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週刊金融日記 第257号 続・人はなぜ結婚するのか ~結婚カードを巡るプレイヤー別最適戦略の研究、オランダ総選挙で極右政党躍進か、麻布十番のおしゃれ焼鳥、意味のない安全基準値が人々を不幸にしている、他

// 週刊金融日記
// 2017年3月15日 第257号
// 続・人はなぜ結婚するのか ~結婚カードを巡るプレイヤー別最適戦略の研究
// オランダ総選挙で極右政党躍進か
// 麻布十番のおしゃれ焼鳥
// 意味のない安全基準値が人々を不幸にしている
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 とうとう花粉症の季節がやってきました。抗アレルギー剤を飲みはじめた人も多いかと思います。最近の薬は眠気などの副作用が少なくなっているようですが、それでもやはり眠くなりますよね。ところで、花粉症に関しては、ドラッグストアで売ってる薬なんかで自分で対処せずに、病院に行って医師に処方してもらうことをオススメします。保険が利くので安いですし、薬もよく効きます。そのとき、もらえるだけの薬を一気にもらいましょう。2ヶ月分とかまでなら出してもらえるはずです。

 国公立大学の合格発表があったようで、このメルマガでも何度か取り上げた佐藤ママが四女を見事に東大理3に現役合格させたというニュースが全国を駆け巡りました。これはなかなかすごい記録で、おそらく偏差値を競う受験スポーツの世界では、今後もなかなか塗り替えられないものだと思います。佐藤ママは、日本の教育・子育て研究の歴史に名を残しましたね。

●息子3人東大の佐藤ママ、長女も理3合格!娘が語る母への感謝
http://withnews.jp/article/f0170310006qq000000000000000W02h10101qq000014861A

『週刊金融日記 第201号 現代受験工学の最前線』

 まあ、しかし、マクロで見ると、理系の秀才がみんな医学部を目指すという日本の社会は、経済政策的には問題ですね。官僚や弁護士の報酬が相対的に下がったので、いまや東大文1の難易度は田舎の医学部より下になってしまいました。あと、日本は国際競争力のある分野は、ゲームなんかの一部のエンタメ産業と製造業だけなので、工学部にも優秀な人がもっと行ってほしいですね。そして、恋愛工学という分野ももっと盛り上げていきたいと思います。

 今週も面白い投稿がありました。見どころは以下のとおりです。

―福島の放射能汚染土について
(意味のない安全基準値が人々を不幸にしているという話)
―彼女がエッチ好きじゃないと言ってきました
―婚活女子ですが出会い系では最初は結婚したいとか熱烈に愛されるのに一度寝ると音沙汰がなくなります

 それでは今週もよろしくお願いします!

1.続・人はなぜ結婚するのか ~結婚カードを巡るプレイヤー別最適戦略の研究

 今週はまた結婚について考えてみたい。『損する結婚 儲かる離婚』 http://amzn.to/2lZ0UAS に書いたように、結婚という契約には不可解な点も多い。また、所得が高い場合、金銭的な損失は甚大なものになる。当然のように、結婚なんかしないほうがいいのではないか、と思う男性読者も多いのではないだろうか。
 さっそくひとりの読者からそうした相談が届いた。

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―男ですが結婚のメリットが感じられません

こんにちは。
2年ほど前にコンサルへの転職進路相談を投稿しました、30代前半プレイヤーの田中と申します。
所長からはMBA的スキルもつくからいいのでは、とアドバイスを受け、実際に確かにスキルがつきましたが、仕事が忙しすぎて、恋愛市場への参加度が低くなったこともあり、やはり自分の時間が欲しいと思う今日このごろです。
ということで、また転職することになりそうです。
それはさておき、今回は既婚より独身で居続けた方がいいのではないか、という相談です。
所長も以前、結婚は「はしか」みたいなものだから若い内に一度くらいしたらいいのでは、とおっしゃっていましたが、コンピ地獄などの恐ろしいことを考える必要もなく、うしろめたさもないため、結婚などしない方がいいのではないでしょうか。
性格的なものかもしれませんが、結婚願望も全くありません。
Twitterでは20代後半だとパッタリいい男性は結婚してしまうなどと言われていますが、私の周りには年収1本超えの独身プレイヤーが多数おります。
30代のうちは独身のステータスの方がいいのではないでしょうか。
所長の考えをお聞かせください。
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 じつは、この問題に関しては、すでに答えが出ている。それはバックナンバーの第189号にくわしく書いてある。

『週刊金融日記 第189号 なぜそれでも人は結婚するのか』

 同じ子供を作るにしても、養育費よりも婚姻費用のほうが多いのだから、女が結婚したがるのはまったくもって合理的である。それでは男にとっては、結婚にメリットはあるのか? 破綻しても扶養義務が残り続ける、いわゆるコンピ地獄の巨大なリスクを考えれば、そこに何のメリットもない、というのがとりあえずの答えだ。しかし、それでも男にとってなお結婚は合理的だと説明することもできる。と言うよりも、この巨大なリスクが伴う「結婚カード」を切ることが、多くの男にとって、まともな女を手に入れる唯一の方法だと言ってもいい。
 これは労働市場を見てもらえば理解できるだろう。企業にとって、期間の定めのない正社員を雇うことは日本のような解雇規制の厳しい国ではリスクの高いことだ。ここだけを見たら、企業にとって正社員を雇うメリットはなく、業務委託契約でフリーランスを活用したり、派遣社員や期間の定めのある契約社員ばかりを雇えばいいことになる。それでもなお企業は正社員を雇う必要があるのだろうか? ある、というのが答えだ。それはとても簡単なことである。ある大企業が、うちは新卒採用はリスクが高いから、新卒は全員とりあえず1年契約で雇う、と言ったとしよう。なるほど、それは理に適っているように見える。しかし、こういう企業に、"Best and Brightest"な学生が喜んで入社するだろうか? もちろん否だ。優秀な社員の獲得競争において、日本の企業は新卒に正社員のオファーを出さざるをえない、という単純な話なのだ。
 恋愛市場でも同様である。金融商品として見た場合、法律婚と事実婚では、(女から見ると)少なくとも2倍は前者のほうが価値が高い。こうしたことは『損する結婚 儲かる離婚』で明らかにした。逆に言えば、年収500万円の男と結婚するより、年収が1200万円の男と未婚のまま子供を産むほうが女にとっては金銭的なメリットは大きいのだが、この話題はまた後で論じよう。つまり、結婚カードを切れば、男は女に2倍は金銭的な価値の提供を約束することができる。男にとっての結婚とは、金の力を使って、つきあう女のランクを引き上げ、しいてはランクの高い女に子供を産んでもらうためなのである。
 このように男の場合は、結婚というものを経済合理性、そして、生物学的な合理性で説明可能だ。結婚とは、金の力を使って、孕ませる女のランクアップのチャンスを買うことに他ならない。結婚カードでどの程度のランクアップが可能か、あるいは事実婚で押し通すならどの程度のランクダウンを覚悟しなければいけないのかは、第189号で定量的に分析してあるのでそちらを見ていただきたい。
 ところで、日本では、未婚の母が他の女たちから非難されるのも、経済学的には自明だといえる。それは、女たちが提供する究極のサービスである子を産むということに対するダンピングに他ならないのだ。結婚という、ある意味で男が稼ぐ金のすべてを差し出すオファーがない限り、女たちは子供を産むというサービスは提供しない、というカルテルが日本人女性たちのあいだでできあがっているのだ。それを抜け駆けしようというのだから、この窮屈な規範を守っている多数派の女にとって、金持ちの愛人となってサクッと子供を産んでしまうような女の存在は、面白くないに決まっているのだ。非難轟々である。

 さて、週末は子供を連れ去り夫を鮮やかにコンピ地獄にハメる手法が書かれていた匿名記事が大炎上していた。

●子を自分だけのものにできました日本最高
http://anond.hatelabo.jp/20170310105854

 次は、この女のスタンダードな離婚戦略である、子供連れ去り→コンピ地獄のコンボに対して、何か対抗手段はないかという読者からの相談である。

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