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週刊金融日記 第20号 プロの情報収集術教えます(ツール編)、米アップルの時価総額が50兆円、白金の高級四川料理、恋愛リスクヘッジの限界、他

// 週刊金融日記
// 2012年8月26日 第20号
// プロの情報収集術教えます(ツール編)
// 米アップルの時価総額が50兆円
// 白金の高級四川料理
// 恋愛リスクヘッジの限界
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 実は、日曜日でずっと書いていた本がようやく一段落しました。印刷所に送るのはもうちょっと先ですが、あとは校閲のチェックを受けたり、誤字脱字を直したりするぐらいのところまで来ました。今回は、僕のマスターピースになることは間違いない出来です。ど真ん中のファイナンスの本です。9月の中旬に本屋に並ぶと思います。楽しみにしていてください。

『外資系金融の終わり』( http://goo.gl/MFzh4 )

 さて、おかげさまで週刊金融日記の購読者数は順調に増え続けています。最近は、有料メルマガを起ち上げる有名人が多く、ネットではちょっとしたメルマガ論争を呼んでいるようです。今回で週刊金融日記も20号目で、僕なりにいろいろメルマガに関して分かってきたので、ちょっとまとめておきましょう。

—月800円+消費税は実は高くない

 僕もホリエモン・メルマガとか、メルマガ界のひとつの標準—月800円+税で週刊—に従ったのですけど、最初はちょっと高いんじゃないか、と思いました。というか、僕は毎週8000文字ぐらい(ブログのエントリー3つ分ぐらい)書けばいいかなぁ、と。そうすると月に3万2000文字で800円だから、800円の新書が10万文字ぐらいなので、新書より高いし、1500円のソフトカバーが12万文字ぐらいだから、こっちと比べても2倍は高いじゃん、と。
 でも毎週タイムリーな情報が出てくるんだから、そんなもんかと思っていたのですが、やってみると、これが毎週毎週2万文字超えてて、単純に文字数単価で見ると、新書とそんなに変わらないんですよね。
 また、ある程度の購読者数になると、毎週、面白い相談なんかがどっさり届くわけで、それに答えていくと、活き活きとしたメルマガならではのコンテンツができちゃうんですよ。
 ということで、人気メルマガは少なくとも文字数単価で見ると、新書より安いんです。でも、新聞って一部15万文字で120円ぐらいだから、文字数単価だと新聞には完全に負けますね(笑)。
 しかし、新聞も雑誌も全部読むわけじゃなくて、じっくり読む記事は2つか3つぐらいだから、自分の好きな作者のメルマガだったら、やっぱりそんなに高くないんですよね。
 まあ、メルマガ作者のポジション・トークだと思ってもらってもいいんですが。

—有料メルマガ作者は超格差社会

 メルマガってテキストデータだけだから複製コストが限りなくゼロに近づいていきます。10人に配信するのも、100人に配信するのも、1万人に配信するのもコストはほとんど同じです。サポートなどのコストがあるので、完全にゼロというわけにはいきませんが。
 そうするとどういうことが起こるかというと、購読者数がある程度いるメルマガ作者は、それなりに儲かるからメルマガを書くのにもっと時間を割こうとするし、エディターなどのスタッフを雇えたりします。おかげさまで、僕の場合は、金融日記恋愛工学研究所という、グローバル規模で活動する専属のリサーチ・センターまで持つことができています。
 つまり、購読者数が多いメルマガは、儲かるので作者がもっとがんばるし、スタッフも雇えたりするので、コンテンツがますます充実して面白くなるので、もっと購読者数が増える、という好循環になるわけです。それの反対は、儲からないので、作者は割く時間を減らして、コンテンツがますます貧しくなり、購読者数がさらに減っていく、という悪循環です。
 また、有料メルマガの人気コンテンツのQ&Aコーナーはある程度の購読者数がいると、面白い質問が毎週寄せられるので、購読者数の多いメルマガがますます面白くなってしまい、そうでないメルマガはどんどんつまらなくなってしまいます。
 ということで、有料メルマガはまさに上位のほんの一握りの作者に人気が集中するようです。

 しかし、以上は経済とかビジネスとか恋愛とかグルメとかのビッグワードに関するメルマガの話で、雑誌とかではあまりにもニッチすぎてビジネスが成り立たない分野の専門メルマガだと、また、話は違ってくるかもしれません。
 専門メルマガで購読者数300人ぐらいを目指す、というのもありだと思いますが、それだと月800円+税だと、ビジネス的にはちょっと大変なような気がします。

—テレビとか本で有名だからといってメルマガの購読者が集まるわけではない

 けっこう芸能人とか、ミリオンセラーを書いた作家もメルマガとかはじめたりするのですが、必ずしも知名度が購読者数に結びつくわけではないようです。これにはおそらくふたつの理由があると思います。
 ひとつ目は、各メディアのユーザーは実はかなり分断されている、ということです。メルマガの購読者層はインターネットのヘビーユーザーが多いのですが、インターネットが大好きな人はあんまりテレビを見ていなかったりします。また、本が好きなファンは、やっぱり本が読みたいんですよね。本が好きな人が必ずしもネットをよく見ているわけでもありません。結局、ブログとかツイッターで人気の作者とメルマガの相性がいいようです。
 ふたつ目の理由がやっぱりコンテンツで、テレビで話してることと同じようなことを有料メルマガに書いてもありがたみがないんですよね。それに自分とか他人のプライバシーの切り売りというのは、多分、3回か4回でほとんどネタ切れしてしまいます。継続的に、毎週面白いコンテンツを作れる仕組みが必要で、これがなかなかむずかしい。
 まあ、この辺の事情は面白いので、別の機会にまた解説しましょう。

 いずれにしても、日本のまともな電子コンテンツの課金で上手く行ったのは今のところ有料メルマガだけで、その市場規模も10億円〜20億円ぐらいです(著作権に問題のあるエロ同人誌の電子書籍はそれなりに市場ができているみたいです)。書籍と雑誌の市場規模が合わせて2兆円弱あることを考えると、電子コンテンツの市場は100億円や200億円ぐらいにはすぐに行くような気がしていますが、どうでしょうかね。

1.プロの情報収集術教えます(ツール編)

 前号(19号)では、僕がどうやって新聞や本、インターネットから情報を収集して整理しているのか紹介した所、意外と読者のウケが良かったので、今週号も、恋愛工学の考察はQ&Aコーナーの方に回すことにして、情報収集とかに便利なツールを紹介したいと思います。
 というか、情報収集とその取捨選択って、僕にとって、息をするとか歩くとかと同じレベルの動作なので、ほとんどやり方とか意識したことがなかったんですよね。しかし、僕は情報収集とその取捨選択だけで飯を食っているので、そのノウハウ的なものをメルマガ読者のためにまとめておきたいと思います。
 と言っても、前号同様に、全く特別なことはしていません。

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