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木こりの本業

山で生業をしている人を、なんと呼ぶのだろう。
海であれば漁師、里であれば農家。山が思い付かない。

今日会った山の人は、自らのことを「木こり」という。
普段は山の中で木を伐採する仕事をされていて、
山から里に下りてくる時にたまに遭遇してしまう。

まるで熊のようだが、熊のようにワイルドで、かつマイルドな人。
「今日もデンジャラスな仕事でクタクタだよ、恒光くん」と、
よく笑いながら話してくれる。

木こりが本業と言いながら、
実はもう一つ、椎茸農家という本業も持っている。
本業が本来はひとつという常識からは、少し戸惑う。

竹に囲まれた道を少し進んだところに、椎茸栽培の場所があった。
密に竹がひしめく中、ぽっかりと開けたところに原木が並べられていて、
そこだけ不思議と風が通り抜ける。

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あと半月もすると、この原木から一斉に椎茸が出てくるらしい。
静かに置かれている様子からは想像もつかないが、原木の中では椎茸が準備をしている。

今日は椎茸ではなく、原木「舞茸」を見せてもらった。
プランターに植えられているように見えるが、原木が土の下に埋め込まれている。先人達がどうやって、このような栽培方法を思いついたのか不思議だ。

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日光を多めに浴びると、少し黒っぽい舞茸になるとも教えてくれた。
「日焼けみたいなものですか?」という質問をしかけたけど、恥ずかしくてやめた。それよりも、間近にじっと見ていたかった。

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帰り際に舞茸を一株頂戴した時に、土のついた舞茸に初めて触れたことに気付いた。土のような、木のような、言われてみれば舞茸らしい香りがする。

そういえば、この椎茸農家さんに、インタビューして動画を撮ったのを思い出した。多少ふざけすぎてしまい申し訳ない気持ちで一杯だが、今でも楽しく一緒にお酒を飲んでくれるから幸せだ。飲んでいる時は普通のお父さんになる。


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