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週刊金融日記 第247号 掃き溜めのようなインターネットの世界で生き抜くために(ネットでコンテンツを売る方法 その3)、2017年は反グローバリゼーションが加速するのか、東麻布の隠れ家で和食、恋愛工学は鬱病治療に効果的、他

// 週刊金融日記
// 2017年1月3日 第247号
// 掃き溜めのようなインターネットの世界で生き抜くために(ネットでコンテンツを売る方法 その3)
// 2017年は反グローバリゼーションが加速するのか
// 東麻布の隠れ家で和食
// 恋愛工学は鬱病治療に効果的
// 他

 新年明けましておめでとうございます。藤沢数希です。
 ところで、先月、文春砲が僕たちのコミュニティに向けられたとき、僕は読者一人ひとりを「ダイ・ハード」で凶悪なテロリストたちと戦うジョン・マクレーン刑事にたとえたのですが、実際にそのあとDVDを見返していました。1988年に放映されたのですが、いま見てもなかなか面白いです。

●ダイ・ハード ブルーレイコレクション
http://amzn.to/2gENEyu

 テロリストたちに占拠される高層ビルはナカトミプラザと呼ばれ、ナカトミ商事という日本企業が作ったものです。そして、ナカトミ商事のタカギ社長の下でアメリカ人たちが働いており、クリスマスパーティーで日本の重役たちが集まっている日がテロリストに狙われたわけです。日本にも、そういう時代があったわけですね。
 まあ、大人になったあとに見ると、いろいろリアリティが感じられないところもあるのですがね。たとえば、テロリストのチームには高度なコンピュータ・セキュリティをハックする天才プログラマや、訓練された命を顧みない戦闘員がおり、リーダーは何カ国語も操るインテリです。このチームはロサンゼルス市警を手玉に取り、重武装のFBIの部隊を簡単に蹴散らすのですが、彼らのこのミッションの目的は金で、みんなで南の島で一生遊んで暮らすことが夢です。こんだけ優秀なチームだったら、IT企業を起ち上げるか、ヘッジファンドでもやれば、簡単に南の島で一生遊んで暮らせるのですがね……。
 そんな野暮なツッコミはさておき、やはり名作で、いま見てもとても面白い映画でした。

 さて、第246号はGoogleのジレンマについて書いたわけですが、ネットメディアのダメっぷりはむしろ本場の英語圏のほうで問題になっており、たとえばホロコーストを調べようとすると、「ホロコーストはなかった」というようなデマ記事がGoogleの検索エンジンでトップページに来てしまうわけです。

●ホロコースト否定サイトが検索結果上位に…グーグル、表示改良へ
http://www.afpbb.com/articles/-/3111998

 ひと昔前には、スポンサーによる情報操作や政治的なバイアスが問題になっていたマスメディアに対抗するのは、誰にでも開かれた自由なネットメディアやSNSだと言われていたのですが、こうしてわかったことは、高学歴で企業の面接に通った人たちが報道するべき情報かどうかを取捨選択する既存の大手メディアと違って、人気がある記事が検索エンジンやSNSでそのまま拡散されるネットメディアのほうが、はるかに悲惨な状況だということです。
 人気がある、というのはとても語弊があって、こういうホロコースト否定とか、日本でいえばネトウヨみたいなものは、人口ベースではわずかな数の人たちの間だけで支持されている話です。ネットを見ているとそういう人がたくさんいるような錯覚を覚えるのですが、実際の選挙などを見ると、そういう極端な考え方の候補は票を集めることができず、まったく少数派だということがわかります。しかし、こういうキ◯ガイの人たちは、社会生活を営んでいくことが困難ですから、働いていなかったり、また、失うものがなかったりするために、膨大な時間を使って、違法行為も辞さない工作活動を展開し続けるので、ふつうの市民の何十倍の戦闘力をネットの中では得るわけです。よく言われているように、政治家はネット世論は無視するに限りますし、SNSなんかで世論を読むと完全に間違えるわけです。
 しかし、頭が悪いGoogleの検索エンジンやFacebookのニュースキュレーションなんかは、そうした少数の人たちの工作活動に簡単に騙されて、困ったデマ情報を世界に広めるわけですね。Microsoftが作った人工知能の美少女は、あっという間に「ヒトラー万歳!」と叫ぶようになりました。ロシアなんかは国家としてデマ拡散サイバー部隊を作っていたという話です(笑)。

●マイクロソフトのAI、ヘイト発言を「学習」して停止
http://wired.jp/2016/03/25/tay-tweet-microsoft/

●元工作員が語る ロシア、デマ拡散サイバー部隊
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO10735930W6A211C1000000/

 マスコミはノイジーマイノリティのクレームに弱いとよく言われますが、じつはネットメディアのほうがはるかに簡単にノイジーマイノリティに蹂躙されるわけです。いまGoogleのようなIT企業が開発しないといけないものは、ポリティカル・コレクトネスを判別する「PCエンジン」なのかもしれません。そうなると、世捨て人だと思われ、ろくな就職先がない哲学や倫理を学ぶ学生を、最先端のIT企業がこぞって採用するようになるかもしれませんね。

 さて、今週は勇気をもらえるような投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。

―肉じゃがルーティーン不発で三連敗
―重度障害者でも恋愛工学はワークしました
―クリスマスイブにモデルのS級女子とゴールしましたが……
―45歳の兄が会社を突然クビになりました(離婚と解雇の類似点と相違点)
―恋愛工学は鬱病治療に効果的
―職場の魅力的な40代人妻にゴールしました

 それでは今年もよろしくお願いします!

1.掃き溜めのようなインターネットの世界で生き抜くために(ネットでコンテンツを売る方法 その3)

 先週号で、SEOをしないブロガーから見たSEOの歴史を書いた。僕のブログ「金融日記」でキーワードの検索順位がどのように推移したのかなど、実際に個人メディアとしてネットビジネスを10年以上も続けてきた経験から、いくつかの考察を述べた。そして、Googleの検索エンジンが抱えるさまざまな矛盾を浮き彫りにした。

週刊金融日記 第246号 Googleのジレンマ

 このメルマガの読者には、インターネットを活用してビジネスをしている人も多い。今回は、SEOやGoogleの研究から、さらに広いテーマについて書くことにする。多くの評論家がネットビジネスについて記事を書いているが、彼らは実際にネットビジネスでまとまった金を稼いでおらず、記事はぼんやりとしていて読み応えがない、というのが僕の率直な感想だ。
 すこし間が空いてしまったが、今回は「ネットでコンテンツを売る方法」の続編ということになる。

週刊金融日記 第164号 ネットでコンテンツを売る方法 その1
週刊金融日記 第199号 ネットでコンテンツを売る方法 その2

 まずは自省を込めて、いくつかの外れた予想、また、僕がブログを中心に個人メディアを運営し有料メルマガをはじめたころ(2009~2012年ごろ)には予想できなかったことについて書いていく。

【有料メルマガの市場はあまり拡大しなかった】

 2012年4月に僕が有料メルマガ『週刊金融日記』を創刊すると、購読者数はすぐに5000人程度にまで増えた。週刊文春に載っていた僕のメルマガの購読者数は、おそらく、2013年にまぐまぐ社で堀江さんと対談した際などに漏れ出た数字だ。

週刊金融日記 第55号 堀江貴文氏と対談しました(前編)
週刊金融日記 第56号 堀江貴文氏と対談しました(後編)

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