がっているらしい。


日本語に訳された海外情報は、大手新聞社ですらも、数年で交代される英語のできない記者が担当することがあるという。だからこそ、こうやって長く歴史を追っていくのは重要だということを投資家の方は述べていた。


そして日系企業が進出する際と、日系企業が投資するときに、どういった情報が必要で、どこがキャッシュポイントになるか、そんな話もざっくばらんにした。



日印のビジネスを通じ、お金だけでなく本気で両国間の関係の発展を願う者同士、話はとてもはずんだ。久しぶりに、私も原点に帰れた気がして、胸がワクワクした。もちろんお金を動かすことも大切だが、それ以上に、このダイナミックな変化に関われることが楽しい。



それにしても、こんな朝7時からミーティングだなんて、いつぶりだろう。フレックス勤務に慣れてしまった私は、もうこんなふうに頑張って朝早く起きることも、すっかり忘れてしまっていた。


何なら最近、睡眠時間を削ったり、何か余暇の時間を削って努力することも、挑戦することもちょっと忘れかけていた気がした。



今の会社に入社した当時の私は、皆の目を盗み、1秒でも時間を見つけて記事を書きたい、本を読みたい、情報を発信したいと意気込んでいたけど、

今となっては、たかがランチのお店の予約をするのに無駄に時間をかけてしまっているときもある。


もっともっと昔は、誰かより一歩でも先に進んでやろうとか、誰よりも情報を多く盗み取ってやろうとか、もっとギラギラしていた気がする。


こんな朝早くのミーティング一本を特別なこととして感じてしまうくらい、最近は少し、訛っていたのではないかなと感じたのだった。



その方は「とても大切な話をするときは必ず、その人と対面で話す」ということと「言葉と行動は違う」という話を教えてくれた。


その方は自慢げに、インドという国で1日8件アポをいれたこと記録を持つことを話してくれた。更に投資家になる前、証券マンとして営業をやっていたときも、誰よりもアポの件数を稼ぎ、人と会っていた武勇伝も教えてくれた。


たとえ30分でも、時間があれば人に会い、直接話すようにしている。直接話すと、相手のテンポや熱量がすぐわかる。感覚的に、その人がビジネスに本気かどうかということも判断できる(もちろん数字の部分も大切だが)


「一緒になにかやりましょう!」と言って実際に行動に移らないことも多い。だからこそ『会って』確認するんだ。」と、こんな朝

7時にわざわざ来てくれたその言葉には納得感しかなかった。


最後に、シンガポールにお土産の高級茶葉をプレゼントしてくれた。「今日は時間をくれてありがとう」と言って去っていった。私は何事もなかったかのように、8時半に会社のメンバーと合流して、空港へ向かった。



私も比較的エネルギーの高いほうだとは思うけど「明日の朝7時に行きますね」とサクッと言えるその方の行動力を見て、私も見習わなければいけないなと感じた。そして大体、世の中の本当に面白い話や、チャンスというのは、こういうちょっとしたタイミングにちゃんと乗れるかどうかというのに、かかっている気がする。


別に朝7時に起きることはできないことではないのだけど、ほとんどの人は嫌がるのだ。でもそんな、誰もができることを当たり前にやっていった先に、何か新しい広がりがあったりする。


そんな気づきを今日はまとめてみた。アタリマエのことしか書いていないけど。

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