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3月10日(日)

タイにいる。外は35度を超える暑さで、エアコンの効いた室内でこの文章を書いている。一週間ほど滞在する予定。ハワイでも沖縄でも感じたけど、暑い場所の光は、白みがかっている。空の青さも淡い。現地で生活するように過ごしたい。キッチン設備はあまりないので自炊はできないけど、屋台でごはん食べてタイ式マッサージ屋にふらりと入って怪しい人に話しかけられてナイトマーケットをふらふらしたい。


これ書いておいてよかったなぁと、強く思う。書くべき理由がある文章独特の強さがある。必死に書いて、公開してもよいか迷いながら公開した。もう書けない。


夜、震えるほど切ないのだろうか。わたしの奥にあるわたしの終わりに手が届いてしまう。ぼんやりとしていた終わりの輪郭を捉えてしまった。日に日に濃くなり、終わりの日に、終わりと重なるだろう、ぴったりと。もともと一つだったから、ぴったりと重なる。我々は終わりのある場所からやってきた。いまは帰り道。生まれたときに折り返した。片道切符の電車に乗り続けている。降りることはできない。あなたの震える夜を取り去ることはわたしにはできない。とても悔しい。xあなかの体温を守ることがわたしにはできない。とても悲しい。あなたを捉えた不安を霧散させることはわたしにはできない。とても寂しい。あなたとの思い出が叫び声をあげている。あなたの歩いた跡はわたしの世界にずっと残っている。あなたの道は辿れないが、わたしはわたしの道を進んでいる。あなたは淡々と逝くのでしょう。あなたは静かに慟哭するのでしょう。どうか何も我慢しないでください。あなたの人生のすべては、いつかあなたに使われるためにあります。


思い立って、来る三日前くらいに飛行機を予約して、タイに来た。

バンコクをぶらぶらしている。花粉がなくて、目と鼻が平和。物価は思ったより高くない。空芯菜炒め、チャーハンが500円、ビールパイント一杯400円くらい。海外から輸入しているものだと、日本と同じくらいの価格帯。

ふらりと入った雑貨屋さんがとても良くて、運営しているスペース用に雑貨をいくつか買った。家具も食器もとてもとても良かったけど、持ち帰れないので断念。まとめて買い付けたい気持ちがむくむくしている。

滞在初日から思っているけど、とても良いところ。暑さに当てられたのか、もっと肩の力を抜いてもいいなと思った。日々知らず知らずのうちに入ってしまう力を自覚して、だらだらと脱力していきたい。

タイにいても、毎朝カフェラテを飲んでる。

けど、4日間ホットラテを飲み続けて気づいたことは、ホットラテよりもアイスラテの方がおいしいこと。暑いからね、そりゃアイスラテの方が進化するよね。明日からはアイスラテにする。


バンコク4日目の朝、夢を見た。

物書きをしている痩せた男が机の向こう側に座っていて、自分に向かって問いを投げてきた。

「君は日々どんな風に詩を書いているの?どうして詩を書くの?人に伝わらなくてもいいの?」

それに対して、自分が驚くほどすらすらと答え出した。

「最近は、毎月10本ほどの詩を仕上げるようなペースで書いてるよ、書きかけのものや納得いかないものも含めると数十本書くことになるかな。そういうペースにした理由は、自分が、詩を書くことがある生活を過ごせるきるかを確かめたかったからなんだ。何かを見たり聞いたりして、何かを感じて、それを詩にしていく。開かれた心と感性を持ちながら行われる詩作の営みが、当たり前のように存在する生活を送りたかったんだ。過去に一度、自分の感性が朽ちそうになってしまったことがあって、その教訓からね。感性を失うことは、人の精神的な死だよ。この世界には、苦しみも悲しみも溢れているけど、同じくらい美しさも満ちていると思っている、そう信じているんだ。その世界で、瑞々しい感性を持ちながら生きたいと思っているんだよ。だから、人に伝えるために書いてるんじゃないんだよ、詩を書くことそのものを楽しみながら、詩を書くことのある生活を過ごしていきたいんだ。それに自分が書いたことが相手に伝わったかどうかは、究極的にはわからないことだからね。自分は相手にはなれない。自分が、相手に伝えることができた、と感じたかどうかはわかるけど、それはあくまでも自分の感覚でしかないよ。たとえ、自分の目の前で詩を読んだ人が途劇的に変わったとしても、それはその人のそれまでの積み重ねのおかげかもしれないんだよ、目に見えることだけがすべてではないからね。だからぼくは、詩を書くことそのものを楽しむこと、日々を新鮮に生きることそのものを、大切にしていきたいんだ。人は生きている限り、生きることしかできないのだから、どうせなら生きている間を楽しんで生きたいんだ。もちろん賞を取るための詩作、誰かのためだけの詩作というのは、それはそれで存在していると思うし、やり方はあるだろうから、挑戦してみたいけどね。」

一息にそう言い終えると、目の前の男は、何かを言い返そうと考え始めた。そこで目が覚めた。


夢の中にいるようだった。


詩はこつこつ書いていて、二月末に七本追加して、計四十本になりました。良かったらぜひ。感想レターもらえると、とても励みになります。


最後まで読んでいただきありがとうございます。