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週刊金融日記 第327号 恋愛工学の起業版のような本を見つけた、トランプ大統領が米利上げを牽制、愛宕のすっぽんも食べれる高級和食、アグレッシブに仕掛けて速攻を決めるマッチングアプリ戦術、他

// 週刊金融日記
// 2018年7月24日 第327号
// 恋愛工学の起業版のような本を見つけた
// トランプ大統領が米利上げを牽制
// 愛宕のすっぽんも食べれる高級和食
// アグレッシブに仕掛けて速攻を決めるマッチングアプリ戦術
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 猛暑が続いています。愛知県で小学1年生が熱中症で死亡するなど、痛ましい事件が相次ぎました。

★熱中症で日本は年間数百人、多い年では2,000人近くの方が亡くなります。

 Twitterでは熱中症の原因がゆで卵ができるときのような高温でのタンパク質の変性という、思いっきりフェイク情報がまことしやかにバズっておりましたが、そのメカニズムはなかなか複雑です。タンパク質が変性するほど高温になったら熱中症というより火傷で死ぬでしょう……。僕がざっくり理解したことは、体が熱くなると、それを必死で冷やそうと血流が体の表面に集まり、それで内臓の血液が足りなくなったり、あるいは汗をかきすぎてナトリウム濃度が低下したりして、脳や各種臓器、筋肉などが異常をきたし、時に死亡してしまう恐ろしい病気のようです。
 以下の大塚製薬のサイトが詳しいです。

●熱中症からカラダを守ろう 監修:京都府立医科大学名誉教授 森本武利
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/

 それで結局何をしたらいいのかというと、体調が悪くなったら、もちろん涼しいところで休みましょう。そして、スポーツドリンクをこまめに飲め、ということです。汗でナトリウムが体の外に出すぎてしまうタイプの熱中症だと、単に水を飲むだけだとさらに血中のナトリウム濃度が低下してしまうため、スポーツドリンクを飲むのがいいのです。要はポカリスエットを飲め、と。

●大塚製薬 ポカリスエット 900ml×12本
https://amzn.to/2uSiaJF

 世界のエリートが読んでいるビジネス経済誌の週刊SPA!で映画評論を月に1回ほど書いているのですが、今回から1週間遅れでWebに転載されるようになりました。紙の媒体で連載というので、いろいろ制約があって、雑誌が発売される週~次の2週間ぐらいの間に上映されるものから選ぶことになり、さらにハリウッドの目玉作品などは別枠でインタビュー記事になったりするので、マイナー映画をたくさん見て、その中から面白い映画を見つけ出す、みたいなことになっています。
 今回は処女と童貞のカップルが結婚する前に他の人とセックスしたらどうなるか、というB級映画を紹介しました。

●結婚前に浮気にチャレンジするカップル。果たして愛は深まるのか? 映画『結婚まで1%』
https://nikkan-spa.jp/1494565

 このように紙媒体での映画評論は、どうしようもないB級映画をたくさん見なければいけない苦しみもありますが、見たい映画は上映前に試写会などに行けるのはいいですね。先日もミッション・インポッシブルを見てきました。僕が大好きなシリーズです。悪役のアジア人がむごたらしい殺され方をする一方で、トム・クルーズと重要な女性はみな白人で、仲間の非白人は黒人ひとりだけです。僕は基本的にそういうことを気にしないタイプの人間なのですが、この作品では、こういうアメリカは白人と黒人の国であってアジア人は軽視、という隠れたメッセージとも受け取られかねない点がなんとなく気になったところではあります。アジアのマーケットは大変大きいので、中国などの経済成長とともに今後は変わってくる可能性がありますけど、どうなんでしょうか。
 しかし、全体的には相変わらず完成度の高い映画でした。

★トム・クルーズは混雑する道路をバイクで猛スピードで逆走しても決して事故りませんし、どれだけ弾丸が飛んできてもなぜか彼には当たらないのですが、それでも手に汗握るアクション映画です。

 今週も興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-SNSで知り合ったハイスペ男子のLゲがしたいです
-アグレッシブに仕掛けて速攻を決めるマッチングアプリ戦術
-5年ほどバツイチ30代子あり女性に100%コミットしてましたが振られました
-妻がパート先で70代女性に的外れな指導をされ太鼓持ちの50代女性に怒られています
-Aフェーズにおけるスランプの原因
-「人気があるから人気がある」状態にしたいのですがそのためのアドバイスお願いします
-"Good Genes"という概念に関する考察

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.恋愛工学の起業版のような本を見つけた

 この前、読んだ本が思いのほか面白かったから、紹介しよう。というのも、読者の選択肢が大いに広がる可能性を秘めた本だからだ。僕は昨年は個人アカウントでビットコイン取引をしており、そこそこ儲かった。今年はショートでもっと儲かっている。税率50%も払うんだったら、エンジェル投資税制を利用してどこかのベンチャー企業に投資しようと思い立ち、エンジェル投資家の端くれの端くれとして歩みだした。また、たまたま親しい知人から投資に関する話が回ってきたころでもあった。
 結局、エンジェル税制の適用はかなり厳しく、僕がエンジェル税制がいける、と思っていた案件は投資したあとにエンジェル税制が適用できないことが発覚した。また、エンジェル税制は投資したときに1000万円まで所得控除される、つまり税率5割なら半額で投資できるというめちゃくちゃ得するものだと思っていたのだが、投資で利益が出た場合、この最初に控除された分も利益に乗り、結局、仮に投資がうまくいった場合はそこで税金が取られるので、そこまでまる得するものでもないことがあとでわかった。投資が損失になった場合は丸儲けだけど(正確には損が少なくなる)。

『週刊金融日記 第295号 ビットコインで儲けたお金をベンチャー企業につっこもう』

 さて、そもそもエンジェル投資なんかしている個人の金持ちは極めて少ないので、書籍としての市場規模が非常に小さく、この分野はまともな本があまり出回っていない。また、僕自身も過去に起業家に憧れていた時期があり、起業やベンチャーファイナンスに関する本をけっこうたくさん読んだのだが、どれもいまいちピンと来なかった。会計士が書いた本は、何か税務や資本政策について網羅的に書いてある、眠くなるようなものばかりだったし、一発当てた起業家がゴーストライターを使って出版する本は自己啓発かポエムのようなものばかりであった。
 と、このように自分がベンチャー企業に投資する場合でも、また、自分自身がベンチャー企業を起ち上げたい場合にも、これといって具体的に書いてある本がないのが実情である。僕のメルマガの売上などは僕が100%株主の会社に計上されるのだが、もちろんこういう会社をベンチャーとかスタートアップとは呼ばない。ベンチャー、あるいはスタートアップと呼ぶには、当たればスケールして莫大な利益が生み出される、資金を調達して何か大きな会社にするだけの価値があるプロダクトがなければいけない。僕のメルマガなどは、単に「スモールビジネス」と呼ぶ。もっとも、僕のスモールビジネスは、PLやBSだけ見たら、マザーズなんかに上場されている平均的な企業よりも大きいのだが、これはスーパーフリーランスみたいなものだ。あるいは、芸能人が税金などを考えて作るマネジメント会社だ。ベンチャーとはぜんぜん違う。少なくとも、いまのところは。
 先日発売された、その名もずばり『エンジェル投資家』という本は、外から見るとこうした何かモヤッとしたスタートアップ界隈の生態系や、各々のプレイヤーがどのように利害が対立しており、どうやってゲームに勝とうとしているのか、そして、勝つにはどうしたらいいのかが赤裸々に書かれていた。これはまるでモヤッとした恋愛の世界の秘密を次々と暴き出した恋愛工学の起業版ともいう本だ。

『エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか』ジェイソン・カラカニス
https://amzn.to/2Lt5KCj

 この本には、バー経営の父親(後に倒産して差し押さえられる)と看護師の母親を持つギリシャ系でニューヨーク育ちのアメリカ人の著者ジェイソン・カラカニスが、シリコンバレーにやってきて、いかにエンジェル投資で成功したか、その背後にどのような戦略があったのかがすべて書かれている。ちなみに、彼は学校の成績も悪かった。それでも彼自身が認めているように、彼は白人のアメリカ人、それもニューヨークで育ったのだから、世界的に見れば逆境というほどのものではない。ただ、スタンフォード大学を卒業した天才プログラマや富豪の両親の下に生まれて学費の心配などまったくせずにハーバード大学でMBAを取得したような連中が跋扈する世界で、彼は自分が常に最底辺の人間だと感じていた。だから、そういう金も学歴もない恵まれないやつがこのゲームで勝つために何をすればいいのかを必死で考え続け、攻略法を生み出し、実際に莫大な富を築いた。彼はあのUberの起ち上げに投資したエンジェル投資家のひとりなのだ。また、エンジェル投資家の多くがそうであるように、彼自身も最初は起業家だった。Webマガジンやブログのシステムを起ち上げ、売却に成功している。また、彼は金がなかったが、こうした経験からベンチャー企業の起ち上げにアドバイザーとして加わり、多少の報酬を得ていた。こうしてエンジェル投資家となるべく、まとまった資金を得ることができた。

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