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週刊金融日記 第345号 一夫多妻や女系家族はなぜ広がらないのか、ビットコインや原油などコモディティが大暴落、品川駅の牡蠣の美味しい居酒屋、売れっ子風俗嬢を作る方法は意外と単純だった、他

// 週刊金融日記
// 2018年11月27日 第345号
// 一夫多妻や女系家族はなぜ広がらないのか
// ビットコインや原油などコモディティが大暴落
// 品川駅の牡蠣の美味しい居酒屋
// 売れっ子風俗嬢を作る方法は意外と単純だった
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 ちょっと仕事でオセアニアのほうに来ています。僕が学生のころ、日本経済は土地バブルが崩壊してから下降を続けていましたが、それでも円が強かったので、一人当たりGDPなどは世界トップクラスで、人口が日本の10倍もある中国なんかは国全体のGDPでも日本の足元にも及ばず、一人当たりでもスイスなんかと競っていたんですよね。オーストラリアやニュージーランドなんかの一人当たりGDPは、日本よりはるかに下でした。夕方の4時や5時にはみんな家に帰って、仕事なんか二の次、三の次で、資源で暮らしている彼らとは価値観が違い、日本は子供は受験勉強、就活、そして、大人は満員電車で通勤しサービス残業の日々で、褒められたものではないかもしれませんが、金だけは他の国より稼いでいる、という自負がありました。
 しかし、いまや日本の一人当たりのGDPは、資源国のオーストラリアはもちろんのこと、農業国のニュージーランドにも負けてしまいました。一方で、これらの国はいまでも夕方の4時には家に帰って家族でバーベキューをしていますし、日本人の満員電車もサービス残業も変わっていません。なぜこのようになったのか、ということについてはさまざまなことが言われているわけですが、IT革命で、あらゆる産業で効率化が進む中で、日本人のドMな性格が災いしたのかな、という気がします。
 10年丁稚奉公しないと鮨を握らせてもらえない鮨職人の世界など典型的です。あと、日本の大学入試なんかも、どうせ後々使うことがない古文とか漢文とかの単語を必死で覚えて、理系でも5科目フルセットの筆記試験を通ってこそが正統派で、推薦やAO入試、帰国子女入試なんかは邪道で「ズルい」とされてしまいます。こうやって、無駄なことを我慢強くやることに価値があるわけで、日本人エリートは全般的にドMの人が多く、ITで効率的にやることとは根本的に価値観が合わないんだと思います。一方で、オセアニア地域の人々はあまりたくさん働きたくないので、効率的な政府を作り少しでも働かなくてもいいようにITなどを活用して制度設計しています。AirbnbやUberも使い放題でなかなか快適なのですが、日本人は伝統的な既得権益をとても大切にしますから、こういうITによる新しい経済もなかなか広がらないですね。結局の所、長期的には一国の経済は労働力を含めてリソースをいかに効率的に使うかの問題に帰着するわけですが、日本人は人々の努力という燃料を最終的な豊かさににつなげるためのエンジンがとても効率が悪いわけで、燃料を無駄遣いするシステムなんですね。
 このように、教育から産業まで、そして、法規制や文化など、戦後日本を支えたシステムがさまざまなところで制度疲労を起こし、それが限界にまで達しつつある、というのがいまの日本経済で、そういう意味ではやはり開国派と攘夷派が入り乱れた幕末の状況に近いのかな、という気がしております。

『週刊金融日記 第227号 世界を変えるということ ポケモンGOとUberとAirbnbと恋愛工学の共通点』
『週刊金融日記 第338号 東大文系教官たちは日本語バリアを確信犯的に守っている』

★Uberは本当に便利で快適なんですよね。

 日産のゴーン氏逮捕劇については、開国派と攘夷派の攻防になぞらえて以下の記事を書きました。

『週刊金融日記 第344号 カルロス・ゴーン氏逮捕と日本の権力中枢について』

●カルロス・ゴーン逮捕は攘夷派の反撃か!?
http://agora-web.jp/archives/2035812.html

 その後、いくつも面白い記事が出てきたのですが、要は、日本で役員報酬の開示が義務化される前まで、彼の年俸は20億円だったのですが(これ自体はグローバルな基準では適正でしょう)、日本もフランスも何かと社会主義的な国ですから、いろいろ批判を避けるために、見かけ上10億円ぐらいに抑えるスキームを作った、ということのようです。もちろん、日産もゴーン氏もそれが合法のはずだと信じて、実際に法律事務所や会計事務所にも相談しながらスキームを作ったと思うんですが、いろいろ日産で御家騒動がおきて、合法と違法のギリギリの線だったところを、部下だった日本側の役員たちに、司法取引で東京地検特捜部に突き出された、ということなのかもしれません。知らんけど。

★本来20億円だった年俸を、高額役員報酬の開示が義務付けられ、10億円程度に収めるためのスキームだった、というのがことの真相なのでしょうか……。

 いつものように読者からの興味深い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。

-Win機かMacかで迷っています
-売春やドラッグも合法化して自己責任にすべきでは
-金融機関に務めている専門職若手サラリーマンですが全体会議の内容がさっぱりわかりません
-恋愛工学的にはクリスマスや誕生日に何をプレゼントすればいいですか
-税金の観点から見た海外移住という選択肢について
-ランチしか会えない場合はアポを別日にすべきか
-昼アポの成功率向上方法を教えてください
-ラテン系の国に住んでいますが筋肉はあっても彼女ができません
-売れっ子風俗嬢を作る方法は意外と単純だった

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.一夫多妻や女系家族はなぜ広がらないのか

 先週号の冒頭ですこし触れたのですが、ふたりの奥さんとその子どもたちといっしょに豊かな暮らしをしている家族のことがネットで紹介され、話題になっていました。
 まずは、読者の方の投稿です。

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-一夫多妻を公にしている衝撃的な記事に恋愛工学を感じました

はじめまして、イヌクマと言います。
先日、Facebookの投稿で、日本でも一夫多妻を公にしている下記の投稿を発見し、居ても立っても居られなくなったので共有です。

●「本音で生きると決めたら、この形になった」一夫多妻で暮らす西山家のリアル(前編)
https://r25.jp/article/609984985417498699

●「出産を支え合ったら、もう嫉妬はなくなった」一夫多妻で暮らす西山家のリアル(後編)
https://r25.jp/article/610015295786737681

詳細は記事を読んで頂ければと思うのですが、思うことはたった一つ。
結局、「たくさんヤリまくっているやつが1番モテる」。
恋愛工学で言われていることを、まざまざと見せつけられた感じの記事でした。
今後の配信も楽しみにしています!
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 西山家は、第一夫人のゆかりさんとのお子さんが2人と、第二夫人の裕子さんとのお子さんが4人の合計9人家族で、ひとつ屋根の下でみんなで楽しくワイワイ暮らしています。この西山家の主である嘉克さんは、ぜんぜん悪い人でも特殊な人でもありません。ゆかりさんと結婚していたのですが、裕子さんも好きになってしまい、必死でみんなを幸せにしよう、とこれまでがんばってきただけなんですよね。そこには、さまざまな葛藤もあったことでしょう。とにかく、紆余曲折を経て、このように明るく楽しい家庭を作ってこられたわけです。
 予想通りというか、ネットでの人々の反応は、とにかく驚いた!というものです。本来ならありえないことが実現している、というわけです。僕が「予想通り」と言ったのは、僕はある種の大衆モデルというのを頭の中に持っていて、大衆がどういう情報にどのように反応するのかをある程度シミュレーションしているからで、僕の意見とは関係ありません。
 じつは僕はこうしたことについて違ったことを考えていて、むしろ逆に、なぜこのような一夫多妻ファミリーは、日本をはじめ先進国ではぜんぜん増えないのか、ということです。自由恋愛市場では、一部のモテ男性による寡占化が進んでいるのは周知の事実で、その意味で一夫多妻的ではあるのですが、こうやって実際に子供を作り、そして、家庭を営んでいる人は非常に少ないです。ZOZOの前澤社長のような方は本当に少なく、せいぜいヤリチン男性が複数の女と避妊しながら子供のできないセックスを楽しんでいるという程度のことです。

『週刊金融日記 第341号 ZOZOの前澤社長を日本社会がどう受け入れるか』

 これがなぜ不思議なのかと言うと、進化論にも経済学にも反しているように思えるからです。人間の行動というのは、進化論的な遺伝子拡散への欲望と、経済学的な金を増やしたいという欲望で、だいたい説明がつく、というのが恋愛工学というか、このメルマガで繰り返し述べられてきたことです。女性はモテ男性の遺伝子をゲットして、自分の子供をモテ属性にしたいわけです。同時に、子供が生育するまでの庇護を必要としているので、ちゃんとめんどうを見てくれる男性の誠実さや経済力も気にするわけです。女性の心はこのせめぎあいでできています。

『週刊金融日記 第12号 Good Genes or Good Dad?』
『週刊金融日記 第13号 女の生理周期と浮気の関係』
『週刊金融日記 第42号 女心の基本的な数理モデル』

 一方で、男性はたくさんの女性と関係を持ち、次々と妊娠させることこそが遺伝子拡散の最適戦略なので、セックスのことばかり考える心になってしまったわけです。

『週刊金融日記 第56号 男がセックス以外に考えていること』

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