名称未設定_3

NOWを考える①

2014年12月17日(水)に2冊目の画集『NOW』を発売します。

中村佑介 画集『NOW』
2014.12.17発売 / 3000円(税込)
A4変形サイズ / 224ページ / 飛鳥新社
【ご予約】Amazonセブンネット(※特典付き)

詳しい仕様はオフィシャルBlogを、収録作品の説明は『NOW』に別冊付録としてついてくる"全作品解説集"をご参照して頂くとして、こちらのnoteには画集全体のコンセプトや、発売に至った経緯などのメンタル面を綴って行こうと思います。


まずは前作『Blue』からちょうど5年(収録作品としては6年)経ったのと、作品も溜まっていたので、マネージャーの沼田さんから「キリが良いし、どう?」と聞かれたのがはじまりです。

そう書くと、発売当時に手に入れて下さった方も「もうそんなに!」と思われるかもしれませんが、『Blue』がちょうど僕が女の子をモチーフに描き始めた1998~2008年までの10年間の作品が収録されていたので、「それに比べると5年は短かすぎるかな」とも思いましたが、僕ももう36才にもなったので、勿体ぶるのはやめようと思い、首を縦に振りました。

同じ絵を描く職業でも、イラストレーターアーティスト(美術家)とは違い、商品のパッケージ(印刷物)を描くのが仕事で、絵を額に入れて展示することはありません。裏を返せば、その商品が店頭に並んでいる限り、イラストレーターの展覧会は何十年だって続きます。しかし、この「額に入れる」という作業は一見、"作品を汚れから守ると同時に見栄えをよくする"という見る人に対しての効果ばかりに見えますが、実は作家本人にとっても、とても重要な役割を果たします。それは"キリをつける"ということです。特に油絵やデッサンなどは、時間をかけて上から何度も何度も塗り重ねられるので、「まだ行けるんじゃないか? もっと良くなるんじゃないか?」と完成の目処がなかなか経ちません。そこで"額"という鍵付きの箱のようなものに入れてしまえば、「これはもう終わったんだ」と踏ん切りがつき、作家は次の作品へと気持ち良く向かえます。

つまり、そういう意味でイラストレーターにとっての"画集を出す"という行為も、そこまでの活動全体に区切りをつける、巨大な額縁に入れるような効果があります。実際に『Blue』を発売して、ようやく自分の絵は変わることが出来ました。これも、それこそ15年以上ずっと活動を応援して下さっている方にとっては、毎日一緒にいる相手の髪が伸びるように、なかなか気付きにくいかもしれませんので、同じASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドの為に描き下ろしたCDジャケットを比較してみましょう。

左が『Blue』に最後に載った作品で、右が今回の『NOW』に最初に載る作品です。こうして比べて見ると、線や絵の細かさ、女の子のイメージ、色遣いなどの変化がハッキリお解り頂けると思います。画集としては5年の間隔が空いているので、「それだけ経てばそりゃ変わるだろう」と思われるかもしれませんが、この2作品、実は同年に描いたものなのです。

左:『ワールド ワールド ワールド』2008年3月5日
右:『藤沢ルーザー』2008年10月15日

たった7ヶ月しか違わないのですね。では、この間に何が起こったのか、それは単純に画集『Blue』の発売が決まったことです。(発売自体は2009年)そんな風に画集を出すという事は、作家の次への気持ちのステップに繋がります。そう考えると、『NOW』を出した後に自分の作品が再び、どう変わって行くのかが"今"から楽しみで仕方ありません。

それでは「なんでそんな絵に変わったのか?」、次の回ではそんな気持ちの変化についてお話ししようと思います。ごきげんよう。

【ご予約】Amazon / セブンネット
(※セブンネットのみ限定特典トートバック付き↓)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?