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週刊金融日記 第445号 赤い蜃気楼と米大統領選挙で見た選挙予想のプロたちの戦い、予想通りにバイデン大統領誕生、レストラン紹介コーナーは自粛中、当選したオリンピックのチケットは払い戻したほうがいいですか、他

// 週刊金融日記
// 2020年11月6日 第445号
// 赤い蜃気楼と米大統領選挙で見た選挙予想のプロたちの戦い
// 予想通りにバイデン大統領誕生
// レストラン紹介コーナーは自粛中
// 当選したオリンピックのチケットは払い戻したほうがいいですか
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 手に汗にぎる世紀の大統領選挙がありました。選挙の裏側をいろいろ垣間見て感銘を受けたので、そのことを伝えたく、今週はちょっと早めに配信です。

★株式市場は相変わらず強いですね。

★ドル円は一気に円高ドル安方向に進みました。

★おそらく昨年の暮れぐらいにたったひとりの人間に感染することに成功した新型のコロナウイルスが世界をひっくり返したわけです。そう考えるとすごいことですね。

★中国から香港に来る際の隔離が免除されたり、また、香港などの感染者がゼロか非常に少ない地域から日本に入国するときの検査がなくなったり、いろいろ浮かれていたら、香港政府がいきなり中国・台湾・マカオ以外から香港に来るときの14日間隔離は自宅ではダメで専用ホテル以外認めない、と発表しました。まあ、自宅隔離はGPSやスマホなどで位置的に自分が自宅にいることは監視されるとはいえ、そこに友達がこっそり遊びに来てもバレない仕様だったので、仕方ないですね。トホホ。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- 選挙結果が大接戦なら米国株は下がりますよね
- 当選したオリンピックのチケットは払い戻したほうがいいですか
- 老人介護を回避する裏技を紹介します

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.赤い蜃気楼と米大統領選挙で見た選挙予想のプロたちの戦い

 昨日は米大統領選挙の投開票が行われた。僕を含めて多くの人たちがリアルタイムで見ており、Twitterではさまざまな人たちが一喜一憂していた。僕は特にトランプ支持でもバイデン支持でもなかった。あえて言えば、恋愛工学の題材として、アルファ中のアルファ爺さんとしてトランプ大統領のことを何度か取り上げており、その点ではトランプ支持であった。

週刊金融日記 第244号 僕たちのロッカールームトーク

 しかし、政策に関しては必ずしも支持していたわけではなかった。日本は良くも悪くも米国の「属国」であるため、コロナ対策などは成功している台湾や韓国などのアジアの先進国を参考にすることはほとんどなく、一番失敗しているアメリカのやり方を模範しているように見えた。それでも市民の衛生意識が高く、またマスクを付けるなどの同調圧力が強いこともあり、アメリカよりははるかに感染者数は少ないが、被害拡大の様子は概ね相似形である。実際、日本はアジアの中では感染者も死者も多いのである。
 コロナ対策という点では、トランプ大統領は対策強化を訴えるファウチ所長などをホワイトハウスから追い出し、集団免疫を説く公衆衛生が専門でもない医師に傾聴して、自身がコロナに感染して見事に復活して見せたこともあり、実質的なノーガードに転じそうであった。対策強化を公約に掲げるバイデン大統領のほうが日本国民にとっては良いのではないか、と考えていた。

週刊金融日記 第444号 日本人はそろそろ欧米コンプレックスを卒業したほうがいい

 こうした僕の好き嫌いやあるべき論と、大統領選の予想はまったく別である。願望と予想を混同することは、多くの人たちが犯す間違いであり、ビジネスや投資では絶対にやってはいけないことである。
 ということで、僕なりに選挙の予想を事前に書いておいた。

●米大統領選挙はバイデンで決まり 2020年10月25日
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52179803.html

●トランプ敗北後もアメリカは大混乱か 2020年11月1日
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52180155.html

 僕は選挙予想の専門的知識があるわけではないし、自分で世論調査の生データなどからモデルを作って予想したりできるわけではない。アメリカ大統領選挙についての知識は、世界のニュースをある程度は追っていなければいけないその辺のビジネスパーソンと同じ程度のものである。
 それでは僕がやったことは何かといえば、原子力問題ならまずはIAEA(International Atomic Energy Agency)だし、新型コロナウイルス問題ならWHO(World Health Organization)などを見るのと同じように、中立的な定評ある選挙予想サイトや実際にカネが賭けられる英ブックメーカー、また、主流のメディア(日本ならNHKや日経新聞、イギリスならBBC、アメリカならCNNなど)の情報を単にまとめて、わかりやすく書いただけである。
 そして、選挙予想の専門家にとっては、米大統領選挙はサッカーでいえばワールドカップの決勝戦のようなものであり、より正確な世論調査の実施や精緻な分析モデルなどの開発に膨大な資金と労力が投入されている。

週刊金融日記 第261号 健全な権威主義こそが正しい情報収集において重要

 当日、僕は投開票の速報を最初から見ていた。前述のブログ記事などでも説明したように、米大統領選挙では、州ごとに割り当てられた選挙人というポイントみたいなものを各州で勝者が総取りしていき合計点を競い合う。カリフォルニア州やニューヨーク州は民主党支持が多く、最初からバイデンと決まっているし、インディアナ州やテネシー州やアラバマ州なんかはトランプと最初から決まっている。よって、両候補はこういう州では選挙キャンペーンなどほとんどせずに、どちらになるかわからない州で必死に選挙活動をすることになる。

●Presidential Election Results 2020
https://www.foxnews.com/elections/2020/general-results

 選挙開票をリアルタイムで見ていたら、フロリダ州という29人もの選挙人が割り当てられている州でトランプが勝ちそうであった。次にテキサス州で38人もトランプが取りそうである。気がつくと、ペンシルバニア州、ジョージア州、ミシガン州、ウィスコンシン州といったところもトランプ優位で進んでいた。
 僕はアメリカ大統領選挙の各州での開票方法などといった非常に細かな仕組みについてはよく理解していなかったので、選挙状況をまとめたWebでトランプが優位な州の選挙人の数をそのまま数えていくとバイデンは絶望的に見えた。そして、かなり狼狽していた。ご存知のように、もうバイデン勝利でほぼ決まり、とはっきりとメルマガに書いていたし、実際、それなりに自信があったのに、何か得体のしれないことが起こっている、と思ったのだ。そして、気がつくと、トランプ大統領がTwitterで自ら勝利宣言をしているではないか!

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