遥かに遠き故郷・福井県

今でこそ千葉県民だが、元々は福井県出身なのだ。俺としては「捨てたはずの故郷」というほどドライになりきれず、年老いた両親もいることなのでたまに帰省することもある。
まあ福島と福岡に間違えられることは多いんだが、少し前に久々に県庁所在地である福井県に行ったので(といっても少々前だが)ちょっと紹介してみたいと思う。

普通なら東海道新幹線-北陸本線なんだが今回はそのルートではなく北陸新幹線に乗って福井に向かうとしよう。要は東海のN700系ではなくE7系に乗るのだ。(よくわからないが鉄道マニアっぽいことを言ってみる)
上野駅から北陸新幹線の金沢行き「かがやき」に乗車。上野を出ると途中の停車駅が3つしか無い速達列車だ。

北陸新幹線と東海道新幹線。北陸地方に行くならどちらに乗るのがいいか? そりゃあ東海道新幹線でしょうよ、と。乗っておいてなんだが。
北陸新幹線は大宮から先、ほとんどトンネルである。車窓から富士山を眺めたり、「727 COSMETICS」の看板を数えたり、という楽しみが全くないのだ。一応富山に入ると海が見えるが、すぐに宇奈月の方に行くため山間部にカーブを切るためまたトンネルである。旅情もなにもないなあ。

あと上の駅は一応Ecuteがあるとはいえ、東京駅のグランスタに比べれば規模が小さい。それに八重洲から一旦改札を出れば大丸百貨店だってある。お土産や弁当を買い込んで新幹線の旅と洒落込むにはやはり店の多いほうが楽しい。
利点とすれば東海道新幹線よりも20分強到着時間が早い。この時間に+3000円くらいを払うのであれば良い選択かと。閑散期には軽井沢~上田あたりで結構人が降りるので車内は空いている&北陸新幹線+東海道新幹線の周遊きっぷが発売されるので鉄道マニアは楽しいかと。

とか文句をたれている間に金沢に。金沢では10分程度の待ち合わせで北陸本線のサンダーバードに乗りかえ1時間で福井駅に。

将来的には北陸新幹線を福井県に延伸するらしいが、在来線が3セク化してしまって不便で仕方ないのでこのままでいい、と思う福井県民は多いと思う。

さて、駅前には「恐竜の県」か無駄なハコモノで「福丼県」というシャレをアピールする以外あまり珍しいものもないので移動するとしよう。

余談だが、「福井県立恐竜博物館」は世界三大恐竜博物館の一角としてかなり有名だが、勝山の山奥というえらい辺境にあるので、もし行くならJRから福井駅から30分に1本のえちぜん鉄道に乗って1時間、更にバスで15分なので車で移動したほうが遥かに楽。

駅から少し歩くと前にちょっとだけ有名になった「堀と石垣で守られた県庁」に着く。実は戦前からこの場所にあったので県民は「城跡という遺産に建てやがって」などと思ったことはないのだ。

福井市内には鉄道が走っているが、軌道敷内が存在する。要は路面電車だ。福井鉄道は普通の路線と路面電車が混在しているので現在の車両はほとんどが底床タイプ。

これなどとっさに撮ったのでピンぼけしているが福井鉄道のモ770形。福鉄の車両は中古車両センター()こと名古屋鉄道から購入しているので、一部の鉄道マニアに人気がある…らしい。

ぽてぽて歩いていると、古い建物…メトロ劇場ってまだあったのか。ここももう築60年くらいだよなぁ…高校の時にデートで二人で映画を見て、速攻フラれたっけか…うう。

悲しいことを思い出したら腹が減ってきた。福井名物といえばやはりソースカツ丼。もちろん普遍的な玉子でとじたカツ丼もあるのだが、やはり有名になったのは福井県内に数店舗を持つ「ヨーロッパ軒」の功績といえよう。
奥まった路地にあるここがその本店。ここからソースかつ丼が始まったとされる発祥の店。子供の頃は両親に連れてきてもらうのが楽しみだった。平日なのにそこそこの混み具合。ソースカツ丼のセットを注文する。

薄く伸ばしたカツに目の細かいパン粉、それを一旦ソースに浸し、同じくソースをかけたご飯に乗せたものだ。このソースはオリジナルでウスターソースとは微妙に違う。光が反射しているが中央下にあるのは”追いソース”だ。
凄まじく美味い、というわけではないが郷愁に訴えかける懐かしい味だ。

あとは風呂か。福井市内にいくつか銭湯が存在するが──というより福井市内が「福井県浴場組合」の最大勢力なのだ──いずれも車社会なので離れた場所が多くなかなかに苦労する。
福井駅からみて西側、足羽川にかかる九十九橋はその昔、北半分が木材、南半分が石材という珍しいものだった。現在はコンクリート製のものになっているが人柱伝説やら怪談やらあるので興味があったら調べてみて欲しい。

駅から歩くこと15分くらい。目当ての銭湯「お風呂のデパート たきのゆ」へ。少し汗もかいたのでさっぱりしよう。
基本の入浴料430円にサウナは追加で70円。露天風呂に長さ8mの小さな子供用プールがあって久々に泳いだりした。現在はリニューアル工事も終わってカラン類も新しくなっているとのこと。

地元ながらなかなかいい銭湯があるじゃないか。いつまでも残っていて欲しいものだ。

さっぱりした後は歩いて駅前まで戻る。
ここで食べておかないとなかなか難しいのでさっきカツ丼を食べたのだが、北陸の民のソウルフード「8番らーめん」へ。福井駅が新幹線を見越して建て替えられた時にできた駅ビル店だが、他の店舗はだいたい路面店なので車がないと来れない。俺が知る限り交通手段を持たない人間が最も素直に入れる店舗だ。

野菜らーめんの塩味に追加でバター。本当は唐揚げ付きのCセットにしたいが胃の容量的な問題で断念。関東に暮らしていると時々、無性に食べたくなって塩味の野菜タンメンなどを食べにいくのだが「何かが違う」と感じる、慣れ親しんだ味というべきか。

さあ、生まれ故郷に戻ろう。一時間あるかどうかの普通列車に乗って生まれ故郷の武生駅に到着。「たけなま」「ぶなま」とか読まれる一応難読駅名になると思う。

少し行った所に「サンドーム福井」という施設があってたまにジャニーズアイドルのコンサートや、フィギュアスケートの大会なんかをやるのでそれ系の追っかけの女性はだいたい読めるらしいw

駅前にはコンビニすらない恐ろしい環境&商店街はシャッター街ではあるが、駅から歩いて総社大神宮の脇を通り抜けると、京町からタンス通り(その昔タンス屋が多かった)の道路など「越前の小京都」というべき町並みがある。小雨が降っていたのでなかなか雰囲気がいい。まあ銀座通りと小京都はほとんど全国にあるとは思うがw

実家には戻らずに予約しておいた渋いビジネス旅館に泊まる。料亭を経営している所がやっている所で素泊まりで4500円程度。内風呂とはいえ24時間入れる風呂がある。2m四方の湯船でなかなか快適だった。

夕食を近所の秋吉で済ませる。少し歩くと蔵の辻という昔の蔵を改造した店舗群があるのだが、その中でも深夜までやっている「コンセントバー セカンド」へ。
入ってすぐにマスターが数年ぶりだというのに顔を憶えていてくれたことも驚いたが、「多分、前に入れていったボトルありますよ」マイボトルのオールドパーのハイボールを楽しんだ後はカリラの12年をロックで注文。

久々に福井弁で話をしながら田舎の夜は更けていった。翌日は親に顔を見せて帰京をしたので、後は特筆すべきことはなかったのだが、たまにはこういうものよかった。

ヨーロッパ軒

たきのゆ

8番らーめん