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週刊金融日記 第338号 東大文系教官たちは日本語バリアを確信犯的に守っている、米失業率3.7%で過去70年で最低、五反田の安くて美味しい地中海料理、堀北真希似の巨乳Sクラスをゴール目前で逃してわかったこと、他

// 週刊金融日記
// 2018年10月10日 第338号
// 東大文系教官たちは日本語バリアを確信犯的に守っている
// 米失業率3.7%で過去70年で最低
// 五反田の安くて美味しい地中海料理
// 堀北真希似の巨乳Sクラスをゴール目前で逃してわかったこと
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本は月曜日は体育の日で3連休でしたね。スギ花粉に反応する人にとっては春は苦痛でしかないので、9月と10月の秋は一番快適というか、日本で唯一の快適な季節ですので思う存分楽しみましょう。日本の秋はサンマやイクラが美味しいですし、冬にかけて牡蠣なんかが美味しくなり、たまりませんね。
 僕は香港に向かう飛行機の中でこのメルマガを書いているのですが、これぐらい近い距離だとエコノミーもビジネスも快適さはあまり変わらないのですが、じつは値段も大して変わりません。1.5倍ぐらいです。しかし、オーバーナイトでヨーロッパやオーストラリアに行く場合は、狭いエコノミーと席がフルフラットのベッドになるビジネスクラスでは快適さが天と地ほど違います。それゆえに値段もだいぶ違って、エコノミーの格安航空券だと10万円もしないのですが、ビジネスだと50万円はなかなか下回りません。みんなネットで見比べてチケットを買うので、いまや飛行機の席の値段は極限まで効率的になっています。国際線に限れば、航空産業自体がほぼ完全競争市場でぜんぜん儲からないのかもしれません。しかし、国内線を見てみると、僕たちは東京から四国に行くのに往復6〜7万円ぐらい払うわけで、それだけ払えばオフシーズンのハワイならお釣りがくるし、オーストラリアのケアンズぐらい行けるわけで、国内線は儲かりますね。韓国や台湾、中国との競争に晒されている日本の大手家電メーカーがジリ貧でも、国際的には競争力のない大手銀行のサラリーマンの給料はまだまだ高いのですから、儲けるには政治力を使った規制や違法ではないギリギリの市場独占により、消費者の利益を損なうことがどれほど重要なことかがわかります(笑)。

 先日、海外で暮らしている日本人ツイッタラーたちの間で話題になっていた『クレイジー・リッチ・アジアンズ』が日本でも公開されたので見てきました。ハリウッド映画は白人が主人公でないとヒットしない、という法則が信じられていたのですが、主要人物すべてアジア人のこの映画がアメリカでヒットした、という人種問題の文脈で語られることが多いです。しかし、僕は経済的な観点で、とても面白いと思いました。
 中国を筆頭にすごい経済成長を遂げているアジアの勢いが活き活きと描かれていて、それがアメリカでもヒットする時代なんだなぁ、と。ヒロインはアメリカの中国系移民の貧しいシングルマザーに育てられ、勉強をがんばってニューヨーク大学の経済学部教授にまでなった30代の女性です。その彼女がつきあっていたシンガポールから来ていた男性が、親友の結婚式があるからシンガポールにいっしょに行こう、ということで物語がスタートします。ただのイケメン彼氏と思っていたその男性は、じつはシンガポールのとんでもない富豪ファミリーの息子でした。彼らの親族は台湾や香港でも成功しており、自分たちが持っているマレーシアの島に遊びにいったりして、この辺の富豪っぷりの描写がじつに豪快で、日本を除くアジア経済の勢いを感じさせるものでした。
 しかし、根幹となるストーリーは典型的なシンデレラで、これまた安心して楽しめます。人間が面白いと感じるストーリーのパターンは限られており、約400年前のシェークスピアの時代にはすでに出尽くしていたと言われていて、僕もこれには同意です。映画評論家として、あるいは漫画や映画の原作者として思うのですが、ストーリーは確実に面白いベタベタなものでいいと思います。そこに現代的な素材を流し込めばだいたいいい作品ができますね。
 
●クレイジー・リッチ! 公式サイト
https://warnerbros.co.jp/movies/detail.php?title_id=54615

 ビジネス経済誌の週刊Spa!で連載している映画評では『かごの中の瞳』(原題:All I See Is You)を取り上げました。基本的にマイナー映画の中から作品を選んでいるのですが、この映画もマイナー映画なのに予想外に映像が綺麗で完成度が高かったです。

●目が見えない美しい妻が手術後、初めて見た夫の顔は…映画『かごの中の瞳』
https://nikkan-spa.jp/1514265

 今週も興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-貴乃花親方引退をどのように受け止められましたか
-ハンドテストに簡単に移行できるエロ線ルーティーン
-妻を含めた3P・スワッピングのススメ
-堀北真希似の巨乳Sクラスをゴール目前で逃してわかったこと

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.東大文系教官たちは日本語バリアを確信犯的に守っている

 前号で、中国がグレートファイアウォールにより、米国のGAFAに対抗しうるいくつかの巨大IT企業を生み出したことを解説した。また、個人情報をいくらでも収集し、それを利用できる中国が人工知能の分野でも飛躍しうる可能性があることを紹介した。そして、日本は、日本語や特殊な文化による非関税障壁で、人材市場が国境を超えてグローバル化することを防ぎ、この障壁の内側で日本の本流エリートたち(科挙的受験勉強に励み日本の有名大学を卒業して終身雇用が前提の伝統的な大企業や官庁で働く総合職)はあまり国際競争に晒されてこなかったことを指摘した。こうした本流エリートは英語が共通語の海外の企業で働くことは難しく、また外国人が日本語を習得して日本企業でマネジメント職に就くことも困難で、国境を超える人材の流出・流入の両方向で日本市場への参入障壁になっている。いまだ世界第三位の巨大な日本経済のパイは、このような堅牢な日本語バリアにより守られているのだ。

『週刊金融日記 第337号 中国のグレートファイアウォールと日本の日本語バリア』

 さて、こうした日本語バリアは、島国という地理的な要因や、日本語自体が世界共通語となった英語と非常に異なる言語である、ということから偶然できたものだと思っていた。ちょうど砂州やサンゴ礁により隔てられたラグーンのように。僕が10年ほど前にこのようなブログ記事を書いたのは、もちろん皮肉をこめたジョークだった。

●文部省は日本人の英語不能化政策の解除をしてみてはどうだろうか?(2009年7月15日)
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51554830.html

 しかし、じつはこの日本語バリアはかなり意図的に守られているかもしれないのだ。それに気がついたのは、大学入試改革で英語入試はスピーキングを含む英語の4技能を見ることにしようという議論に、執拗に反対する陣営がかなりいたからだ。驚くことに、一番がんばって反対していたのが、東京大学の文系教官たちだった。

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