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週刊金融日記 第340号 PC自作のススメ、サウジアラビア記者事故死事件で地政学リスク上昇、蒲田で本格ベトナム料理、バチェラーのカップルはなぜ破局するのですか、他

// 週刊金融日記
// 2018年10月24日 第340号
// PC自作のススメ
// サウジアラビア記者事故死事件で地政学リスク上昇
// 蒲田で本格ベトナム料理
// バチェラーのカップルはなぜ破局するのですか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 最近はめっきり寒くなってきましたね。季節の変わり目は寒暖差が激しく風邪を引きやすいので、皆さん気をつけてください。
 あと、最近、有名ナンパ講師やヤリチンで売っていたネット芸人の方などが逮捕される事件が相次いでいますね。近代化によって人々は自由に、自由になっているのですが、こと性に関しては、さまざまな調査で若者の性体験が乏しくなっていますし、不倫した芸能人が辞めるまで叩かれ続けたり、未成年と関係を持てばそれだけで社会的地位の高い職業は一発退場になったり、と世間の規範意識はどんどん厳しくなっているように思います。こちらも、皆さん気をつけましょう。
 以前にいくつかこうした話題についても記事を書いたのですが、その時よりも世間の厳しさは一段と増しているように思います。どの程度リスクに警戒しないといけないのか、最新の情報を使ってアップデートが必要かもしれません。とりあえずは、新規開拓より既存の子たちを大切にする、というフェーズでしょうか。

『週刊金融日記 第238号 恋愛"過剰コンプライアンス"時代を生き抜くための恋愛工学』
『週刊金融日記 第269号 性犯罪冤罪リスクを定量的に考える』

 橘玲さんのブログに、なぜ世界のセレブはみなリベラルなのか、ということに関して面白いことが書いてありました。それはグローバル市場で稼いでいるから、という単純な理由です。なるほど言われてみたらそうかもしれません。人口70億のグローバル市場の大衆向け商品で莫大な金額を稼いでいたら、人種差別したり国籍差別するような行為は単なるアホです。顧客にそっぽを向かれてしまいますね。

●「ヘイト」の烙印を捺されたら休刊の理由
https://www.tachibana-akira.com/2018/10/11260

 僕は外資系投資銀行で働いていましたが、多国籍企業はやはりめちゃくちゃリベラルです。たとえば、GoogleやAppleは、世界中から才能のある人を雇って、そして、製品を売っているのですから、考えてみたら当たり前です。性別、人種、国籍などで差別することが肯定されるような会社では、優秀な人は働こうなどと思わないでしょう。
 そう考えると、アメリカの有名大学がなぜあれほどリベラルなのかもわかります。彼らは国籍で人を差別するのは程度の低い人間のする間違ったことだと考えています。だから、並のアメリカ人から馬鹿高い授業料を毟り取ったと思えば、中国からの優秀な留学生には授業料を免除して、奨学金を出したりします。そんなことに対して誰も疑問を持たないし、当たり前のことだと思っているのがアメリカの有名大学です。アメリカの有名大学は、世界中からタレントを集めていますから、教授の半分以上が外国出身、大学院生も半分以上が外国人などというのがふつうのことで、こんなところでリベラルじゃない考えが認められるわけがないのです。外国から優秀な研究者を集めてくるような世界の大学は、当然のようにすべてが超リベラルになるわけですね。
 そして、こうしたボーダレスワールドでどんどん豊かになるグローバル市民がいる一方で、大多数のアメリカ人はドメスティックです。アメリカ人はアメリカ人というだけでアメリカ政府から大切にされたり、優遇されたい、と思っています。そういう人達の琴線に触れたのが、トランプ大統領だったのかもしれません。リベラルなグローバル市民なんて知らねーよ、と。
 こうした観点から日本の大学を観察すると面白いです。大学入試改革を巡って、東大が攘夷派というか、現状を変えない派だということが見えてきました。グローバルに勝負するより、日本語バリアの中で国内トップを堅持したいようです。これは世界の名門大学とは著しく異なる行動原理です。その点で、最近は、早稲田に勢いがあるようです。入試改革では、文系学部も数学必須にして、TOEFLなどを取り入れました。そして、早稲田はかつて中国共産党の幹部たちが留学していた大学で、中国国内で圧倒的なブランドがあり、優秀な中国人留学生を集めています。

●早稲田政経学部長が語る「数学必須化」の狙い
https://toyokeizai.net/articles/-/233072

●中国人エリートが慶應よりも圧倒的に早稲田を目指す理由
https://toyokeizai.net/articles/-/233072

 この点で、脱亜入欧の価値観で染まっている慶応はアジア経済の爆発的な成長にいまいち乗れなかったようです。早稲田は不運な不祥事などもあり、長らく慶応より下になってしまっていたのですが、そろそろ慶応を再逆転するのかもしれません。
 また、受験工学的な観点では、大学入試改革で東大以外の大学の入試問題は、欧米やアジアの大学に近づいていくことになり、留学を考えている日本の受験生には海外大学と併願しやすくなります。一方で、東大の入試問題は昔から徹底的にある種の国語力を問うものです。難解な現代文はもちろんのこと、英語も日本語で要約させたり、歴史や地理などは知識よりも論述、論述で、かなり特殊な日本語力、そして、日本語情報処理力を見る試験になっています。これはグローバル化、そして、SNSの時代というか情報過多の時代に、世界共通語としての英語の重要性が高まり、コミュニケーションはとにかく短くわかりやすく伝えるのが勝ち、という社会の趨勢に逆行しているよう思えます。
 現状、日本の名門私立高校では最重要KPIが東大合格者数に設定されてしまっているので、しばらくは最優秀な生徒を集めるでしょうが、東大以外の大学入試が、TOEFL、数学、小論文などで共通化していく一方で、東大だけが特殊が入試を続けた場合、このまま最優秀な日本の高校生を集め続けることができるのか注目されます。

『週刊金融日記 第308号 日本の大学受験甲子園の仕組みを理解する』
『週刊金融日記 第309号 東大現役合格率上位15校すべてが男子校か女子校だった』
『週刊金融日記 第338号 東大文系教官たちは日本語バリアを確信犯的に守っている』

 今週も興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-転勤で移住した場合の地方都市での基本戦略
-シェイクスピアの時代に面白いストーリーのパターンは出尽くしたと言われますがソースはありますか
-漫画村のような海賊版サイトを撲滅すべきか
-バチェラーのカップルはなぜ破局するのですか
-堀北真希似のSクラス戦敗北の振り返り
-「あえてかわしてもう一回ディスりを入れる」を具体的に教えてください
-クラブでCクラスに「セックスしたい」と伝えたら逃げられました

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.PC自作のススメ

 今週は読者の方からデスクトップPCについての相談があったので、そのことについて述べたい。

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-オススメのデスクトップPCをご教授ください

いつも楽しく拝見しております。
さて、今回はPCについてお伺いしたくご連絡させて頂きました。
私は普段ノートパソコンを使用しているのですが、自宅で仕事をすることが増えたことからデスクトップPCを購入しようと検討しております。
そこで、藤沢先生おすすめのデスクトップPCやモニターをご教示頂けますでしょうか。
特別ハイスペックなPCが必要な仕事はしておりませんので、一般的なもので十分です。
以前、PCは自作されているとおっしゃっていましたが、実際どのようにされているのでしょうか?
何卒よろしくお願い致します。
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 僕たち現代人は人生の多くの時間をPCやスマホの画面を見て過ごすこととなった。ホワイトカラー職に至っては、勤務中のほとんどの時間をPCの前で過ごしている。そして、その割には、僕たちはあまり自分のPCについてこだわりがないようだ。スマホには意外とこだわっているのだけれど。ところで、最近発売されたiPhoneは15万円程度もするが、よく考えればスマホは毎日使い、2年間ぐらいは余裕で保つので決して高い買い物ではない。自動車や腕時計に比べたらとんでもなく安いし、高いワインやブランド物の服などと比べてもとんでもなくコスパがいいものだ。ここはぜひとも金をかけるところだろう。

★香港で念願のiPhone Xsを買ってきました。約14万円!

 さて、PCである。僕はかれこれ20年以上もPCの前に座る仕事をしている。研究者、証券マン、そして、作家だ。これまで数え切れないほどのPCを使ってきた。そして、僕はPC選びについて、もう完全にひとつの結論に達している。それは、自分で作る、ということだ。ちなみに僕はハイスペックなPCが必要なゲーマーでもないし、CPUのクロックアップなどに萌えるようなマニアでもない。ごくふつうのビジネスマンである。

 僕が最初にPCを自作したのは大学生のときだ。当時は、出来合いのPCを買うより、パーツから組み立てたほうがより低価格で高いスペック性能を手に入れることができた。つまり、自分で作るほうが安かったのだ。この経済合理性から、PCを自作する人は少なくなかった。20年以上も前の話である。
 それからほどなくして、Dellなどのチップ開発などとは無縁で、ただパーツを組み立てて出荷するだけの格安PCメーカーが台頭してきた。こうしたメーカーは、市場でだぶついていて値崩れしているパーツなどを買い集め、非常に低価格で組み立て終わったPCを売っていた。こうして、スペック性能的な自作PCの優位性は失われていった。何か特殊な用途に使うPCや、3Dゲームなどで極限まで性能を引き上げたいマニアなど、自作するユーザーは非常に限られるようになった。
 いまはスペック性能的には、自作PCはだいぶ割高だ。余りもので作った出来合いのPCがさらに余ってしまって安売りを余儀なくされているようなものを見つけてくれば、自作PCなんかより表面スペックのコスパはだいぶいい。
 だったら、どうして割高でも自作PCにしなければいけないのか。それは自作PCは明らかに使いやすいからだ。そして、性能も非常にいい。どうしてそのようなことが起こるようになってきたのか説明しよう。

★僕がちょうど1年ほど前に自作したPCはいまでも圧倒的に使いやすいです。

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