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週刊金融日記 第148号 既存の文系学問はなぜダメなのか、ウクライナとギリシャ情勢、青山のバスク料理のお店、名古屋のデートコース、他

// 週刊金融日記
// 2015年2月9日 第148号
// 既存の文系学問はなぜダメなのか
// ウクライナとギリシャ情勢
// 青山のバスク料理のお店
// 名古屋のデートコース
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 先々週に週刊Spa!に掲載した記事がウェブにもアップされました。日本株の大株主の話です。最近では、ベンチャー企業に投資するファンドを省庁が作ったり、いったいこの国はどうなってしまうのでしょうか。

●日本株の筆頭株主はGPIF、2位は日銀。日本は共産主義国家になるのか?
http://hbol.jp/23973

 連載中の小説が更新されました。

●Chapter3-8 水辺の散歩
https://cakes.mu/posts/7751

 今週も人生相談コーナーは盛り沢山です。時間のない読者のために重要トピックをリストアップします。

―これがどん詰まりの31歳中年童貞です
―名古屋のデートコース紹介
―住宅ローンを組む予定ですが金利を動かす要因について教えてください
―高学歴学生の人気就職先と医学部の人気
―愛のあるセックスがこの世に溢れますように

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.既存の文系学問はなぜダメなのか

 学問をふたつにわけると、自然(nature)を研究対象とする自然科学(natural science)と、人間の作り出すもの(arts)とそれを可能にする人間の本性(human nature)を研究対象とする人文科学(humanities)になる。また、社会(society)を人間(human)と対比させて研究対象とする社会科学(social science)のカテゴリーを作ると、学問を自然科学、人文科学、社会科学に三分することができる。
 具体的に人文科学を挙げると、哲学、倫理学、宗教学、歴史学、考古学、地理学、文化人類学、民俗学、言語学、文学、芸術学、教育学、心理学などであろう。これに対して社会科学は、社会学、政治学、経営学、法学、経済学などである。
 また、日本では、文系(人文科学+社会科学)、理系(自然科学+工学+医学)に分けることもよく行われている。
 もちろん、学問を厳密に分類できるわけではなく、これらはあくまで便宜的なカテゴリーに過ぎない。

 さて、このような細かい学問の「博物学」は別にして、僕が常々思っているのは、哲学、文学、社会学などの文系学問は、中世の時代からなんの進歩もしておらず、ほとんど意味のないものになっているのではないかということだ。実際、いまでも大学の講義で、中世の時代に書かれた書物をありがたがって、ああでもないこうでもないと読んでいる。もうね、アホかと。馬鹿かと。
 心理学なども、もっともらしいレトリックを重ねて何かをわかった気にさせる星占いと何ら変わりない。
 このような文系学問が、一見、高度な理論があるかのように見せかける術は、占星術とそっくりだ。

 最近では、「イスラム国」に関する説明を見ていても、やはり文系学問はピンと来なかった。
 宗教学者は、キリスト教とイスラム教の対立の歴史、そしてイスラム教の中で、過激な思想として広がってしまったグローバル・ジハードなどの文脈でこうした問題を説明しようとするが、肝心の「イスラム国」の戦闘員の大半はイスラム教のことをよく知らない。ロンドンで逮捕された、イスラム過激派のテロリストの自宅からは、Amazon.comで注文された「サルでもわかるイスラム教入門」と「サルでも読めるコーラン」が発見された。
 オスマン帝国領がサイクス・ピコ協定により欧米列強が分割したことも、アラブ諸国のほとんどの子供は知らないだろう。日本人が第二次世界大戦のことなど誰も気にしていないように、シリアやイラクの子供には目の前の生活があるだけで、100年前に起こったことなど誰も知らないのだ。
 社会で何か大きな事件が起こると、文系学問の学者はテレビに出てきて、「心の闇」や「社会のひずみ」のせいだと言う。これでは何も説明していないに等しい。

 僕は既存の文系学問は、大きな欠陥を抱えていると思う。
 それは何か?
 これらの人文科学が人間の本性とそれが作り出すものを理解すると謳いながら、ふたつの基本的な要素がまるでこの世に存在しないかのように扱われているのだ。
 金と女だ。
 僕が社会に出てわかったことは、世の中のほとんどのことは金と女をめぐる競争だということだ。男たちが金と女を奪い合い、女たちはそのような社会の中で、いかに有利な立場に身を置くかに心血を注いでいる。それにもかかわらず、僕たちが学校で受ける教育からは見事にこのふたつが取り除かれているし、その延長線上にある伝統的な学問からも、このふたつの要素がすっぽりと抜け落ちているのだ。
 人々は昼間は会社でずっと金のことを考え、そして会社が終わるとずっとセックスのことを考えている。これらが人間の精神活動の9割以上を占めていることは、冷静にものごとを観察してみれば明らかだ。

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