幕間:皐月賞と弥生賞

中山の芝2000mで行われる両レース。
弥生賞は皐月賞のトライアルレースとして知られ、かつての有力馬は
こぞって弥生賞から始動し、皐月賞をステップにダービーへと
挑んでいった。
しかしながら、近年はトライアルレースを使わず、皐月賞へ直行するケースが当たり前になっている。調教技術や設備環境の向上により馬が仕上がりやすい環境が整っているためだ。
そんな中で皐月賞と弥生賞の関係を見てみる。

まずは過去10年の皐月賞出走馬の中で、前走が弥生賞だった馬の成績を
見てみると、0-5-2-33/40と勝ち馬が出ていない。
ただし3着内馬の割合はそこそこ高いという傾向が見て取れる。
ではなぜ弥生賞組が皐月賞で勝ちきれないのか?
1つは先に述べたように有力馬がこぞって皐月賞へ直行する為に
トライアル競争自体のレベルが低下している点。そしてもう一つは
同じ中山の芝2000mのレースでありながら、両レースにおいて
求められる特性が全く違うためだ。

次に過去の弥生賞と皐月賞における前半1000mと後半1000mの
ラップタイムの比較を見てみよう。

弥生賞:61.5-59.7(後傾1.8秒)
皐月賞:59.4-59.5(前傾0.1秒)

このように、レース展開が全く違う事が解るだろう。すなわち

弥生賞→スローペースからの上がり勝負(瞬発力と機動力)
皐月賞→ハイペースからの消耗戦(機動力と底力)

という図式になるのである。
よって弥生賞を瞬発力で勝ち上がってきた馬が、皐月賞の
消耗戦をこなせずに勝ちきれないという一つのパターンが出来上がる。
では瞬発力勝負として名高い日本ダービーではどうか?
過去10年の日本ダービー優勝馬のうち5頭は弥生賞の出走歴があった。
弥生賞勝ち(好走)→皐月賞負け→日本ダービーで巻き返しが
近年は一つのパターンとして成り立っている。

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