第十一章 暗示とはどんな事か(8) 外部暗示六

これまで述べた通り、
それを信じる自己暗示作用が起これば
害になるものでも薬になるものである。

が、それに反して、
如何に妙薬でもこれを極度に嫌うものには
その妙薬が大害となることがある。

嫌なものを我慢して飲めば
自己暗示作用によって
生理的機能を不調にしたり萎縮させたりするから
病勢の進行には
好都合となるのである。

即ち嫌な妙薬を服んで、
病はそのためにかえって進行するのである。

これ即ち、妙薬がかえって
害となったという結果となるのである。

かくの如きものであるから
子供達が病気の時に、
その子が薬を極度にいやがって
火の如き顔になって泣いているのを、
無理に抑えつけて
薬を飲ませる親たちがあるが、
こんな事をすれば
その子の精神力が萎縮する、
したがって生理的機能が萎縮してしまうから、
自然療能も作用しなくなる、
故に病の進行に都合よくなる
のである。

故に
せっかく飲ませた薬物の効力は
全然ゼロになってしまうのである。

否薬を飲ませざるには
劣る結果となることも
しばしばあるものである。

勿論いやがる薬は
みなかくの如きものである
というのではないのである。
下痢を起こしたとき
ひまし油を飲ませると
十人が十人いやがるが、
これは無理をしても飲ませたほうがよいのである。
 
以上の説明で
斯道の修得上において必要なる範囲内の
暗示という事については
十分に理解ができたものと思うのである。

そして暗示がいかに霊妙なる威力をもって
心身を支配するものであるかも
理解したのであろうと思う。

したがって
この偉大なる威力在る暗示を
最も有効に作用させれば
妙薬や療機やその他の療法で治らぬ難病でも
または悪癖でも治るものである原理が
よくわかったはずであろうし、
また心身を根本的に改造する事もできる
ものである事も良く解ったはずである。

この偉大なる
威力ある暗示を自己に作り
そしてもっとも有効に自己の心身に作用させる方法や、
または最も有効なる暗示を
他人に与えてもって
病や悪癖を治してやったり、
または人の心身を自在に制す方法は
章を改めて後章で伝授することとする。
 
 
 
 
 
 

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