第十一章 暗示とはどんな事か(7)

ある家でオウムを飼っていたが、
ある日そのオウムが籠から飛び出して
その家の妻君の肩にとまったので
妻君は非常に驚いたとのことである。

その時、妻君は妊娠三ヶ月であったとの由であるが、
その後月日は流れて
いよいよその妻君が分娩した、
その子の顔はオウムのような顔であったとのことである。


ある人が、泥棒猫を棍棒で殴り殺した時、
その妻がその現場を見ていて
「後で何事もなければよいが」
と心配していたとのことである。
当時妊娠していたその妻は間もなく分娩した、
その子の鼻が猫の如くであったとの事である。


ある山家へ毎日猿が来ていたずらをするので、
主人が立腹してその猿を殺した、
ところがその妻はそれを気にしていたそうである。
その後、この妻も妊娠したが、
生まれた子はまるで猿のような子で、
大きくなってもキャッキャという他に
言葉はできない不具の子であったとのことである。


以上に類した事例は各地によくあることであるが、
これらはいずれも自己暗示が胎児に作用した結果である。
 
胎児の話が出たところで参考までに書いておくが、
「胎児の性情」
はその母の心の持ち方によって左右されることが
大なるものである。

故に妊婦が常に暗い卑しい精神を持っていれば、
その子はそれに似た性情を持って生まれ、
これに反して、
妊婦が清浄な向上心を持っていれば
それに似た清浄の子が生まれるのである。
故に婦人は妊娠すると同時に
その腹の中の子に対する教育の大任有ることを
悟らねばならぬのである。

生まれてからの教育よりも
胎児の教育のほうが肝心である。
その子の賢愚強弱は生まれるまでに定まる
といって過言ではない程に
甚大なる影響を及ぼすものである。
 


これまでの説明で自己暗示
(内部暗示ともいう)
はどんなことかの概略が解ったであろう。

かつまた暗示作用は
実に偉大なる威力をもって
心身を支配する
ものであるか
ということがわかったであろう。

なおかつ、
この自己暗示を有利に作用させれば、
種々の難病を治したり
または胎児までよい性質の健児にしたり
する事もできる原理がよく理解できたであろうと思うから、
このへんで打ち切って、
次は外部暗示について説明する事とする。

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