浅間名月雑記

浅間明月雑記   長倉 奏拍

【恨雨】2023年5月7日
 
  6千歩。愛犬との散歩から戻ると腕時計が歩数を教えてくれる。
 我が家はホワイトゴールデンレトリバーとトイ・プードルと暮らし
 ている。二人とも12歳の高齢犬だが、小型犬は中年の元気が残っ
 ていて散歩がことのほか好きである。
  数年前から東京と軽井沢の二拠点生活を始めた。春から秋にかけ
 て半年は軽井沢が生活の場となっている。当地に滞在しているとゴ
 ールデンウィーク中は旅行者で混雑するので、近隣の散歩か自宅で
 過ごすことが多くなる。
  昨日は散歩の途中、旅行者が宿泊用途で利用する駐車場の車が前
 日と比べて減っているのを見て旅の時間の終わりを感じた。
  ドックランには旅行者の姿はなく地元の方が若いゴールデンレト
 リバー3頭を遊ばせていた。我が家の老犬は一通り挨拶を済ませる
 とマイペースで歩き回り満足すると家に戻ることを納得した。
  今日は終日雨が続いた。GWの終わりには雨が似合っていると感
 じるのは、長期滞在者の悠然からかもしれない。屋外での行動を考
 えていた旅行者にとっては恨めしい雨のはずだ。
  大型犬は退屈したのか、空気の抜けたバレーボールを咥えてきて
 僕に奪い合いの遊びをせがんできた。しばらくすると疲れたのか横
 になって寝息を立てた。
  突然小型犬が窓の外を見て鳴きだした。庭の餌箱の胡桃と向日葵
 の種を食べに来た栗鼠を見つけたようだ。 この子は縄張り意識が
 強く、寛容性に欠けるところがある。テレビで動物の画像や声がす
 ると突進して大声で鳴きだす。失礼なことに人様でも上半身裸の大
 男には動物と同じように反応してしまう。やがて二人して昼寝の時
 間となった。
  この子たちにとっても散歩ができない恨めしい雨の一日だった。
 

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