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気絶とはなんなのか


さて本日5月10日(金)、いよいよ気絶の2号店『おもちゃとメイドの店 気絶』が長野県松本市にプレオープンしました

気絶としては2店目、姉妹店の昭和99年を含めたら3つ目の実店舗です

東京都文京区湯島という局地的なエリアでこそそれなりに知られている気絶ですが、松本のみなさんには『気絶』とはなんなのか、さっぱり伝わってないと思います

というわけで先ほど2号店のプレオープンに立ち会ってきたこのタイミングで、自分こと気絶の舎長かすやかずのりが、なぜ気絶を作ったのか、気絶で何をしていきたいのかを少しお話しさせてください。松本発あずさ60号が新宿に着くまでに書き終えたらいいな

▶︎気絶ってどんな店

気絶は自称オルタナティブメイドカフェ。コンカフェさんと混同されたくないので、こう言い張っています。メイドが接客するお店ではあるけど、いわゆる萌えの提供はしていません。『メイド服を着ている女の子』という属性をウリにするのではなく、お客さんとメイドがサブカル的オタク的な友人関係を築くことがわれわれの接客スタイル

結果的に気絶のメイドには子持ちの主婦や男性もいます。属性ではなく人間力を見て採用を決めたら結果そうなりました。採用したい人たちがたまたま主婦や男性だったというだけなので、そのことを殊更アピールするつもりはありませんが『若い女の子』という属性を消費するための店でないということは強く言っておきたいです

▶︎なぜ気絶を作ったのか

もともと自分がなぜ気絶を作ったのか…端的に言えば『ストレスのない仕事をしたかったから』です

気絶以前、自分はとある企業をクライアントとするコンサルのようなことをやっていました。経営部門ではなく業務スキームを構築する言わば『運営コンサル』のような仕事。当時はありがたいことに無相応なギャラをいただいており、金銭的には特に不満のない生活でしたが、金銭以外の部分はめちゃくちゃ不満でした

というのもそのクライアント企業には『人を使い捨てにする体質』が蔓延していたように感じられたからです

派遣法というものがありまして、派遣で人を採った場合、2年の派遣期間を勤めあげた人はその会社が正規雇用しなおさないといけないのですが、クライアント企業は正規雇用化を避けるため2年経過する前に派遣社員の雇い止めしていました

このいっしょに働いている人たちが2年でシステマティックに目の前からいなくなるという仕組み。これが自分にとってははちゃめちゃにキツかった

自分は経営についての才覚はまったくないので、これがどれくらい人件費の節約になっていたのかわからなかったけど、とにかくこの仕組みが『イヤ』だった。これをヨシとしてる現場で働くことがものすんごいストレスだった

働く人のことをコストだと考えなきゃいけないなんて悲しすぎるぜ

かくして自分はそのクライアントとの契約を更新せず、無職となる選択をしました。時は平成が終わるほんのちょっと前

人を使い捨てにする会社と縁が切れたことはとても気分がよかったのですが、よかったのは気分だけ。現実にはこれから何を生業にしようか…という問題が大きくのしかかってきます

そんな中で敢えて飲食店を開くという決断をしたのにはもちろん理由があります。ひとつは予算の問題。小規模型の飲食店であれば、自分の僅かな蓄えでも、新たな借入などせずに始められそうだったということ。もうひとつは以前からスナックのビジネスモデルがとても秀逸だと感じていたこと。スナックをベースにすれば自分なりの個性を発揮したお店を作れそうだぞと

そうして出来上がったのが、メイドと存分にサブカル話・オタク話ができる店『気絶』です。最初はメイドスナックを名乗ろうかと思ってましたが、酔客が大挙してきたらイヤだなと思ってスナックという言葉は看板から外しました

おかげさまで湯島の気絶1号店は先日オープン5周年を迎えることができました。今の仕事にはまったくストレスがない!とは言いませんが、人を使い捨てる会社からお金をもらっていた頃に比べたら隔世の感があります

今の自分はメイドに食べさせてもらっている立場。小さなお店だからこそメイドたちのありがたみを毎日肌身に感じております。みんないつもありがとう…

▶︎気絶で何をしていきたいか

ふわっとした言い方ですが、気絶を通じて『仕事』を再定義したいのです

・給料は何かを我慢した代償に得られるもの
・個性を発揮しすぎると疎まれる
・売上を作った人が偉いという風潮
・勤務時間中はどれだけ仕事を詰め込んでもいい

こういう日本社会に蔓延る同調圧力的な仕事の常識をスクラップ&ビルドしたい!

もちろん気絶という小さな箱での出来事が社会全体を大きく変えられると自惚れているわけではありません。でもほんの少しでもしょうもない慣習を疑う人が増えてくれたらいいなと

ストレスなく、得意なことだけして、楽しく過ごしていても、何も消耗せず、きっちりお金が稼げる。それが気絶の目指している仕事像です

もちろんまだまだ改善の余地はありますが、それなりにバランス取れているんじゃないかなーと自負しています

▶︎気絶の楽しみ方

いろいろ小難しいことを書きましたが、お客さんが普段そんなことを気にする必要はありません。とにかく気絶という場を楽しんでください

漫画・アニメ・ビデオゲーム・ボードゲーム・アイドル・お笑い・演劇・プラモ・バンド…どんな趣味であっても気絶にはそれらを否定する人間はいません

お客さん・メイド…そしてなんなら気絶に出入りしている業者さんも含め、気絶という空間を共有しているすべての人とサブカル話・オタク話でわいわい楽しめたら最高だなと思っています

普段の生活になんとなーく息苦しさを感じているのなら、ちょびっとだけ勇気を出して気絶の扉を叩いてください。ほんのちょっとだけ生活に潤いと彩りがもたらされることを請け合います

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