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週刊金融日記 第344号 カルロス・ゴーン氏逮捕と日本の権力中枢について、任天堂・メルカリ・ZOZOなど下落止まらず個人投資家は阿鼻叫喚、銀座の一等地でリーズナブルに高級フレンチの雰囲気を楽しむ、高専のススメ、他

// 週刊金融日記
// 2018年11月20日 第344号
// カルロス・ゴーン氏逮捕と日本の権力中枢について
// 任天堂・メルカリ・ZOZOなど下落止まらず個人投資家は阿鼻叫喚
// 銀座の一等地でリーズナブルに高級フレンチの雰囲気を楽しむ
// 妻へ性病を感染させてしまいました
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 また、メルマガの取材などで海外に来ております。このメルマガは飛行機の中で書いています。アジアの国なんかの5時間程度で行ける国だとビジネスクラスはそんなに高くないのですが(ビジネスはエコノミー席の1.5〜2倍程度)、10時間程度の場所になるとビジネスマンにとって寝れるかどうかは死活問題になるので、エコノミーとフルフラットのビジネスクラスの価格差は一気に3〜5倍になってしまいますね。

★シンプルなちょっと早めのディナーですがステーキとムール貝が美味しいですね。

 ネット界隈ではnetgeekというフェイクニュースを振りまいていたバイラルメディアの運営者が、とうとう特定され集団訴訟に発展しそうです。フェイクニュースがこんなに流行る理由というのは、とにかく誰かを攻撃したいと思っている人がたくさんいて、一見メディア風味のサイトがソースなし、あるいはソース2chの落書きなんかで貶す記事を書いてくれると、もう喜んで引用する人がたくさんいるからなんですよね。あるいは、何か自分が信じていることを補強するフェイクニュースなんかも大人気ですね。ある意味で、フェイクニュース作成者は需要に応えているわけです。
 まあ、僕は基本的に自分に関係するフェイクニュースでもスルーが多いのですが、netgeekが書いたまったく根も葉もないフェイクニュースが一度バズって、Google検索でトップページになってしまったので、弁護士とともにプロバイダに情報開示請求して、身元を特定しようとしていました。損害賠償請求するためです。しかし、プロバイダに個人情報の開示を請求し、弁護士からnetgeekに記事の削除などを求めていたところ、記事が削除されました。それで、まあ、Google検索で出てくる記事もなくなったし、弁護士に支払う費用ももちろん増えていくため、それ以上は何もしませんでした。
 名誉毀損などは記事を削除しても、その当時に掲載されていた記事をもとに損害賠償請求が可能ですから、これはかなりの数の人が集団訴訟に加わりそうですね。

●netgeekの運営実態についてBuzzFeedの記事にお答えします
http://netgeek.biz/archives/131201

●netgeekの運営会社情報大公開と、被害者集団訴訟のお知らせ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=43346

●「netgeek」被害者らが団結し集団訴訟へ「悪意の攻撃で金を稼ぐのを許すわけにはいかない」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1811/19/news083.html

 先日も、メキシコの村に児童を誘拐して臓器売買をしている人物がいるというフェイクニュースで、民衆が怒り狂い、無実の人が焼き殺されるという痛ましい事件が起きてしまいました。まあ、ソースがはっきりしないニュースをすぐに信じる人がバカといえばバカなのですが、だからといって大衆に高いメディアリテラシーを要求するのも無理のある話で、やはりフェイクニュースを作っている人たちがまずは罰せられるべきでしょうね。

●【フェイクニュースを超えて】 SNSのうわさのせいで焼き殺され、メキシコの小さな町で
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46217585

 じつは、今週は読者の方から届いたこの投稿について、進化生物学と文化人類学の観点から論文を用意していました。

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-一夫多妻を公にしている衝撃的な記事に恋愛工学を感じました

はじめまして、イヌクマと言います。
先日、Facebookの投稿で、日本でも一夫多妻を公にしている下記の投稿を発見し、居ても立っても居られなくなったので共有です。

●「本音で生きると決めたら、この形になった」一夫多妻で暮らす西山家のリアル(前編)
https://r25.jp/article/609984985417498699

●「出産を支え合ったら、もう嫉妬はなくなった」一夫多妻で暮らす西山家のリアル(後編)
https://r25.jp/article/610015295786737681

詳細は記事を読んで頂ければと思うのですが、思うことはたった一つ。
結局、「たくさんヤリまくっているやつが1番モテる」。
恋愛工学で言われていることを、まざまざと見せつけられた感じの記事でした。
今後の配信も楽しみにしています!
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 しかし、この論文は来週以降に持ち越しです。というのも、歴史が動くようなニュースが飛び込んできたからです。そうです、日産のカルロス・ゴーン氏の逮捕です。
 今週はこのことについて書こうと思います。

●日産のカルロス・ゴーン会長を逮捕 報酬過少申告の疑い
https://www.asahi.com/articles/ASLCM5QBXLCMUTIL02C.html

 いつものように読者からの興味深い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。

-周りがほとんど外国人やバイリンガル日本人の外資系投資銀行で生き残りたい
-子供の海外留学についての記事を希望します
-結婚せずに男女がパートナーであり続ける関係は望めないものですか
-金子勇さんをどう評価されてますか
-男らしさはどうすれば身につきますか
-高専を強制退学になりゼロからのスタートする僕にアドバイスをください
-妻へ性病を感染させてしまいました

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.カルロス・ゴーン氏逮捕と日本の権力中枢について

 朝日新聞のカルロス・ゴーン氏逮捕のスクープで日本中、そして、世界中が騒然となりました。ゴーン氏はつぶれそうだった日産自動車を立て直し、日本での助っ人外国人経営者の代名詞のような存在になりとても有名ですが、いまや彼はフランスの自動車会社ルノーの取締役会長兼CEOにして、日産自動車の会長、三菱自動車工業の会長です。そのような自動車産業の国際的な超大物がいきなりの逮捕ですから、世界は騒然となったわけです。まさに歴史が動くというような事件です。
 東京地検特捜部はお決まりで、懇意にしていた朝日新聞の記者にまずはリークしたのでしょう。その後、各メディアが東京地検特捜部のストーリーに基づく詳細を伝えはじめたのは、日本の司法当局とメディアのお家芸です。最初のスクープ記事では、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、内容がよくわからず、これは背後の何か重要な犯罪、あるいは大きな不正取引か何かを捜査するための別件逮捕かと思われました。
 しかし、現時点でわかっていることは、結局のところ、日産の海外子会社を通して、ほぼゴーン氏のための高級住宅(合計50億円程度か)が買われた、ということで、これがとりあえずは所得の過小申告と、そうした実質的な報酬をぜんぶまとめて有価証券報告書に載せなかった、ということでの金融商品取引法違反の容疑で、かなり微妙なところのようです。
 
●ゴーン容疑者、海外の高級住宅を子会社に購入させた疑い
https://www.asahi.com/articles/ASLCN32P7LCNUTIL005.html

 すでにスクープ記事のあと、ウォール・ストリート・ジャーナルが書いていたように、有価証券報告書を作成するのは日産の経理・財務部門で、それにお墨付きを与えるのは監査をする会計事務所ですから、ふつうに考えてゴーン氏に第一の責任はないように思います。

●ゴーン会長失脚、3社連合崩壊シナリオに政治的思惑も
https://jp.wsj.com/articles/SB11886723985326294179004584604621374340900

 あと、世界中を飛び回っているゴーン氏ですから、超高額物件とはいえ、世界に専用社宅があってもおかしくはありません。まあ、ニューヨークやパリの他にも、ブラジル・リオデジャネイロやレバノン・ベイルートなどのかなり私的な場所にもあったようで、経営者として脇が甘いというか、ちょっと調子に乗っちゃってる感じはしますし、褒められたものではないとは思いますが、それが犯罪かというと、どうかなぁ、とは思います。だって、中小企業の社長なんて、自宅を社宅にしているのは当たり前で、それは広く認められていますよね。ただ、中小企業のおっさんの社宅より、金額でゼロがふたつばかり大きいだけですね。プライベートジェットで世界を飛び回っている自動車産業の超大物ですから、その辺の中小企業のおっさんの社宅よりゼロがふたつ多くても、ふつうと言えばふつうですよね。また、実質的な所得を隠して税金を安くした、という線で言えば、そもそもゴーン氏は日本の居住者でないので、日本の司法当局が捜査できるのか、というのも微妙なところです。
 また、これらの情報はかっこよく言うと日産社内からの内部告発によって出てきたのですが、悪く言えばゴーン氏が邪魔になった日産の他の偉い人たちが東京地検特捜部の力をうまく使って追い落とす権力闘争ですね。そういう意味では、ゴーン氏は部下たちに背中から銃で撃たれているわけで、その点で経営者として能力不足、あるいは足元すくわれるほど最近は調子に乗っていた、傲慢になっていた、とは言えるかもしれませんが、やはりいきなりの逮捕が正当化されるほどの不正だったのかどうかは微妙な線のような気もします。いまのところ。

(以上、現時点で報道されている内容、かつ会計士資格も弁護士資格も持っていない作家の意見です。)

 それで僕は思うんですが、いま日本は開国派と攘夷派が戦っていて、これは攘夷派が狼煙を上げたな、ということです。日本の権力中枢って抽象的な言い方だし、陰謀論めいて嫌なんですが、僕が思うにやっぱり日本の中枢は、学歴でいえばやはり東大法学部で、そこから伝統的な日本の大企業に入り出世した長老たちと財務省や経産省なんかの官庁で偉くなった官僚たちの連合体だと思うんですよね。その辺は、日本の大学入試改革で、東大文系が英語入試の4技能化に大反対した事件ですこし書きました。この記事のリンクに出てくる経団連の偉い人たちの経歴を見ると、僕が何を言わんとしているかわかると思います。

『週刊金融日記 第338号 東大文系教官たちは日本語バリアを確信犯的に守っている』

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