ライフエンディング業界の市場分析まとめ

葬儀業界事情

超高齢化社会により今後30年間は葬儀施行件数は増加見込みのため、葬儀業界は市場規模を拡大中で、成長産業と言われている。

人口動態(死亡者数)

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」

現在、日本の人口は1億2000万人以上だが、少子化の影響で40年後には3,000万人以上減り、1億人を切ると言われている。
日本の人口減少傾向は、年間の死亡者数の減少につながると考えがちだが、今後1948年前後に生まれたいわゆるベビーブームの団塊世代が還暦を超えて、年間の死亡者数が100万人の大台を超え、2040年頃には年間165万人を超える。
つまり、日本では、これまでに経験したことのないほどのペースで人が亡くなっていく。

お墓事情

残された遺族が亡くなった人々のお墓を造り、それを維持していかなければならない、そして、多くのお墓が必要になる時代が待ち構えている。
一方で、ひと昔前までは、家族共通の眠る場所としてお墓を建てることが一般的だったが、今では、お墓を造らないという選択をする人も出てきている。
また、少子化により、例えば、一人っ子なら代々継がれた墓を継げばよく、新たにお墓を作る独立した家庭は減っている。
さらに、お墓のタイプも、これまでの形態の墓石だけでなく、木など苗木をお墓とする樹木葬や、納骨堂、永代供養墓など、さまざまなかたちが生まれてきている。

葬儀の業界規模の算出

葬儀業界 1兆6546億円
≒ ゴルフ関連(1兆6760億円_2008年レジャー白書)
≒ 機能性化粧品(1兆6857億円_機能性化粧品マーケティング要覧2009)

葬儀関連業界 1兆0617億円
 通夜からの平均飲食接待費 4170億円
 寺院への平均費用(お経、戒名、お布施) 6446億円

墓地・石材業界 6839億円
墓地・霊園 3839億円
石材店 3000億円

宗教用具業界 2628億円
宗教用具 2628億円
うち、仏壇 1313億円

以下、算出方法

葬儀業界=1兆6231億円
①葬儀一式の平均費用×②施工件数で算出

①葬儀一式の平均費用は、121.4万円(2017年)
通夜からの飲食接待費 30.6万円
寺院への費用(お経、戒名、お布施) 47.3万円
葬儀一式費用 121.4万円
⇒ 葬儀費用の合計 188.9万円
葬儀にかかる費用はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター

②施工件数≒死亡者数=1,363(千)(2017年想定数)
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」

以上より、121.4万円×1,363(千)=1兆6546億円

葬儀関連業界=1兆0495億円
①(通夜からの平均飲食接待費+寺院への平均費用) × ②施工件数 で算出

①通夜からの平均飲食接待費は30.6万円、寺院への平均費用は47.3万円(2017年)

②施工件数≒死亡者数=1,363(千)(2017年想定数)

以上より、(30.6万円+47.3万円)×1,363(千)=1兆0617億円

霊園・石材業界=6839億円
墓地・霊園 3839億円
石材店 3000億円
吉川美津子著「図解入門業界研究 最新葬儀業界の動向とカラクリがよ~くわかる本」より

宗教用具業界=2628億円
経済産業省製造産業局日用品室「仏壇産業の現状と今後のあり方に関する研究会報告書(平成23年5月)」より

商業統計によれば、宗教用具の国内販売額は、1994 年をピークに減少傾 向にあり、2007 年には 2,628 億円となっている。宗教用具には仏壇、仏 具、神具、線香等が含まれており、業界推計1 では仏壇販売店の売上に占 める仏壇本体の売上比率は約 50%とされていることから、2007 年の仏 壇本体の売上は約 1,313 億円と推計される。

墓石関連の統計データや業界事情

墓の建立数
1990年代半ば以降はほぼ横ばいで年間を通じて30万基ほど。

石材店の数
石材店に関する正確なデータはなかなかありません。
日本石材産業協会の推計では、全国で約1万2000社あるとされ、そのうちの90%以上は、従業員5名以下の零細企業です。

石材店の業界事情
墓に対する考え方が大きく変化しており、石材店の業界事情は決して明るくなく、次のような大きなトレンドの変化に直面している。

・納骨堂や永代供養墓など埋葬方法の多様化
・販売価格の下落
・葬祭業、仏壇業、造園業、加工業など他業種からの墓石小売業への参入
・多額の資金を投じて霊園開発を行っても、資金を回収できず売れ残り、経営を圧迫するケースがある

石材店で、堅実に運営できているところは、複数の寺院を提携している石材店で、広告宣伝費や販売経費がほぼかからず、寺院と家族ぐるみの付き合いを深めるなどによって、着実な経営をしていける。
また、墓地の老朽化や人口の都市部集中による改装などによる建て替え・リフォームへの需要に期待をかけて、測量士による隣墓地との境界明示、司法書士による墓地の相続権利等の相談を行っている石材店もある。
ただし、こういった需要ピークをすぎており、70%ほどは完了しているという見方もある。

葬儀関連業界一覧

葬儀専門業者 / 冠婚葬祭互助会 / 葬儀専門人材派遣会社 / 生花・フラワーショップ / 料理・仕出し業者 / 返礼品・ギフト業者 / 写真・映像サービス / 外装・備品レンタル / 湯灌(ゆかん)・エンバーミング / 寝台車・霊柩車 / 葬儀社紹介サービス / 散骨業者 / メモリアルグッツ販売 / 遺品整理業者 / ホテル / 石材店 / 霊園開発 / 仏壇業界 / 葬儀社のIT化サポート / 会館プロデュース業

ブライダル業界に続いて葬祭業界でも新たなビジネスが誕生するのか?

ブライダル業界と葬祭業界は似ていると言われます。
ともに基本的には人生において一度きりの大切なイベントです。
そのため、ビジネス上でも共通点は多くあります。

・式場を貸している
・招待客(弔問客)のために料理を用意して提供する
・装飾品や衣装、専門用具がある
・招待客(弔問客)に渡す引き出物(返礼品)がある

などが共通点として挙げられます。
ブライダルも葬祭も昔は、非常に画一的な儀式でした。
そして、ともに昔は事業者側で集客しなくてもお客さんはやってくる環境でした。
ブライダル業界は、ホテルか結婚式場が主流で、お客さんの選択肢も多くなかったため、集客しなくても申し込みが集まりました。
一方の葬祭業界も地場産業であるため、病院に常駐して紹介してもらえたり、親戚付き合いが多かった時代は利用したことのある親戚などから紹介を受けていました。

しかしながら、ブライダル業界はここ20年くらいで大きく多様化しました。
一方で、葬祭業界はまだ旧態依然の部分が多いと言われています。

ブライダル業界の変化

特にブライダル業界で起こった大きな変化は、ゼクシィの登場です。
ゼクシィは1993年の創刊でこれまでになかった情報誌の登場を促しました。
それにより、儀式は多様化し、個性を重視する式が現れた反面、低価格のサービスも登場しました。
結婚式の場所もこれまでのホテル、結婚式場のみから、ゲストハウスやレストラン等でも式が挙げられるようになりました。
海外挙式も一般的になりました。
今までの他人と一緒の結婚式から、ひとりひとりのニーズに合った結婚式へとシフトしました。
また、集客において、インターネットが大きな役目を果たすこととなりました。
従来のブライダル業者もホームページを充実させて、ゼクシィなどへの掲載で集客に注力する必要が生まれました。
新興業者も増加して、非常に競争の激しい業界となっています。

ブライダル業界と葬祭業界の規模の比較

ブライダル業界も葬祭業界も関連ビジネスまで含めると2兆円超の市場とも言われています。

ブライダルの業界規模
2015年の1件あたりの挙式、披露宴、パーティにかかる費用は352.7万円です。
年間の婚姻件数は63.5万件で、このうち、挙式・披露宴を実施する割合は6割です。
つまり、352.7万×63.5万×60%=1兆3438億円と推定できます。
関連ビジネスとして、新婚旅行や婚約指輪、結婚指輪などが挙げられます。

葬祭の業界規模
2015年の1件あたりの葬儀売上高は144万円です。
年間の死亡者数は130.2万人です。
つまり、144万×130.2万=1兆8749億円と推定できます。
関連ビジネスとして、墓石、仏壇や遺品整理代行、終活サービスなどが挙げられます。

ブライダル業界と葬祭業界の今後の見込み
葬祭業界においては、死亡数は今後2040年まで増加することが見込まれています。
そのため、葬祭業界は、成長産業と呼ばれることもあります。
一方で、ブライダル業界は、婚姻件数が減少傾向にあり、市場規模が縮小していくと予想されています。
特に、2010年と2060年の人口ピラミッドを見てみるとよくわかります。
結婚する世代である20~40歳の世代はかなり減少しており、平均寿命である80歳以上の人数には変化はありません。
このことから、今後葬祭業界は増加、もしくは横ばい傾向、ブライダル業界は減少傾向になると予測されています。

葬祭業界の足元の状況

簡素化により平均単価は減少傾向
葬祭業界は、高齢化によって死亡者数が増加するため、葬儀件数の増加は見込まれていますが、葬儀の売上高や取り扱い件数は最近では横ばいになってしまっています。
これは、葬儀の平均単価が減少していることが要因です。
2006年の149万円をピークに、2012年には140万円となっています。
葬儀の平均単価が下がっている要因としては、死亡年齢の上昇による参列者数の減少や、都心部を中心に親族等の関係が希薄化したことによる家族葬や直葬の増加が挙げられます。
つまり、簡素化のニーズが高まっています。

参入業者は増加傾向
さらに、参入業者の増加も挙げられます。
特に、従来の不透明な価格設定に対して、パッケージ化による明朗会計を打ち出す新興業者が現れました。
葬祭業は、生前に葬儀の話を進めると縁起でもないと非難されたり、葬儀社に言われるがままの価格を受けいれざるを得ないなど、慣習が大きな変化を阻害してきました。
しかし、近年、ようやく慣習から脱却し、価格の明瞭化・低価格化を掲げる新興業者が増えてきました。
このような価格の透明化も葬儀の低価格に拍車をかけていると言えそうです。

インターネットも重要な集客ツールへ
葬祭業界でも、ブライダル業界と同じ道をたどるかのように、インターネットの集客の重要性が増し、ホームページを充実させる事業者も増えてきました。
昨今では、近所付き合いの希薄化、地域コミュニティへの参加の減少などにより、地域の葬祭業の集客は難しくなっています。
一方で、集客チャネルとして注目されているのが、インターネットです。

葬祭業界各社の戦略

葬祭業界には、参入の障壁となるような法規制は実は存在しません。
官庁による許認可制度もありません。
ただし、火葬場を保有する葬祭事業者には、火葬場設置の許認可や遺体埋葬に関する墓地・埋葬等に関する法律が存在します。
そのため、葬祭業には、従来の専門業者に加えて、ホテルや電鉄、農協、生協などが相次いで参入しています。
また、直近では、面白法人カヤックが葬儀ビジネスに参入して、葬議場を使わない自宅葬に特化した子会社を立ち上げました。
鎌倉自宅葬儀社|自宅葬専門葬儀社「最後の思い出も、家でつくる。」

ベルコ
従来の事業者は大手のベルコを筆頭に、小額の掛金と多くの会員で成り立つ互助会方式です。
互助会方式により、生前からの囲い込みを行っています。
ベルコの業績は、2007年度580億円から2015年度582億円と横ばいです。

創業=1969年
葬祭事業売上高=457億円(2016年3月)
事業=葬祭、婚礼
ブランド=ベルコのお葬式
特徴=互助会
エリア=兵庫、北海道、福岡中心に東北、近畿エリア等

平安レイサービス
平安レイサービスは、介護事業も手がけて、介護事業からの送客も行っています。

創業=1969年
葬祭事業売上高=80億円(2016年3月)
事業=葬祭、介護、冠婚
ブランド=湘和会堂
特徴=介護事業で生前から囲い込み
エリア=神奈川、東京中心

ティア
従来の業者に対して、1990年以降に設立された比較的新しい事業者は、それぞれ特徴のあるサービスで事業を拡大させています。
ティアはドミナント方式で地域に特化して、知名度と稼働率を引き上げる戦略です。

創業=1997年
葬祭事業売上高=102億円(2015年9月)
事業=葬祭、FC
ブランド=葬祭会館TEAR
特徴=ドミナント方式
エリア=中部、関西、関東エリア

エポック・ジャパン
エポック・ジャパンは、FC展開をして、家族葬に特化しています。
また、全国一律ではなく、地域の葬儀習慣や斎場・火葬場事情に沿ったプランを提供しています。
従来の専門業者である燦ホールディングスと平安レイサービスの売上高が横ばいである一方で、独自路線で展開しているティアやエポック・ジャパンの売上は増加しています。
エポック・ジャパンの売上は、2009年度33億円から2013年度42億円と増加しています。

創業=2000年
葬祭事業売上高=42億円(2014年5月)
事業=葬祭、FC
ブランド=家族葬のファミーユ
特徴=家族葬に特化、FC展開
エリア=全国

イオンライフ
そのほか、2000年以降に登場したイオンライフやユニクエスト・オンラインは、仲介業に特化しています。
イオンライフは、ショッピングモールの店舗網を強みとしています。

創業=2009年
葬祭事業売上高=開示なし
事業=葬祭、終活サポート
ブランド=イオンの葬式
特徴=仲介業、ショッピングモールの店舗網が強み
エリア=全国

ユニクエスト・オンライン
ユニクエスト・オンラインは、低価格・追加料金不要を強みに全国展開しています。

創業=2006年
葬祭事業売上高=開示なし
事業=葬祭
ブランド=小さなお葬式
特徴=仲介業、低下価格・追加料金不要、インターネット
エリア=全国

葬祭の関連ビジネスが登場

葬祭市場の拡大と変化に伴って、さまざまな関連ビジネスが出てきています。

遺体ホテル
遺体ホテルは、遺体を一時的に預かってもらうサービスです。
日本では、ほぼ100%火葬によって遺体が処理されますが、火葬する死亡者数が増加する一方で、火葬場の数は減少傾向にあります。
首都圏ではすでに火葬場は1週間待ちの場合もあります。
大規模火葬場への統合が進み、火葬能力は向上していますが、今後死亡者数が増加することを考えると火葬場の不足は喫緊の課題です。

遺品整理代行サービス
老老葬を背景としたサービス

手元供養

散骨サービス(海洋散骨など)

終活セミナー
相続税改正を背景としたサービスです。

ドライブスルー葬儀
弔問客の高齢化を背景としたサービスです。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

4

香月@名古屋

業界分析

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。