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週刊金融日記 第357号 なぜ東大やスタンフォード大卒の理系は成蹊や学習院の文系学部卒よりバカなのか、米中貿易関税チキンレースはソフトランディング、丸の内でお手軽ロシア料理、まんがで読破シリーズで深い教養を得ました、他

// 週刊金融日記
// 2019年2月26日 第357号
// なぜ東大やスタンフォード大卒の理系は成蹊や学習院の文系学部卒よりバカなのか
// 米中貿易関税チキンレースはソフトランディング
// 丸の内でお手軽ロシア料理
// まんがで読破シリーズで深い教養を得ました
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 最近は、だんだんと暖かくなってきて、厳しかった冬も終わろうとしています。しかし、花粉がたくさん飛んできました。花粉症の人は早く耳鼻科に行って、めいっぱいお薬をもらってきましょう。うちの近所の耳鼻科は行くと整理券を渡され、あとは指定された時間の10分前に待合室に行けばよくて、「花粉症の◯◯という薬をできるだけたくさんください」「わかりました。はい、次」という感じで、僕は10秒ほどで診察が終わり、助かっています。貧乏な人たちの中には、こういう診察に文句を言う人もいるようですが、僕は時間が最も貴重なリソースなので、これでいいと思います。

『週刊金融日記 第259号 花粉症シーズン到来 抗アレルギー薬 新薬2製品が登場』

 本日は、日本の国公立大学の入試日ですが、慶應や早稲田など、主要な私立大学の入試はだいたい終わっていますね。日経新聞にも出ていましたが、東京一極集中が様々な分野で進んでいます。名古屋や大阪、福岡なんかからも東京にどんどん人がやってくる。それで、政治的にこれを是正しようということで、私立大学の定員が昨年から厳格化され(地方から東京の大学に進学しにくくして地方活性化するのが狙い)、東京の上位私立大学がかなり難化したようです。今年もMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)辺りは定員厳格化以前よりかなり難しかったようで、東京の受験生とその親はヒーヒー言っているようですね。中学受験と私立中高一貫校に1000万円かけて、浪人でまた機会費用含めて1000万円です。
 まあ、僕はずっと東京に住んでいますが、特に東京に思い入れはないので、東京一人勝ちを特に喜んではいないのですが、これは長期的に見て、日本にとっていいことなんでしょうか、あるいは強引にでも是正すべきことなんでしょうかね……。

●止まらぬ人口東京圏集中 18年、43道府県から流入 大都市「ダム」にならず
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41631630S9A220C1ML0000/

『週刊金融日記 第32号 サラリーマンは地方に転勤するとモテる』
『週刊金融日記 第252号 地方ナンパと恋愛市場の地理的効率性について』

 中国のメーカーが嫁型ロボットの開発競争で一歩抜け出してきたようです。結局、この世界の究極の希少資源って、若くて可愛い生身の女であり、それを巡って人類は争い続けてきたわけです。よって、こうしたテクノロジーは、人類にとって福音となるかもしれません。あるいは……。

●中国、世界初「AI嫁」を開発「結婚の心配もう不要」専門家が危惧
https://www.epochtimes.jp/2019/02/40539.html

●インターネットは、現代社会にバラ撒かれたアヘンである。
https://cakes.mu/posts/7181

 週刊SPA!で映画評を定期的に書いています。今回は趣向を変えて、猫と老人のほのぼのとした映画を取り上げました。「港区女子、パパ活女子大生、そして星の数ほどいる成功者たちが跋扈する東京の恋愛市場。そこに立てば、否応なしに男も女も値踏みされる存在となる……」という書き出しで、東京の勝ち組がどれほど殺伐としているか、それに比べて離島でその日に取れた魚や野菜を食べて暮らしている猫と老人たちは豊かだ、みたいなことを書いて、こんな老人でも豊かに暮らせるのは年金があるからで、それは東京の勝ち組がごっそり税金を取られているからだ、ボケ!というオチを書いたのですが、編集部のほうで、それは老人に失礼だし、税金を払っているのは金持ちだけではなく、ふつうの市民も払っているのだからクレームが入るかもしれない、ということで、見たら書き変わっておりました。いやはや、週刊SPA!も、なかなかいろんな方向に気を使える大人な雑誌になったものですね。

●殺伐とした恋愛市場で疲れた人を癒やす映画『ねことじいちゃん』
https://nikkan-spa.jp/1552494

 さて、税金で思い出しましたけど、そろそろ確定申告ですよ。みなさん、がんばりましょう。

★確定申告名言集です。

『週刊金融日記 第200号 確定申告を自分でやってみよう』
『週刊金融日記 第255号 みなさん確定申告はお済みですか』
『週刊金融日記 第307号 確定申告の季節ですがこれから事業をはじめる人にアドバイス』

 いつものように読者からの興味深い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。

- Kindleのまんがで読破シリーズで深い教養を得ました
- 格安ソープなどの中出しサービスが梅毒が広まった原因
- 歯科医師ですがホワイトニングについて
- 医学部生ですが4年半つきあっていた彼女に振られてしまいました
- 女の蜜壺カルテルには決してつっこんではいけない
- 女ですがやはり興味のある男性には淑女として接します
- パパ活がきっかけでモテスパイラルに乗り覇王色の覇気をまとった

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.なぜ東大やスタンフォード大卒の理系は成蹊や学習院の文系学部卒よりバカなのか

 我が国の元首相の鳩山由紀夫氏が、Twitterで、先日の北海道で起きた地震について、温暖化対策のひとつとして地中に二酸化炭素を貯蔵する実験施設が北海道にあるのだが、それが地震を引き起こした人災だ、と発言した。この突然の陰謀論を巡ってネットが騒々しくなっていた。鳩山由紀夫氏は、首相就任中も、思いつきでいろいろな発言を繰り返し、海外の評論家や政府高官にLoopy(=お馬鹿さん)と呼ばれるなど、こうしたことはいまに始まったことではない。北海道県警も鳩山氏の発言をデマと認定し、道民に冷静な対応を呼びかけることとなった。

●北海道の地震でデマ相次ぐ=鳩山元首相アカウントも 道警
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019022201075

 いまでは鳩山さんは、こうしたお馬鹿発言ですっかりお馴染みのキャラになってしまったわけだが、彼は日本の政治家の中で、最高峰と言ってもいい学歴を持っている。東大工学部を卒業し、米スタンフォード大学でオペレーションズ・リサーチという、割と政策立案に近い数理分野でPhDを取っている。英語も堪能で、こうした理系のバックグラウンドを持った首相が誕生し、僕自身もまた、彼の活躍を予感し、大いに期待したものだ。しかし、その後の彼の迷走で、こうした期待は見事に裏切られることになった。
 鳩山氏の次に首相になった菅直人氏も、これがなかなかダメだった。彼は東工大の応用物理学科を卒業しており、原子力工学を勉強していた。だから、福島第一原発事故後は、原子力行政に自信満々で口を出すようになり、これがかなり酷いもので、首相を辞したあとは、デマ情報を垂れ流す、単なるイカれた反原発市民運動家になってしまった。

『反原発の不都合な真実』 https://amzn.to/2G82yKC

 さて、スタンフォード大でPhDまで取っている鳩山氏は言うに及ばず、菅直人氏だって、在学中に麻雀点数計算機を発明し特許を取得するなど、単に詰め込みで入試だけ運良く受かったものの在学中に落ちこぼれてしまった、というような学生ではない。そこそこ以上に優秀な理系の学生だったのだ。それがどうして、こうした政治のリーダーとなると、あそこまで無能になってしまうのだろうか。
 一方で、長期政権を担っている安倍首相はエスカレーターで中堅私大の成蹊大学法学部政治学科を卒業し、受験勉強さえ経験していない。安倍首相を支える菅義偉官房長官は東京に出てきて高卒ですこし働いた後、一念発起して法政大学法学部政治学科を受験して合格した。麻生太郎財務大臣は学習院大学経済学部政治学科卒業である。
 日本の受験業界の常識から言えば、鳩山氏や菅氏のほうが圧倒的に学力が上、ということになる。しかし、いまや誰の目から見ても、無能なのは安倍内閣の面々ではなく、鳩山氏や菅氏のほうである。
 誤解のないように言っておくが、私は安倍政権を支持ているわけでも、また、受験勉強や大学で学ぶことなど意味ない、という学歴否定論者でもない。むしろ、その真逆だ。安倍政権に対してはダメな政策に関しては、辛辣に批判してきたし、私自身が元々は理系の研究者で、金融機関に転職し、こうして作家をやっているわけで、鳩山氏や菅氏のような理系のバックグラウンドを持つ人たちが、どんどん政治や経営の世界で活躍して欲しい、と切に願っていたのだ。

 ところが、政治トップとしてこれほどまでの無能っぷりを見せつけられると、考えを改めずにはいられない。そして、じつは会社経営でも、高学歴の理系が社長になりがちだった日本のメーカーがどうなったのかを振り返ると、明らかに経営者として無能だった人が多いのである。日本は理系が優秀だけど、勉強しない文系がダメだ、と言われるが、日本の大企業を見ても、多かれ少なかれ、日本の政界と似たような状況なのだ。私大文系出身の経営者のほうが、だいたいパフォーマンスがいいのである。これは、なんということだ!
 つまり、鳩山氏や菅氏が、たまたま例外的な存在というわけではなく、彼らはむしろ理系でも出来のいい方だったし、理系出身の人がポンと組織のリーダーになるとどうなるのか、ということのかなり典型的なケースのように思われるのだ。理系出身としては何とも悲しい現実がそこにある。
 その理由をこれから書いていこうと思うのだが、これには日本の教育からはじまり、脳科学や人工知能などの学習理論、さらに理系の研究者やエンジニアがどういう仕事内容でそれに必要な資質は何か、一方で、政治や経営のリーダーのようなマネジメントに必要な資質がどう違うかなど、説明しなければいけないことが多岐にわたり、なかなか壮大なテーマになってしまう。それは、メルマガのコラムとしては手に余る。よって、今週号では、ほんの触りだけを述べることにしよう。

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