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2023年前半・観劇日記その①

半分どころか3分の2が終わろうとしていませんか???

昨年末、1年間の記録をあまりにもダラダラと書いてしまったので、今年は前半・後半に分けて記録していこうと思う。
なお、宝塚歌劇団月組『応天の門』『Deep Sea ~海神たちのカルナバル~』は既に書いているので省略する。


①宝塚歌劇団雪組『海辺のストルーエンセ』

昨年心を掴まれた『冬霞の巴里』の指田先生の最新作である。チケット戦争には惨敗したのでオンラインで観た。

『冬霞~』に引き続き、相変わらず人間の心理描写が生々しかった。人の執着心、出世欲、偏愛。それらををまじまじと見せつけられた。まあストルーエンセ先生は完全に悪徳コンサルタントだったので同情の余地はなかったわけですが。
お衣装や舞台装置の世界観も相変わらず独特の薄暗さが匂っていて、これぞ指田先生ワールド!といったところだった。賛否両論あるだろうが、指田先生の作品は暗喩的に見えてけっこうドストレートな演出を見せつけてくる。この作品の舞台は北欧。全く日が沈まない時期と、全く日が昇らない時期がある国。そんな国で生まれる独特の、土地や人に染み付いた価値観というものに軽く触れた気がした。余談になるが某北欧の国に留学経験のある友人曰く、「白夜は最初2日間だけ楽しくて、残り数十日間は狂う」とのこと。
主役を務めた朝美絢さん(あーささん)は舞台での立ち振る舞いというか、力の入れ方・抜き方のコントロールが上手。どこが舞台の見せ場か、どのような立ち振る舞いが求められているかが分かっているんだと思う。なんてったってあーささんフィナーレでのお姿。美しすぎて目がつぶれかけた。それと縣千さんは男性にしか見えない。

②宝塚歌劇団花組『ENCHANT MAN』

こちらもオンラインで観た。本当は大劇場で観る予定だったのだが、チケットが吹っ飛んでしまった。勘弁してくれよ本当。

野口先生のショーは「俺の考えた最強に輝くタカラジェンヌを観ろ!!!」感が強いので大好きである。
ENCHANT MANは全般的にお衣装が素晴らしかった。トップスター・柚香光さん(れいさん)の刺繍たっぷりタキシードを考案した方にはたくさんの幸福が訪れてほしい。中詰めのチャイナ風も、謎のアイドルシーンも、デュエダンも全部良かった。衣装設計資料とかぜひ見たい。
この公演は、宝塚が誇る男前ダンサー・水美舞斗さん(マイティーさん)のラスト花組公演だった。それもあってかれいさん&マイティーさん(通称れいまいコンビ)の絡みがかなり多く、美しさに圧倒されながらもほんのりと寂しさがにじんだ。てか野口先生の「俺の考えた最強のれいまいコンビを観ろ!!!」圧が強すぎた。「お前らもこんなれいまいコンビ観たいだろ?!な?!な?!」って感じで。はい観たかったです。
なお、マイティーさんは専科として今度は星組公演にご出演予定である。しかも博多座。チケット降ってこないかなッ…!(抽選負けた人)

③宝塚歌劇団星組『赤と黒』

こちらもオンラインで観た。外箱公演は本当にチケットが取れない。

ミュージカル『赤と黒』にはいくつか異なる演出の作品があり、今回はフランスから輸入したフレンチロックパターンのもの。ザ!古典!!な柴田先生パターンしか観たことがなかった(こちらは宝塚で何度か上演されている)ので、今回のシン・赤と黒はなかなかに度肝を抜かれた。
まず展開がめちゃくちゃに早い。こじらせインテリ女たらし美青年主人公(礼真琴さん)は怪しげダンス上手い狂言回し(暁千星さん)が語る舞台の波にどんどん流されていく。口頭試問仕掛けてきたロイヤルおじさん(紫門ゆりや様)に雇われて、そこの超美人妻(有沙瞳さん)に狂わされる。逃げついた先で聖人キュートおじさん(英真なおきさん)に目をかけてもらったのに、おじさんの夢見がち思想強め娘(詩ちづるさん)と恋に落ちて…けれど超美人妻は…。これが2時間半に凝縮されているのだ。ギラギラな演出とお芝居に圧倒されながら、どのような気持ちで観劇すればよいのか、最後まで分からなかった。
それでもさす星選(さすが星組選抜メンバー)、もれなく全員上手だった。上記に掲げた方のほか、嫌な貴族やらせたら右に出る者はいない芝居巧者・ひろ香祐さん激キャワお衣装に強め美声・瑠璃花夏さんと、人数が少ないながらも密度の濃い舞台を作り上げる方が多かった。
何よりね…有沙瞳さん(みほちゃんさん)が美しかったんですよ。歌・芝居・ダンスと何でもバッチリ決めてくることに定評のあるみほちゃんさんだけど、今回のお役はすごく似合っていた。特に終盤の撃たれる直前の微笑み。えっ…一生忘れられない笑顔私にくれた…?と言わせんばかりの美しさだった。


こんなわけで、オンラインが多くはあるが今年も楽しく観劇を楽しんでいる。なお今日も花組さん千秋楽!三連休最後の日を、ニコニコ過ごせることを嬉しく思っている。


後半は宝塚以外も書こうと思います  芳田