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【海外での勉強・フィジオとして働くことを目指している方へ】カナダでフィジオセラピストとして働くためには

2009年にカナダでフィジオセラピスト(理学療法士)として働くことを夢にカナダに来て、ようやく現在フィジオセラピストとしてカナダで仕事をしています。これまでの経験を生かし、今現在日本で理学療法士として働いている方、スポーツトレーナーとして働いている方で「将来は海外で(特にカナダで)働きたい』『カナダで修士・博士などの学位を取りたい』という夢を持っている人達に何かプラスになれることがあればと思いこのブログを書き始めました。

ちなみに留学するとなると気になるのが『英語』。私は帰国子女でもなかったですし英語が得意だった訳でも全くありません。英語はホントにゼロからのスタートでした。サッカーを理由に工業高校から東京の大学に入学し、大学2年次終了後に初めてイギリスへ海外進出(もちろん英語はゼロで)。1年間大学を休学しイギリスで英語の勉強しましたが、それでも私の英語は海外の大学で勉強できるレベルでは全くありませんでした。日本に戻ってきてからも毎日のように英語を勉強したのをよく覚えてます。

ですので、今現在英語が得意じゃない方でも『将来は海外で働きたい』とか『海外で勉強・研究したい』と思っている方は絶対夢を諦めないで下さい。諦めないで少しずつ前進して行けば必ず夢は叶います。

It's hard to beat a person that never gives up.              (絶対諦めない人を負かすのは困難である。)

といことで、まずは大きな夢を持ちそれに向かって挑戦していくことが重要です。これが前提で現在のカナダのフィジオセラピーの事情を次にお伝えします。

〜カナダのフィジオセラピーの現状について〜

まずカナダで理学療法士として働くメリットには次のような点があります。

1.カナダの理学療法士には開業権がある。
2.ここ数年、理学療法士の需要が増えてきているため理学療法士になると仕事が見つけやすく、地方の方に行くと政府またはその地方からボーナスが給料に上乗せされて働くことができる。カナダでは理学療法士の認識度が非常に高く求められる職業です。
3.幅広い領域で仕事が出来る。

仕事の場所:
Private clinic - 個人経営のクリニック
Home-care - 自宅訪問・ホームサービス
Hospitals /Rehabilitation centres - 病院・リハビリテーションセンター
Schools - 学校
Sports teams - スポーツチーム
専門分野:
General Practice - 病院などで手術後・入院期間中に受ける理学療法
Paediatrics - 子供の治療を専門とした理学療法
Sports Medicine - スポーツ医学を専門とした理学療法
Oncology - ガン患者さんのリハビリを専門とした理学療法
Burns & Wounds - 火傷・怪我のリハビリを専門とした理学療法
Cardiorespiratory - 心臓・呼吸器官に関する予防・リハビリ等の理学療法
Amputations - 手・足を切断した後のリハビリを専門とした理学療法
Neurology - 神経系に関わる理学療法
Orthopaedics/Musculoskeletal - 骨・筋肉に関しての診断、治療、予防
Rheumatology - リウマチ学に関する病気の理学療法
Vestibular Rehabilitation / Concussion - 三半規管・脳震盪の治療・管理
Palliative Care - 緩和医療期間中に行われる理学療法
Research - 理学療法の研究
Perineal/Pelvic Floor Dysfunctions - 骨盤底筋の治療を専門とした理学療法
Geriatrics - 高齢者のための理学療法
Pain Management - 慢性痛を専門とした理学療法

逆にカナダで理学療法の資格を取るのが大変な点は、

1.カナダでは理学療法士の国家試験に挑戦するためには最低大学院の学歴が必要。 他の国で勉強した際には、カナダの理学療法士の国家試験を行う組織(Canadian Alliance of Physiotherapy Regulators)に必要書類を送り、もし足りない教科単位があればその単位を取らなければいけません。   2.カナダ全体でたった15大学が大学院レベルの理学療法プログラムを提供しています。1校約80名の定員。(ちなみに日本では日本理学療法士協会の平成30年4月6日の時点でのデータによると学校総数261校)
3.英語またはフランス語必須。(英語のレベルとしては大体TOEFLは 600点以上 (paper version); 250点以上(computer version); 100点以上(internet version)、IELTSではアカデミックテスト(Not General Test)でトータルスコア 7.5 以上(各項目は最低 7.0以上) )

もし日本の4年生大学を卒業していれば、大学の時に理学療法士の勉強していなくてもカナダの大学院でフィジオセラピープログラムに入ることが出来ます。大学院は2年半のプログラムで入学選考は次のように行われます。

まずは入学願書を申請できる条件、
1.4年生大学を卒業していること(120単位)もしくは同様のレベル
2.理学療法の分野に関わった70時間以上のボランティア経験
3.卒業した大学での成績がB+以上
4.必須教科:物理、英語、人体解剖学、心理学、確率/統計、そして運動生理学. これらの科目の単位はB (72%)以上 

それぞれの大学院によって求められる条件は多少異なってきますが、その条件をパスすれば入学を希望するアプリケーションを申請することができます。

私はカナダに来て直ぐに理学療法のプログラムには入学申請が出来なかったので、パーソナルトレーナーの資格をカナダで取得してトレーナーとして働きながら必須教科の授業をオンラインで受けていました。

第一次審査は書類での審査で、大体一校に500名くらいの生徒が応募しその中から200名くらいの生徒が2次審査の面接に進めます。

私は受けた際の2次審査の面接ではMMI (Multiple Mini Interview:マルチプル・ミニ・インタビュー)という面接方式が採用されていました。(現在は少しやり方が違ってきているみたいですが。)MMIとはインタビュールームが10室用意されており、各ルームのドアにはそれぞれ違ったシナリオが書いてある紙が貼られています。それシナリオを2分間で理解し、その後部屋の中に入りそのシナリオに対して自分はどのように対応するかを答えるとといった面接です。

最終的にMMI方式の面接のスコアと書類審査のスコアをもとに合格者約80名が選出されます。

ちなみに私はMMI方式の面接まで2回進みましたが2回とも不合格となり、3回目でやっと合格出来ました。

大学院のフィジオセラピープログラムでは何を学ぶのか?

私はカナダのケベック州にあるマギル大学(McGill University)という大学で理学療法を2年半勉強しました。

2年半のプログラムでは主に筋骨格系、神経系、心肺機能の理学療法について学びました。ちなみに人体解剖学や運動生理学については入学前に理解しているということが前提なので、骨・筋肉の名称、運動生理等についての授業は全くありませんでした。

プログラムの内容
筋骨格系、神経系、心肺機能、プロフェショナルプラクティス(医療系に関わる分野で勉強している生徒たちとお互いのプロフェッショナルについて理解を高めたり、それぞれの職種が協調し合うことでどのように患者さんをサポートしてくのかを話し合ったり、実際に体験する場)、小児科の理学療法、ガン患者のリハビリ、慢性痛の症状を持つ患者さんへの理学療法、スポーツ現場での理学療法、実習(8週間の実習を4回)、グループ研究論文
など

以上の内容は私が学んだマギル大学での内容ですので、他の大学のプログラムとは多少異なることがあると思いますが、カナダでは全ての理学療法プログラムがアクレディテーション(教育機関の品質認証)をパスして理学療法プログラムを開いているので全体的には似たようなプログラムになっていると思います。

大学院の理学療法プログラムを終了したら国家試験が受けられます。(ちなみにカナダ国内の15校ならどこの大学を卒業しても国家試験が受けれます。)国家試験は1次(筆記)・2次(実技)があり、その2つの試験を合格して最終的に理学療法士の資格がもらえます。

ただケベック州で働くためには国家試験ではなくてフランス語のテストをパスしないと資格はもらえません。

これから海外(特にカナダ)で働くこと・勉強することを目指す方へのアドバイス

1.まずは情報収集(日本にいる間に可能)
取りたい資格、入りたい学校、海外で働くためには何が必要なのかという情報を調べることです。学校については1校ではなくいくつか行きたい学校を見つけ、その学校にアプリケーションを申請するには何が必要なのかを知ることが大切です。もちろんインターネットを使っても調べられますが、もし既にあなたが目指している夢を実現している人を知っていたら、その人にコンタクトを取ってみるのも凄く良いと思います。インターネットでは調べられない情報が得られるはずです。

2.情報を収集したら計画を立てる(日本にいる間に可能)
『日本にいる間に何が出来るのか?』を考え計画を立てます。もし申請に必要科目があれば、その教科をオンラインコースなどで取ってしまうことも可能です。私の場合はカナダに来てパーソナルトレーナーとして働きながらAthabasca University (https://www.athabascau.ca/)という大学のオンラインコースを利用して必須科目を受講し単位を取りました。

3.ちなみにもし現在理学療法士の資格をお持ちであれば、ケベック州のマギル大学ではブリッジコースと言って他の国で理学療法士の資格を持った人たちのためのコースがあるます。そのコースを終了し、フランス語のテストをパスすればケベック州で理学療法士として働くことが出来ます。

4.申請に必要な英語のテストはタイミングを計って取る
多くの英語テスト(TOEFL, IELTS等)のスコアは2年間有効です。ということは必要とされるスコアを取っても2年の間に申請しないと再度テストを受けないといけないことになってしまいます。タイミングがかなり重要です。

5.必要言語を出来るだけ上達させる
今はYoutubeなどでも英語を効率的に学ぶ色々な対策方法が紹介されていますし、インターネットで調べてみればオンラインコースなども沢山あります。またスカイプを使って実際にネイティブの人と英語で会話することも可能です。英語を勉強する方法をクリエーティブに考え、毎日勉強していくことが重要です。あとは間違うことを恐れずに英語・フランス語を使って実際に会話をすることで早く語学を身に付けることが出来ます。

6.最後のアドバイスとしては、夢を実現する過程でつまずいたり、失敗したりすることも多々あると思います。ただそれで諦めるのではなく、自分の可能性に挑戦してみてください。私の場合もここまで到達するのにパーソナルトレーナーのテスト1回不合格、パーソナルトレーナーとして働き始め月給5万以下の月も数ヶ月、理学療法の大学院プログラム2回不合格、子供が生まれ「自分の夢を追うよりも家庭を守るためもう少し安定した仕事を見つけた方が良いのではないか」と悩んだこと多数、白血病の診断1回、国家試験2次テスト不合格1回、カナダで理学療法士になるのは無理じゃないかと思ったことは沢山ありました。ただ自分で決断したことを途中で諦めるのがイヤで、また私を信じてくれている家族のためにも頑張らないとと思い、出来ることを毎日少しずつ続けてきた結果、ようやく1つ夢を実現できたと思っています。ただこれが私のゴールではありません。やっとスタートラインに立てたので、これからは新たな夢に向かって動き出しています。

今現在『海外で働きたい』とか『海外で勉強したい』という夢を持っている方は、絶対夢を夢で終わらせないで下さい。人生【何回成功したかではなく、つまずいたり・転んだり・倒れてもそこから何回立ち上がって前に進んで行ける】が重要ではないでしょうか。

長いブログになってしまいましたが貴重な時間を取って読んで頂きありがとうございます。何か質問・コメントがあれば教えて下さい。

応援してますので、是非頑張って下さい!

かず







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