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映像撮影の技術解説 Vol.2|RIZAP BA篇 TVCM

今回は『RIZAP(ライザップ)』CM の撮影技術の解説をします。

今年で5年目を迎える、自分のキャリアの原点とも言える思い入れのあるシリーズ。2015年には ACC CM FESTIVAL でゴールド受賞。最新作は「LINA」篇。まずは完成版をご覧ください。

写真家レスリー・キーの存在

世界的な写真家 レスリー・キー 全面プロデュースのもと、5年間、変わらず同じスタッフ構成で制作。スタッフの平均年齢は30代中盤。

日・英・中の3ヶ国語を使いグローバルな活動を続けるレスリー。この5年間、グラフィック撮影の様子を見続けているが、いまだに彼から学ぶことは多い。とにかく熱量がすごい・・

最近、アシスタントの枠に空きが出たようなので、もしポートレートを志すなら、彼の下で世界のセレブリティ人脈に触れておくのも、貴重なキャリアパスになるかも知れない。

撮影空間

150坪規模のホリスタジオ。CM用の回転台、グラフィック用のグレーのバック紙のセット。大音量でBGMを流すため、防音環境が必須。撮影の様子はメイキング映像、テレビ番組のドキュメント映像など YouTube で数多く公開。

RIZAP の世界観のおもな構成要素は、以下の通り。大きな丸い面光源、髪に躍動感を出す風、表情をひきだす大音量の音楽。回転台を含めキーとなるのは、この4要素。

<おもな構成要素>
・回転台
・BRIESE LIGHT(ブリーズライト)
・送風機
・大音量のBGM

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撮影設計

カメラは当初は RED EPIC で撮影。2016年頃より ARRI ALEXA XT に変更。変更理由としては、黒背景のグラデーションの階調表現とリッチな質感。現在はその後継機である ARRI ALEXA SXT を使用。

レンズは当初は ARRI Master Prime 75mm を使用。2016年頃より、演出の自由度をあげるためズームレンズ ZEISS CZ.2 シリーズに変更。使用ミリ数は、レスリーが普段ポートレイト撮影で使用しているミリ数をムービー用のセンサーサイズ(Super35)に換算したもの。

撮影部のスタッフ構成は、アシスタント2名、DIT、DIT助手の計4名。

<収録設定>
Recording:ARRIRAW
Format:Open Gate 3.4K(3424×2202)
Gamma:Rec.709(モニタリング)
FrameRate:48 FPS
ISO: 160
Shutter:1/100

特機リストは以下の通り。特機を使う理由は、カメラワークというよりは、カメラのスタンバイの早さが主な理由。当初は1日に撮影するモデルの人数が多く、効率化のため導入された経緯がある。人員は2名。

<特機リスト>
1x  Grip Factory Secondo Dolly
6x  直線レール

カメラの技術解説

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被写体との距離は約 11 メートル。被写体の位置からレンズが非常に見づらいため、モデルがカメラに目線を送りやすいよう、マットボックスの縁に蛍光色のギャファーテープを貼り対応。

日本ではドイツ製の Sachtler(ザハトラ)のヘッドが定番だが、アメリカ製の O'connor(オコナー)は遊びが少なく、特にカメラ重量があったり同ポジ再現の際には重宝する。

レンズの絞り値は F4.0。暗部の階調重視で、感度(ISO)は可能な限り落としている。コマ数は24FPSベースで2倍(48FPS)のハイスピード撮影により、お腹の脂肪と髪のやわらかな躍動感を演出。

肌の質感向上のため、ディフュージョン用のフィルター Tiffen Glimmer Glass 1/8 を使用。

撮影機材リスト

撮影機材:RAY + SPICE
特機:SCREW

<主な撮影機材リスト>
1x  ARRI ALEXA SXT
6x  XR Capture Drive 512GB
1x  ZEISS CZ.2 28-80mm T2.9
1x  ZEISS CZ.2 70-200mm T2.9
1x  ARRI SXU-1
1x  Tiffen Glimmer Glass 1/8 - 4x5.65
1x  MITOMO TRUE ND 0.3 - 4x5.65
1x  O’connor 2575 Ball Head
1x  O’connor 2575 Flat Head
1x  スイングヘッド TANGO
1x  三角台+カニ足
1x  Panasonic HS-50(ミキサー)
1x  Panasonic BT-LH900
2x  SONY PVM-A250
3x  SONY PVM-A170
1x  TERADEK Bolt 3000

以下、セミクローズド化する意味で有料化しております。

記事全文は下記のオンランサロン内でも公開中です。https://extroom.studio/rooms/umu_tokyo

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