見出し画像

TPPついに合意で著作権保護期間70年に延長へ

(※本記事は2015/10/6付の会社ウェブサイトのブログ用に書いた記事の転載です。)

内閣官房TPP政府対策本部のWEBにTPP合意内容の概要が出ました。

TPP協定交渉の大筋合意について(内閣官房TPP政府対策本部)

著作権に関しては当初の予想(というかアメリカの要望)通り
・保護期間70年
・非親告罪化
・法廷損害賠償制度

の3点ということになります。

保護期間延長に関しては、個人的には著作者の死後70年は長いと思っていますが、諸外国の多くが70年となっていることとの整合性を考えると仕方無いのかなとも思います。ただ、このタイミングで戦時加算の撤廃は実現させてほしいですね。アメリカとはTPPに関わる国なのですんなり行くかなと思いますが、ヨーロッパの国などはTPPとは関係ないので、個別の交渉をしていかないといけませんね。
非親告罪化に関しては、コミケ系の人を中心にかなり不安が大きかった点ですが、これについては、「市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない」という注釈が付きました。この「収益性に大きな影響」というものをどのように具体的に判断するのかというのは難しいですが、濫用を防ぐという一定の役割はあるでしょう。とはいえ、二次創作に関する萎縮効果は残りますね。
法廷損害賠償制度に関しては、損害額の算定に関する権利者の負担が減りますが、逆に法律改正の時にいくらくらいで設定するのか決めるのが大変そうな気がします。

今後、この合意内容をふまえて、著作権法が改正されることになります。施行されるのはいつでしょうか。早くて平成29年4月かなと予想します。

以下に公開された文書から著作権に関する部分を引用します。
————————————————————
〇 著作権
著作権に関しては次のルール等が規定されている。
・ 著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。
① 自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年
② 自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間
(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年
の終わりから少なくとも70年
(ii) 当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾
を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創
作の年の終わりから少なくとも70年
・ 故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。
・ 著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

〇 オンラインの著作権侵害の防止
インターネット上の著作権侵害コンテンツの対策のため、権利者からの通報を受けて、プロバイダー事業者が対応することで賠償免責を得る制度を導入。プロバイダー事業者に著作権侵害防止のためのインセンティブを与える制度を担保。

(出所:「TPP協定の概要(日本政府作成)」TPP政府対策本部WEBより)
————————————————————

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?