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週刊金融日記 第319号 無料動画が役に立つのはエロではなく語学学習だ、北朝鮮核ポーカー・トランプ大統領の芸術的交渉術、目黒駅の安くて美味しい和食、博多美女はゴムを使わない傾向が強いのですが、他

// 週刊金融日記
// 2018年5月28日 第319号
// 無料動画が役に立つのはエロではなく語学学習だ
// 北朝鮮核ポーカー・トランプ大統領の芸術的交渉術!?
// 目黒駅の安くて美味しい和食
// 博多美女はゴムを使わない傾向が強いのですが
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 さて、トランプ大統領がTwitterで北朝鮮を煽っています。恋愛工学コミュニティはTwitter好きが多いと思うのですが、世界の歴史がTwitterの煽りや炎上マーケティングで動いていくところをリアルタイムで見るのは、なかなか感慨深いものがありますね。ベルリンの壁崩壊みたいに、南北朝鮮がひとつになることなんてあるのでしょうか。そうなれば、トランプ大統領がノーベル平和賞を受賞することもありえます。

★ごちゃごちゃ言うなら、もうお前と会談しねーよw

 そういえばアラブの春はTwitterではなくFacebookが主導していました。意識の高いSNSです。アラブの独裁者たちを倒す、と。民主主義だ、と。そして、実際に起ったことは、それまで独裁者が抑えていたもっと酷い残虐な支配者たちが出てきて、国民は貧困と暴力による支配に苦しむようになりました。やはり、現実を見ないといけないんでしょうね。

●サルでも3分でわかるイスラム国の歴史
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52039311.html

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 いつものように面白い投稿がいくつも寄せられています。見所は以下のとおりです。

-中国語をマスターするには徹底的に「声を出して」四声の練習をしてください
-アメリカ州立大学の三年生ですがニューヨークの金融会社で働きたいです
-20代のキャバ嬢をすぐに店外デートに誘いゴールするルーティーンを確立できたもののハートに火をつけられない
-Cフェーズにおける脈ありサインについてのバックナンバー
-私たちつきあってないからグダの傾向と対策
-博多美女はゴムを使わない傾向が強いのですが

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.無料動画が役に立つのはエロではなく語学学習だ

 日本では(主に)大学受験生向けのスタディサプリがヒットしたり、海外ではカーンアカデミーなんてものが注目された。このようなインターネットを通して配信される動画が教育に革命を起こすかもしれない、と期待された。スタディサプリのほうは日本で聞いたことがある人も多いだろうから、カーンアカデミーのほうについてちょっと紹介しよう。
 それは2006年にまでさかのぼるのだが、アメリカに来たバングラデシュ移民の家庭で生まれ育ったカーンさんは、勉強ができてすくすくと育ち、MITを卒業した。その後、金融会社で働き、ハーバードでMBAを取って、ヘッジファンドでも働き、そこそこ成功して金持ちになった。ここまではよくある話である。
 彼は遠くに住んでいる親戚の子供に、自分で録画した動画を送ったりしながら勉強を教えていた。これをYouTubeにどんどんアップしていけば、みんなが見れるんじゃないか、と思って、学校で教わる数学や物理、化学なんかの内容を単元ごとに短い動画を作り、どんどんアップしていったのである。その数は膨大になり、中学や高校で習う主要科目のほとんどをカバーするに至った。
 こうしたオンラインの無料の授業があれば、たとえば途上国なんかの教育環境が良くない地域の子供も最低限のインフラで教育を受けられるんじゃないか、ということでビル・ゲイツさんやGoogleの偉い人たちが投資して、そこそこ大きな会社になり有名になったのだ。

●スタディサプリ
https://studysapuri.jp

●Khan Academy
https://www.youtube.com/khanacademy

 金融とITの融合(実際は新しくも何ともないが笑い)をフィンテックと呼び、ここ数年流行っているが、こうした教育分野とITの融合もEdTech(エドテック)と呼ばれ、ちょっとだけ流行っている。
 こうしたものに一定の成果を認めつつも、それほど社会に大きな変化は引き起こしていないし、おそらく今後も大きなインパクトを与えることはないだろう、というのが僕の意見だ。その理由は単純である。動画を見て自発的に勉強する子供なんていない、ということである。たとえば、日本の中学受験などを見ても、録画したビデオの授業などまったく主流ではない。ビデオを利用して勉強して難関中学に受かる子供は1%もいないというか、聞いたこともない。子供をひとつの教室に集めて、ライブで先生が授業をして、先生が黒板に書いたこと(もちろん毎年同じもの)をノートに写しとる、という儀式が必要なのである。社会的動物でありいろいろとめんどくさい人間は、機械のようにはいかないのだ。恋愛工学を学んでいれば、そんなことは自明だろう。
 こうした動画を活用するには、そのネットの授業を受ける方にある程度の知識があり、高いモチベーションが必要である。そして、ここでもうひとつの矛盾が生じる。ある程度の知識があり、高いモチベーションがある人は、まどろっこしい動画を見るよりも、紙の参考書を買ってきて勉強するほうがいいのだ。このように動画の授業は、それを届けたい層にはモチベーションの問題で届かず、それを活用できるリテラシーとやる気を持ち合わせた層には、学習効率で紙の本に負ける、という点でなんとも中途半端になってしまう。
 たしか10年ぐらい前の大前研一さんの本には、インターネットが普及し通信速度が十分に速くなれば、各科目で世界最高の授業ができる教師が1人だけ生き残り他の凡庸な教師は失業する、と書いてあったが現実にはまったくそんなことは起こらず、むしろ中学校や高校の先生が不足するという事態になっている。
 もちろん、過疎地の学校や、十分に学校のインフラがない途上国では、こうしたインターネットの動画を活用し、生徒たちの学習の進捗管理をする最小限の人員で教育をしていくなど、いろいろな活用方法があろう。スタディサプリもそこそこ成功しており、便利なツールがひとつ増えたと思って活用すればいい。僕はインターネットで教育の仕組みが根本的に変わる、みたいな話には懐疑的であるが、特に否定するべきものでもない、とも思っている。便利で安価なツールのひとつだ。

 しかし、最近、自分で中国語を勉強していたり、他の人が英語を勉強しているのをいろいろ助けたりしていて、この分野の進歩を目の当たりにすることになった。数学や物理の勉強をするならやはり紙の本がいいと思うが、語学は動画がとても効果的だ。いまYouTubeに大量に語学学習のための動画がアップされている。動画を作る側のYouTuberにとってはこれはレッドオーシャンだが、学習者にとってはこれらの無料の動画を活用しない手はない。さらに、動画だけでなく、インタラクティブに動作するサイトやアプリなど、本当によくできているものが出てきている。それらを紹介しようというのが、今週号の趣旨である。

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