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週刊金融日記 第321号 コストパフォーマンス(略してコスパ)という言葉の背後にある目的関数、新潟知事選反原発候補敗れる、シンガポールで米朝首脳会談、六本木にまた高級ステーキハウス、暗記メソッドSRSを試してみました、他

// 週刊金融日記
// 2018年6月12日 第321号
// コストパフォーマンス(略してコスパ)という言葉の背後にある目的関数
// 新潟知事選反原発候補敗れる、シンガポールで米朝首脳会談
// 六本木にまた高級ステーキハウス
// 暗記メソッドSRSを試してみました
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 日本は梅雨の季節ですね。幸いなことにまだ外は涼しいのですが、雨空が多くなってきました。
 小池都知事が思いつきで築地市場の豊洲移転を風評被害を撒き散らしながら遅らせたので、オリンピックに向けて計画していたさまざまな工事が遅れてしまい、莫大な損害が出ています。民主主義のコストなのかもしれません。

●「環状2号線」全通、2022年度めど 都、築地市場移転遅れ影響
https://www.sankei.com/life/news/180607/lif1806070017-n1.html

★この件で、舛添前都知事は小池さんを痛烈に批判しています。

 その東京都は、ふるさと納税でオリンピック費用をまかなおうとしているようです。これは何がプレゼントなのか、楽しみですですね。五輪会場の建物に高額寄付者の名前が永久に載せるなどしたら、けっこう集まるんじゃないですかね。東京には、ふるさと納税できる金額が多すぎて、高級和牛をいくらもらっても枠を使い切れないような金持ちがそれこそ巨万(ごまん)といますからね。

●五輪費用、ふるさと納税で 東京都が検討
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31577280Z00C18A6MM0000/

週刊金融日記 第299号 ふるさと納税で地方から続々と名産品が送られてきます

 もうすぐワールドカップ・ロシア大会がはじまります。僕は熱心なサッカーファンではなく、あまりくわしくニュースを追っていないのですが、Twitterを見ていると日本代表は熱心なサッカーファンにボロクソに叩かれているようです。彼らのストーリーは次のようなものです。勝つために合理的に働いていた外国人監督が若手を起用して結果を着々と出していたのですが、日本で人気がありサッカー協会会長とも仲がいいベテラン選手がメンバーから外れるかもしれず、直前になってベテラン選手とサッカー協会の偉い人が外国人監督をクビにしてしまった、と。あとは、大した実力もないくせに、「自分たちのサッカー」と称してやりたいことを選手が勝手にやっている……、と。4年後につながるような若い選手たちがメンバーから外れてしまって、年功序列ジャパンとも呼ばれています。このストーリーが本当かどうか僕は知りませんが、まあ、日本の企業でもいかにもありそうなことで、そういうストーリーにフラストレーションが溜まっているビジネスマンたちも乗っかって、さらに叩かれています。
 まあ、いずれにしても、せっかくなのでがんばってもらいたいです。

●西野ジャパン見返せ!わずか150人の寂しい見送り
https://www.nikkansports.com/soccer/russia2018/news/201806030000084.html

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 今週も面白い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-女の子を自宅にスムーズに搬送するルンバ・ルーティーン
-射精はできなかったもののホテルに連れ込むことができ気持ちの上ではゴール同然です
-橋本環奈似A級美女への恋愛工学フレームワーク失敗談(第301号)の続報
-「私が他の人とエッチしたらどうする?」と聞かれたらどう答えればいいですか
-世帯年収1200万円で6500万円の家を買おうとしてますが突き進んで大丈夫ですか
-前髪を上げたら急にモテモテになりました
-中国語学習のためにオススメのテキストとアプリ
-暗記メソッドSRSを試してみました

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.コストパフォーマンス(略してコスパ)という言葉の背後にある目的関数

 最近、というかかなり昔からコスパという言葉をよく聞くようになった。そもそも恋愛工学など、週刊金融日記のコンテンツが人気を博してきたのは、恋愛や人間関係などにもマネジメントサイエンスがビジネスを分析するために使うツール(=それらは概ね「コスパ」に関するものだ)を応用し、学問的な成功をおさめ、そして、それらが実際に役に立ってきたからである。
 さて、ビジネスでのコスパというのは、時間軸や外部性などいろいろと単純ではない要素があるものの、要はコストと利益の比のことである。分母がコストで分子が利益である。

 ビジネスのコスパ = 利益 ÷ コスト

 ビジネスは何でも金に換算されるので(たとえば人の時間はすべて金で表される)、利益もコストも金である。どれだけの金を投入してどれだけ利益を増やすのか、ということだ。英語では、Profit to Cost Ratioなどと言われる。
 しかし、ビジネス分野以外のコスパというのはどう測るのか。レストランのコスパは比較的簡単である。

 レストランのコスパ = (味・お店の雰囲気・店員のサービスなどの満足度総合点)÷ 値段

 ところが、これが恋愛や人生での幸福度となると、そう簡単にはいかない。(男性向け)恋愛工学がサイエンスの域にまで高められたのは、便宜的に簡単なKPI(Key Performance Indicator)が設定され、種々の恋愛戦略を評価し改善できるようになったからだ。つまり、CSR(セックス当たりのコスト、Cost to Sex Ratio)を最大化するべき目的関数としたことにより、極めてパワフルな工学的手法がそのまま恋愛に応用できるようになったのである。
 もちろんこれは簡単なモデルである。そこには様々な問題があり、恋愛工学を批判する人が指摘するところでもある。当然だが、金融日記恋愛工学研究所でも、そのようなことは最初から認識しており、より良い理論モデルの構築や実践可能な戦略を提示するために、様々な研究開発が行われてきた。
 しかし、実際のところ、ほとんどの批判が聞くに値しないものであることも事実だ。それはさながら、仕事ができず、売上がぜんぜん上がらない営業マンが、会社はただ利益を稼ぐためにあるのではない、と説教を垂れるようなものであり、小さな船で飲まず食わずで海を渡ってきた難民に水や食料を与えようとしている人に向かって、「人はパンのみにて生くるものに非ず」とたいそう立派な理念を語るようなものである。そうした批判のほとんどが、満足にセックスにありつけない自分を正当化したり、あるいは恋愛工学を使いこなしているプレイヤーに対しての妬みである。セックス不足が解消されていない男が何を言っても、何の説得力もないのだ。
 恋愛をわかりやすいコスパの文脈に落とし込んだことにより、恋愛工学という極めて重大なブレークスルーが引き起こされた。このことは決して過小評価されるべきではない。
 
 しかし、ここ数年、世間が恋愛工学を学んだのかどうか知らないが、人生をコスパで語るような言説が溢れかえるようになってきた。コスパというからには、上記のような単純な割り算の形をした関数を使うにしても、分子が何で分母が何かが暗に仮定されているのだ。そして、文系ライターたちが書く質の低いコラムには、何が仮定されているのか明示的に書かれていないが、それが何であるかは明らかだ。
 分母は金だ。そうした記事を読む多くの読者にとって、金が最も大切な資源なのであろう。そして、分子はおそらく、精神的な満足感である。恋愛はコスパが悪い、というのは、金がかかる割に、いまどきは変な女ばかりで(あるいは男ばかりで)、満足感があまりない、という意味である。結婚はコスパが悪い。子供を作るのはコスパが悪い。いまどきつらい受験勉強をしていい大学に行くのはコスパが悪い。会社で出世して管理職になるのはコスパが悪い。
 多くの庶民は、脳内から分泌される麻薬物質の中毒になっている。そして、庶民にとって、金が何よりも大切なのだ。金を稼ぐ辛さと、夜ビールを飲んだときの快楽、あるいはお気楽な性風俗での快楽。こうした辛さと快楽により、庶民の人生はずっと支配されている。

 さて、ここで読者の投稿をひとつ紹介しよう。

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-お金を稼ぐモチベーションは何でしょうか

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