読書感想文

最近読んで特におすすめだった本。

東浩紀「観光客の哲学」「訂正可能性の哲学」
千葉雅也「センスの哲学」

東浩紀の上の二つは同著の「訂正する力」を読んだ上で気になった人は読んでみると良い感じな気がする。訂正する力が実践編、上記の2つによる論考、哲学をいかに活かしていくかというまとめであり、わかりやすい。あ、よくよく考えてみると「観光客の哲学」の実践編は「ゲンロン戦記」かも。なので訂正する力とゲンロン戦記を読んで面白かったら是非。
観光客の哲学は少し難しいし、著者本人も草稿、未完成の段階と言ってる。訂正〜を読むとここから始まったのか〜と感動がある、正確にいうと著者の処女作である存在論的〜から始まってはいるんだけど、まだ読んでないかなんとも。
驚いたのが訂正可能性の哲学がかなり読みやすかったこと、哲学の組み立てていく流れが気持ちよかった。

自分が30歳に入り変わったこととして、比較論ではあるけど人に頼ることが多くなった。というか自分自身に対する限界を知ったというのがある。哲学自体が過去の文脈をどう踏まえるか活かすかという要素のある学問だと思うが、著者の先人たちの歴史とどう関わるのかという姿勢が勉強になった。頼るが、自分なりの文脈で捉えて、新しい価値観を打ち出す。過去、今、未来への繋げ方が真摯で心を打たれた。
これを踏まえて再度「訂正する力」を近いうちに読み返そうと思う。

千葉雅也の「センスの哲学」は「センス」という抽象的で言語化しえないと思っていた部分をここまで見事にまとめ上げるのは流石というか何というか。
劇作家や演出家、俳優を含めた全ての演劇人に読んでほしい。
何気に1番好きだったところや現時点での自分の実力に対する諦めについての記述だったかもしれない。演劇の創作は本番というタイムリミットがあるのでどこまでもこだわるということが物理的に不可能だ。では仮に未熟であるとするならばどうするべきなのか、そこに著者は諦めという態度から始まるスタート地点を照らしてくれる。

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