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【北欧旅行記1】もしあなたが甘え下手なら、北欧へ行ってみるのはどうだろう?

はじめに、の前に

10年以上前に書いた旅行記の原稿が、思いがけず手元に返ってきました。
海外旅行の経験はほとんどなく、英語もままならない女3人で行ったデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの自由旅行の旅行記です。

せっかく発掘されたので、ちょっと書き直しながら連載してみようと思います。
観光地といわれる場所には、ほとんど行かなかったので、
これから北欧旅行をしようという人の参考にはならないと思いますが、
私は、この北欧の旅で
「甘えるってこういうことなんだ」と気づいたのでした。

当時、30を過ぎたばかりの私は、
「大人」として頑張ろうとしすぎていたのかもしれません。

書いたことすら忘れかけていた北欧旅行記。
今、私の手元に戻ってきたのも、何かの縁とタイミングなのかもしれません。少しずつnoteにマガジンとして投稿してみます。

__________✂️___________

はじめに

「ヒュッゲっていいよね」
「北欧に行ってヒュッゲな時間を過ごしたい」


家事手伝い・研究者・アナウンサーと、仕事もバラバラなら、
趣味も考えていることもバラバラな3人。

「北欧に行きたいね」という共通項だけで盛り上がった。

ヒュッゲは、心地のいい時間や空間をあじわうというようなこと。
私たち3人は「南の島でのんびりしたいね」という話では盛り上がりそうもないが、「北欧でヒュッゲな時間をすごしたいね」という話にはノリノリになった。

「30代にもなると、南の島は飽きたのでしょう?」
なんていうことは全くない。

ハワイやグアムなどの南の島には行ったことがない。

南の島に飽きるどころか、3人とも海外旅行経験はほどんどなかった。

それなのになぜいきなり「北欧」なのか。

家事手伝いのユカちゃんは、中学生の頃から北欧に行ってみたいと思っていたらしい。できれば住みたいとまで思っていたのだという。
そのわけは「ヨーロッパ」というミュージシャンが好きだから。

研究者のシーさんは、福祉先進国と言われる北欧のことは、
研究テーマにも関係しているた興味が深いのも納得だった。

私は、といえば、少し前までは「北欧」といわれてもあまりピンとこなかった。まずは、私と北欧の出会いから書きはじめたい。


北欧?どこ?
ノルウェー?=フィヨルド? 
だった私が北欧に行こうと思ったきっかけ


「ノルウェーと聞いて、何が思い浮かびますか?」

そう聞かれて、私は「フィヨルド」としか答えられなかった。
小学校だか中学校だかの社会の時間に習った気がするなぁという程度の知識で「ノルウェー=フィヨルド」と連想ゲームのように導き出されただけだった。

私は生まれて初めて海外に行こうとしていた。

それまで私は、海外に一度も行ったことがなかった。
もちろん、パスポートも持っていなかった。

海外に興味がなかったわけではない。
むしろ行ってみたかった。
それなのに30歳を過ぎても一度も海外に行ったことがなかったのは、
金銭的に苦しい学生生活だったのもあるが、
一番の理由は、私の欲張りな性格のせいかもしれない。

「どうせお金をかけて行くなら、誰もがするような観光旅行はイヤだ」

と思っていた。

だからと言って、
バックパック一つで旅をしたり、
ワーキングホリデーに行ったり、
青年海外協力隊に参加するという力はみなぎってこなかった。

ただ、普通のツアーで観光旅行をすることにお金を使うのはもったいないと思っていた。
どうせ大きなお金を使うなら、数ヶ月滞在するなり、留学するなりというということをしたいと思っていた。
といいつつ、自分のお尻が重かったこと、
行動できなかったことへの言い訳かもしれないが、
ひとつ言えるのは
「めんどくさいやつ」だということだ。
初めての海外旅行くらい、
ツアーを使うとか、
人気のリゾート地に行くとかすればいいのに、
どうも、そうはしたくないと思うめんどくさいやつなのだ。

あるとき、県の広報誌を眺めていると
「女性海外派遣」の文字が飛び込んできた。

「ノルウェー」と「ドイツ」を視察する2週間の旅だった。

学生時代に声楽を学び、イタリア語やドイツ語の歌を歌ってきたが、
イタリア語もドイツ語も苦手だった。さらに英語も苦手だ。

「言葉」としての外国語に、大きな苦手意識があった。
でも、興味はある。

もし、「女性海外派遣」でドイツに行けたら、
生きたドイツ語に触れて語学を学ぶ気が高まるかもしれない。

しかも、普通の観光旅行じゃない。
派遣者として選ばれたら、旅費は県が半分負担してくれる。

応募する!

それから、せっせと応募のための作文を書いた。

「ドイツ」と「ノルウェー」への視察。

これで初めて海外に行けるかもしれない。

「女性海外派遣で初めての海外っていいかも!」
「なんだか特別感がある!」

「めんどくさいやつ」な私の心が動いた。


「女性海外派遣」ってなんだ?


「海外に行ったことがないですし、学生時代は声楽専攻で、ドイツ歌曲を習っていたこともあって、ドイツに行ってみたくて応募しました」

というのが応募しようと思った当初のきっかけ。

とはいえ「女性海外派遣」は、
男女共同参画や福祉、環境に関して
先進国と言われているノルウェーやドイツを視察して、その見聞を地域活動に活かし、男女共同参画型社会の実現を、というのが目的だ。

そのために、応募には、
男女共同参画に関する問題意識を問うための作文が課されていた。

そんな「海外に行ったことないですし〜」な理由は書けない。
でも、男女共同参画といえば、日々思っていることはある!

私は職場でのガラスの天井について、切々と作文に綴った。
当時の私は、NHK松山放送局のキャスターだった。
ニュースを読んだり、番組のキャスターをしたり、
取材に出かけて企画リポートを作ったりと、
一見、華やかに見える仕事をしていた。

華やかな仕事だからかもしれない。
女性であるがゆえのガラスの天井や、
年齢によるガラスの天井、
ほぼ女性だけに適用されている
キャスターという契約形態によるガラスの天井、
日々、悔しい思いもしていたし、問題意識も持っていた。
普段、あまりその思いを表現することはなかったが、
この機会にと書き綴った。


「ドイツ」が目的だったのに
「ノルウェー」に戻りたいと思うなんて


ノルウェーといえばフィヨルド?程度の知識しかなかった私が、
10日間の海外派遣事業から帰国すると、
すっかり「ノルウェー」のファンになってしまっていた。

切々と綴った作文が功を奏してか、
無事に海外派遣者の一人に選ばれ、
20代〜60代の女性8人で「ノルウェー」「ドイツ」を視察した。

まず訪れたのがノルウェーだった。

着陸前に飛行機から見えたのは、水墨画のような寒そうな風景だった。
その寒そうな景色とは対照的に、ノルウェーの人は温かかった。

ノルウェーのコンクルヴィンゲルという田舎町に、
1泊だけホームステイした。

私は英会話の経験はない。
中学から学校で英語を習ってきたという一般的な英語力だ。
会話という実践で使った経験はなかった。

ノルウェーは「ノルウェー語」だが、みな英語が堪能だ。
初めての海外で、ノルウェーの人と英語で会話できたのは
運が良かったかもしれない。

ノルウェーの人は英語が母国語じゃない分、
わかりやすい英語で話してくれる。
発音も日本人には聴きやすい発音だった。
相手が言っていることは聞き取りやすかった。
こちらから伝えたいことがあるときは、
単語を並べるだけになってしまったが、
それでも嫌な顔せず、ゆっくりと時間をかけてでも、
理解しようとしてくれた。

誰も、焦らせたりしない。
そして、流れる空気もゆっくりしている。

誰も焦らせたりしない。

スケジュールが決まっている視察でも、
ゆったりと時間が流れていく、そういう風にコーディネートされていた。

数日間、ノルウェーで過ごすうちに、すっかり居心地が良くなった。

そして、旅先では悪くなりがちなお通じがとても良い。
硬水のせいだろうか。体が楽だった。

数日後、私が行きたいと望んでいた国「ドイツ」に移動した。

ドイツで感じたのは、日本的な時間の流れ方と空気だった。
しかも、滞在したホテルの横には、日本のデパートがあった。
視察のスケジュールも、時間ぎっしり詰まっていて、
ドイツでは、ホテルに帰るとぐったりしてしまった。

「ノルウェーに戻りたい」
あまりに私はノルウェーのことも北欧のこともこれまで知らなかった。

もっとどんな国なのか知りたい。
あの国の空気の流れの中にもう少し身を委ねてみたい。

ノルウェーといえばフィヨルドとしか答えられなかった私が、
また絶対に北欧に行きたいと思った。


「一緒に旅することになった二人との出会い」へ続く

【北欧旅行記】
もしあなたが甘え下手なら、北欧へ行ってみるのはどうだろう?
(ぼちぼち連載中)これまでの記事はこちらから。
北欧旅行記1
https://note.mu/kazuefukui/n/n9e58c1f703cc
北欧旅行記2
https://note.mu/kazuefukui/n/n9ee6f2f99073
北欧旅行記3
https://note.mu/kazuefukui/n/n78f05ffff80c
北欧旅行記4
https://note.mu/kazuefukui/n/nf40c1cbb9775
北欧旅行記5
https://note.mu/kazuefukui/n/n3d71a4502d2c
北欧旅行記6
https://note.mu/kazuefukui/n/n65788f3afc6b
北欧旅行記7
https://note.mu/kazuefukui/n/nc3d51d896472

書いてみたこと、発信してみたこと、 それが少しでもどこかで誰かの「なにか」になるならばありがたい限りです。