個人で欠陥住宅訴訟を受任してくれる弁護士を探すのが困難な訳。


あなたが何かのトラブルに巻き込まれた時、どこから手を付けて行けばよいでしょう?

例えば離婚と言われた時。
パートナーの冗談と思って相手にしなかったら、あなた宛てに知らない弁護士事務所から郵送物が届いた。
手紙の中身に書いてあることを見てびっくり。
夫婦間の会話がないから離婚する。
あなたならどうする?

例えばペットの犬が店先で販売してるものに粗相をしてしまった。
謝っても、販売しているものを買えと言われてしまう。
あなたならどうする?

例えば相続。
同居していた兄弟は何もせず、家を出た兄弟が特別老人ホームを見つけて、そこに痴呆になった親をいれた。
同居していた兄弟は月に1度の面会に通い、家を出た兄弟は毎日面会に通い、毎日痴呆の親に話しかけた。
10年後、痴呆の親は無くなった。
看取ったのは家を出た兄弟。
痴呆になる前に聞いていた親の財産が異なるのもさることながら、80歳以上の人間は誰もが持っている郵便局の通帳がない。
同居していた兄弟が痴呆になった親の金を使い込んでいたのか・・・?
あなたならどうする?

こんな事例の時に、相談するのが弁護士というケースがあるというのも事実です。
本人同士だと。つい、お互い感情論になってしまい、早期解決に結びつかなくなることも多々あるのです。
最近はインターネットに様々な事例やノウハウが出ていますので、それらの記事を読んで解決する方も多く見受けられます。
しかし、インターネットにある記事の内容があなたのトラブルの類似ケースだったら、解決しやすいですが、全く異なっていたらどうでしょう?


実は、欠陥住宅を相談できる弁護士はあまりいない。

離婚、相続、土地の境界線に関する争いに関しては、どの弁護士に相談しても対応していただけます。
しかし、欠陥住宅に関しては、相談できる弁護士が圧倒的に少ないのです。
理由は建物に関しての専門性がハードルを上げているのです。

欠陥住宅を解決させようと、無料相談も有料相談も10件以上行きました。
でも、依頼できるような人物になかなか出会いませんでした。
ようやく依頼できた弁護士とも別れてしまいましたが、内容を聞いて、即座に受任を受ける決断ではなかったように感じます。
作業を進めるうちに、想定していたレールと異なるという雰囲気が流れ出していたのを、なんとなく感じていましたから。


さて、欠陥住宅は、建物の知識もですが、その内容にもよります。
大きくわけると3つに内容を分けることが実は可能なのです。

欠陥住宅分類①建物に対する請負代金または、売買代金請求事件

工事途中で不備が見つかっても対応してくれないので、契約金額を全部払わなかった。
分譲戸建を購入した。しかし、引越直後から雨漏りがしているから、契約金を返して欲しい。
そのような内容の事件が中心です。

欠陥住宅分類②建物の工事の未完成が原因とする損害賠償請求事件

我が家の欠陥住宅がこれに当てはまるのではないかと考えます。
壁紙が一部貼られていない、給排水の勾配がとれていない、工事後に提出された図面も、現地と整合性のないものばかりです。

欠陥住宅分類③工事に伴う振動または地盤沈下に基づく建物に関する損害賠償請求事件

これは完成した新居に住んでいたら、家が斜めになっていくという現象です。
多くの場合、地盤調査を行ってから建物を建てます。
しかし、実際に建物を建てる土地の地盤を調べず、近くの土地耐力を調べたり、道を挟んだ向かいの家の地盤調査資料を流用したりすると、発生する瑕疵です。
また、崖地に建物を建てた時、地盤が緩んで建物がずれてしまった時にも損害賠償として発生している裁判判例も拝見しました。

欠陥住宅分類あなたはどのケースに当てはまる?


欠陥住宅の判例から判断すると、多いのは①の売買代金請求事件が多かったです。
設計図面を書いたが、実際にその工事は行われなかった。
図面を書いた作業料金を請求するという内容もありました。

③に関しては、そんなに多くはなかったです。
隣の家が解体したら、地盤が緩くなり建物が沈没したと言う訴えもありますが、売買代金請求事件ほど多くはなかったです。
もしかしたら、調停で終わる内容で、裁判までは行われたかったのかもしれません。

我が家のような②の建物の工事の未完成が原因とする損害賠償請求事件は、とにかく判例内容も細かく書かれていて、裁判官も苦労しているのだと理解してしまいます。
なにしろ、瑕疵一覧表が必ず判例に添付されています。
修復工事するのにかかる予測費用見積もりも添付されています。
なにしろ、他の裁判の頁よりも多い状態でした。


欠陥住宅専門の弁護士が少ない理由のひとつは、我々はこの三つすべてを欠陥住宅と言ってしまうからです。
そして、一番時間がかかる②や③に関しては専門的な知識がとても必要です。
でも、それがわからない弁護士も多いこともひとつです。

自分も何度となくフィラーに関して同じ説明をしました。
現地にいけば納得したのか、質問は出てきません。
しかし、一か月後の打合せを行うと、また同じ説明を行うのです。

訴える原告も建築の勉強を充分にし、専門単語、専門用語を覚えないとなりません。
そして、裁判官に説明するかのように、契約した弁護士に細かく説明し、時には疑いの言葉をかけられるのに耐えなくてはならないのです。

参照:建築紛争とADR/日本弁護士連合会 ADRセンター編


いえまなび手帖をお読みいただきありがとうございます。こちらに記した内容があなたのお役にたち、少しでも悩みが軽減されると嬉しいです。 訴訟関連はたった独りで戦うようなものです。支援を頂くことにより、孤独ではないという安心感が生まれます。どうぞよろしくお願いします。